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【小倉記念】つられて動かず「流れに乗ったまま」松山弘平騎手の的確な判断

  • 2021年08月17日(火) 18時00分
哲三の眼

小倉記念は6番人気のモズナガレボシが差し切り勝ち (C)netkeiba.com


今年の小倉記念は6番人気のモズナガレボシが制しました。鞍上をつとめた松山弘平騎手の騎乗ぶりに思わず声が出たという哲三氏。後方からのレースを選択した点や、3コーナーでの攻防に注目しつつ振り返ります。

(構成=赤見千尋)

その馬の一番の走りが出来るように構えられている


 小倉記念は6番人気だったモズナガレボシが外から差し切り勝ち。鞍上の松山(弘平)君の騎乗ぶりを見て「巧いなぁ」と声が出ました。

 今回は後方からのレースを選択しましたが、松山君は基本的にポジションをしっかり取りに行く、勝てるポジションを探しに行くというところで前目の競馬が多いイメージです。でも今回のように後ろからの競馬ももちろんあって、そういう場合、前目のポジションを取ろうとして後ろからになるということはあまりなく、後ろから行こうという意識で後ろからのレースを選択しているように思います。

 騎乗馬の特徴やその時の馬場状態などで、前目がいいのか後ろからがいいのかは違ってきますが、前を取る時は取る、後ろからの時はしっかり後ろからのレースをしてくれるので、ムラが少ないんですよね。

 どの位置にいても、その馬の一番の走りが出来るように構えられているというのは大きいなと。変にスピードを落とすのではなく、スピードに乗った中でしっかり構えられているので、レースの中で優位に立てる場面を作る確率が高い。どこの位置にいるかということだけではなくて、自らスピードを落としてしまうと、駆け引きでも劣勢になりやすくなってしまいます。このレースは後ろから行っているけれど、劣勢にはなっていないように見えました。

 そういうところが勝負所にも繋がっていくわけで、3コーナーで(武)豊さんを内に閉じ込めているわけではないけれど外に出さない、出られないようなポジショニングをしています。その場面の攻防は見ていてとても面白くて、豊さんは早めに内をすくって動いて行くんです。こうなると豊さんにつられて外にいる馬も早めに動きそうな場面ですが、松山君はそこで動かずに流れに乗ったままのレースをしている。

 経験の浅い若いジョッキーだったらつられて動いたりするんじゃないかと想像しますし、外がつられて動いたら豊さんの勝ちだったかもしれない。松山君はそういう判断も的確でしたね。

哲三の眼

「スピードに乗った中でしっかり構えられている」と哲三氏 (C)netkeiba.com


 この日の小倉の馬場状態を読むのは難しく、かなり難易度が高かったように思います。外から乾いて来て、内はそんなに悪くは見えないけれど重い。コース取りの駆け引きで上手く行かなかった騎手もいる中、松山君はさすがの馬場読みでした。

 関屋記念は4番人気だったロータスランドが初重賞制覇を果たしました。まずは好スタートを切って、田辺(裕信)君のゲートの巧さが光りましたね。そして道中も直線も内ラチ沿いを離さなかったというのは大正解だったと思います。こういう騎乗は田辺君らしい特徴でもありますが、初コンビでこの馬の良さを引き出したのはさすがです。

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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