【スプリングS・阪神大賞典】その蹄跡を思い起こしたくなるトライアル
春全開するタイミングをはかるように
かつて名馬が駆け抜けたレース、スプリングSも阪神大賞典もその蹄跡を思い起こしたくなるトライアルだ。
メジロマックイーン、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ゴールドシップ、それらは阪神大賞典を勝って春の天皇賞馬になっていたが、これが今でも本流と言っていい。
一方のスプリングSは、三冠に輝いた名馬、古くはシンザン、その後のナリタブライアン、オルフェーヴルがここを勝ってステップアップし後世に名を残している。
またネオユニヴァース、メイショウサムソンがここを勝って皐月賞、ダービーの春の二冠馬になっているが、8年前にロゴタイプがスプリングSを勝って皐月賞馬になって以降、この流れは主流ではなくなった。
わずかに3年前に2着馬エポカドーロがこの後に皐月賞を勝ってはいるが、春のタイトルをめざす3歳馬の路線が多様化し、今では、重要な前哨戦であっても、あくまでそのひとつという考え方に変化していると言っていい。
こうして考えると、伝統の長距離戦の阪神大賞典は、昨年の菊花賞でコントレイルに迫って2着、年明けAJCCで道悪を克服して順当に勝ったアリストテレスが主役。父が菊花賞馬でジャパンカップも勝ったエピファネイアでスタミナは十分、長距離の王者の道をまっしぐらと突き進んで行く。
相手馬は、内容を見て次を考えようというものが多く、オルフェーヴルの子ショウリュウイクゾ以下、多士済々だ。
一方のスプリングSは、ここで確かな手応えを感じ取りたいと試金石の一戦に期待を込めた1勝馬、2勝馬たちの戦い。
固く花びらが閉ざし、この春全開するタイミングをはかるようにここに勢揃いしているようなものだ。
中山の内回り1800米は、パワー型の先行馬が自分の形に持ち込んで優位に立つことが多く、展開次第で中団からの差しも決まるが、あまり後ろからでは間に合わない。道中の位置どりが重要で、長く脚を使えるものがいい。
なんとか3着以内に入って皐月賞へと目論む馬たちはどれもスムーズに走れるよう鍛錬してきた。願いどおりに戦えるかは、とにかくスタートが肝心。
また、ここで距離適性を探るものもいる。皐月賞の先のNHKマイルCも視野に入れていて、このルートで走ったものが、この5年で9頭もいたことも頭に入れておきたい。
スプリングS出走の2勝馬の中では、ホープフルSで逸走したランドオブリバティがガラリと落ちつきを取りもどしてきた。これに中山で連勝したロードトゥフェイムを。
1勝馬では、スタミナのあるヴィクティファルス、ボーデンに大いなる可能性が潜んでいると見ているが。
「スプリング 弾んだ次は 大舞台」