▲前回は答えが分かれることが多かった永島騎手(左)と古川騎手、はたして今回は?! (撮影:桂伸也)
新人女性ジョッキーふたりの対談が実現。【レース】【騎手】【厩舎】【プライベート】というジャンルで、それぞれ3つの質問を投げかけます。それに「○」「×」で答えていただき、知られざるホンネに迫ろうというのが今回の企画!
第2回のテーマは【騎手】です。「報道などでいつも“女性騎手が〜”と付けられるのは違和感?」「女性騎手同士でお互いにライバル心!?」、前回に引き続き今回も、ふたりのホンネが垣間見える〇×トークを展開!
(取材・構成=不破由妃子)
Q1「レースで一緒に乗る前と後で、イメージが変わった先輩騎手がいる」
▲先に答えた古川騎手は「〇」 (撮影:桂伸也)
古川 特定の方というわけではないんですが、私はもともと競馬ファンで、パドックで馬やジョッキーの写真を撮ったりしていたので、先輩方のどんな一面も、ファンという立場では知り得なかったことばかりです。
そういう意味での「〇」ですが、レースではタイトで厳しい面があっても、レース後は一緒にパトロール映像を見て指導してくださったり、気づいたことはすぐにアドバイスをくださったりして、気にかけてくださる方がとても多く、本当によくしていただいています。
──ファンとして写真を撮っていたということですが、よく撮っていたのは?
古川 武豊騎手と福永祐一騎手です。
──そういえば、おふたりとも目標の騎手として武豊さんの名前を挙げていらっしゃいましたね。普段、お話する機会はありますか?
▲新人のふたりも憧れる“レジェンド”武豊騎手 (C)netkeiba.com
古川・
永島 いえ、まだないです…。
古川 私はデビュー週が同じ阪神で、ジョッキールームでお会いしたとき、「デビューおめでとう」と声を掛けていただいて。すごくうれしかったです。
▲永島騎手も「〇」で回答 (撮影:桂伸也)
永島 私も特定の方ではないのですが、デビューしてレースに一緒に乗るようになってからは、普段とは違う先輩方の一面を知ることができたなと思っています。
普段から多くの方にアドバイスをいただいていて、レースで私がヨレて迷惑をかけてしまったときなどは、パトロール映像を見ながら、何がダメだったのかなど指導してくださって。
──どなたに教えてもらうことが多いですか?
永島 よくパトロール映像を一緒に見てくださるのは、普段からお世話になっている荻野極騎手や西村淳也騎手です。
デビュー週は、ゲートで馬の邪魔をしてしまうことが多かったのですが、そのときは福永祐一騎手や川田将雅騎手からアドバイスをいただきました。みなさん、本当に親切に指導してくださるので、すごくありがたいです。
──そういえば、永島騎手の初勝利の際は、ルメール騎手がプラカードを持っていましたね。
永島 はい。ありがたかったです。
古川 ちょうどパトロール室にいたんですけど、ルメール騎手が一番に「プラカードを持ちます!」みたいな感じでした。
▲ルメール騎手の紳士さが伝わってくるエピソード (撮影:高橋正和)
永島 そうだったんですね。うれしいです!
Q2「報道などで、いつも“女性騎手が〜”と付けられるのは、正直、違和感がある」
▲ふたりそろって迷わず「〇」 (撮影:桂伸也)
古川 そういうことに囚われずに、もっともっと勝ち鞍を伸ばしていけるように貪欲に頑張っていきたいと思っているので、そこまで気にしてはいないんですけど、やはり「女性騎手初の〜」みたいな感じで取り上げられることが多いので…。でも、気にしすぎないように心がけている感じです。
永島 注目していただけることはすごくありがたいなと思うのですが、女性騎手というよりも、ひとりの騎手として見ていただけるように、もっと頑張らなければいけないなと感じることはあります。
──注目されることのメリット、デメリットについては、どう感じていますか?
古川 騎乗依頼をしてくださる関係者の方々のおかげでレースに乗れているので、注目されることで1頭でも多くの馬に乗せていただくことができれば、それはプラスなのかなと思います。
ただ、そのぶん上手くいかないことも目立ってしまうと思うので、着実に技術を身に着けていかなければいけないなと思います。
永島 メリットは、たくさんの関係者の方々に「永島まなみ」という存在を知っていただける機会になるということだと思います。
デメリットは……、そこまで大きなデメリットはないと思うのですが、古川さんがおっしゃったように、小さなミスでも目立ってしまうことは多少あるのかなと。ミスではなく、結果で目立っていけるように頑張らなければいけないなと思います。
──ちょっと話はズレますが、先ほどから古川騎手のことを「古川さん」と呼んでいらっしゃいますね。普段はどう呼び合っているんですか?
永島 「古川さん」です。
古川 私は「まなみちゃん」と呼んでいます。
──そうなんですね。てっきり、「奈穂ちゃん」「まなみちゃん」かと思っていました。
永島 いやぁ、「古川さん」です…(笑)。
古川 何度も名前で呼んでいいよって言ったんですけどね。競馬学校の頃から、ずっと変わらない(苦笑)。でも、もう3年くらいずっとそうなので、私も「古川さん」と呼ばれることに慣れてしまっています。
Q3「同期のなかでも、やはりお互いの存在を一番意識してしまう」
▲この質問も二人の答えは一致 (撮影:桂伸也)
永島 プロの道を目指して、一緒に3年間頑張ってきたので、同期の活躍は励みになりますし、頑張らなくちゃという気持ちになるし、もちろん負けたくないとも思います。ただ、古川さんをとくに意識しているわけではなく、同期みんなに対してそう思っています。
古川 私も同じです。みんな一緒にスタートしたわけですが、レースを見ていて「上手いな」と感じる部分がありますし、同期の騎乗から勉強になるところも多いです。
もちろん、同期の活躍はとても気になりますし、誰かが勝ったら、たとえほかの競馬場にいても話題になります。そうやってみんなで意識し合って、切磋琢磨していけたらいいなと思います。
──永野猛蔵騎手と小沢大仁騎手が初騎乗初勝利。さらに小沢騎手はデビュー日に2勝を挙げましたね。ちょっと意地悪な質問ですが、素直に「おめでとう」と思えましたか? それとも焦りにつながった?
永島 両方ですね。初騎乗初勝利を挙げた永野くんについては、「すごいなぁ。おめでとう」と思えたのですが、小沢くんは2勝もして…。少し焦る気持ちがありました。
古川 私は、小沢くんが初勝利を挙げたレースで一緒に騎乗していたので、自分が勝てなかったことに悔しさがありました。2勝目は、素直にすごいなと思いましたし、焦りというより羨ましい気持ちのほうが強かったです。自分も早く勝ちたいなとすごく思いました。
(文中敬称略、次回は4/19の公開予定です)