改めて中央競馬の層の厚さを感じずにはいられなかった
8月12日(木)、門別競馬場で「第33回ブリーダーズゴールドカップ」(JpnIII、距離2000m、牝馬限定、1着賞金3100万円)が行われ、中央から遠征してきた1番人気のマルシュロレーヌ(川田将雅騎手)が、粘るリネンファッションをゴール前で捉え、2分の1馬身差で差し切って優勝した。
出走頭数は10頭の予定だったが、中央馬のレーヌブランシュと地元ホッカイドウ競馬所属馬のサイファリスの2頭が取り消しとなったため、8頭立てのやや少ない頭数となった。中央馬4頭に対し地元勢4頭という構成だが、人気は中央所属馬に著しく偏った。
1番人気マルシュロレーヌが1.5倍、2番人気にはメモリーコウ(古川吉洋騎手)で4.4倍。3番人気にはアッシェンプッテル(藤岡佑介騎手)の4.7倍、続いてリネンファッション(武豊騎手)の6.4倍である。10倍を切るのはここまでで、5番人気以下の地元勢はネーロルチェンテ(石川倭騎手)の79.9倍を筆頭に、マリーンワン(阿部龍騎手)、クオリティスタート(桑村真明騎手)、ストラール(阪野学騎手)はいずれも3桁の単勝オッズであった。
第11レースに組まれたブリーダーズゴールドカップ。スタートはゴール板の手前400mの位置である。外回りコース。少頭数且つ古馬なので枠入りは順調である。
ほぼ揃ったスタートでレースが始まった。最初の1コーナーにさしかかるあたりで、すでに中央勢4頭が前に出て一団を形成する。先手を取ったのは1番リネンファッション。アッシェンプッテルが続き、マルシュロレーヌ、メモリーコウも差のない位置でレースを進める。2コーナーから向こう正面に出たところで、完全に中央勢4頭と、地元勢との間が離れてしまった。中央勢から3馬身差ほど離れた5番手でマリーンワンが追走するが、3コーナーにさしかかると、少しずつ差が開き、この時点で完全に中央勢同士の争いになった。
マルシュロレーヌ・川田将雅騎手が先行するリネンファッション・武豊騎手を横目で見ながら、4コーナーを回る。持ったままの手ごたえで、残り200m地点を過ぎると、ようやく追い出しにかかり、ゴール前できっちりと2分の1馬身の差をつけて1着でゴール板を駆け抜けた。リネンファッションから3馬身遅れの3着にアッシェンプッテル、さらに2馬身2分の1差でメモリーコウが入り、予想通りに中央勢が上位独占であった。
1着で駆け抜けたマルシュロレーヌ
2着に敗れたリネンファッション
このレースを制したマルシュロレーヌは牝馬5歳鹿毛、父オルフェーヴル、母ヴィートマルシェ、母の父フレンチデピュティという血統。栗東・矢作芳人厩舎の管理馬で、馬主は(有)キャロットファーム。生産はノーザンファーム。通算成績は20戦8勝2着2回3着2回。獲得賞金は付加賞を含め19327万円。昨秋より芝からダート路線に転じて以来、8戦を消化したが、これで実に4つ目の重賞制覇となった。
着差以上の強い勝ち方に「この馬らしい勝ち方でした。いつも以上に進んでくれて楽に(好)位置を取ることができました。初めての門別コースも問題ありませんでした。昨年JBC勝てなかったので今年はそこを目標にしたいです」と川田将雅騎手はレース後にコメントしていた。
引き上げてきたマルシュロレーヌ
また矢作芳人調教師は「正直このメンバーなら負けられないとは思っていました。パドックでも落ち着きがあり、張りもあって、良い状態で持ってこられたなと思っていました。今、この馬は牝馬では一番強いのではないかと自負しています。どこかでまた牡馬に挑戦させてやりたいと思いますので、応援を宜しくお願い致します」と語っていた。
口取りの様子
次走は大井のレディスプレリュード、そしてJBCというローテーションになりそうだが、矢作師は「金沢のJBCは距離がやや短いのでそこがどうかとは思っています」とも付け加えた。
表彰式の様子
この日、門別は、入場人員こそ500名の上限が設定されているため、554名と少なかったが、売り上げは13億円を超え、昨年の16億円には及ばなかったものの興行的にはまずまず成功であった。ただ、古馬の牝馬となると、地元勢と中央勢とではあまりにも力量差が懸隔しており、馬券的にもレース的にもややつまらない内容になってしまった印象は拭えない。
ブリーダーズゴールドカップのパドックの様子
それと同時に、マルシュロレーヌの強さを目の当たりすると、改めて中央競馬の層の厚さを思わずにはいられなかった。この差が埋まる日は来るのだろうか?
これで重賞4勝目となったマルシュロレーヌ