一方のソダシは好調時の闘志を見せていたと思えたが…
テーオーケインズが6馬身差の圧勝(C)netkeiba.com
4歳の上がり馬テーオーケインズ(父シニスターミニスター)が6馬身差の圧勝。春の帝王賞に続くビッグレース制覇となり、新しいチャンピオン誕生を強烈に印象づけた。
6馬身差は、2001年のクロフネの7馬身差(当時はジャパンCダート)に次ぐ大差だった。種牡馬シニスターミニスター(A.P.インディ系)は、インカンテーション、ヤマニンアンプリメなど多くのダート巧者を送ってきたが、ビッグレースの勝ち馬は少なかった。テーオーケインズはまだ4歳。これからさらにタイトルを獲得できるだろう。
楽なペースだったこともあるが、テーオーケインズは自身初めて上がり3ハロン35秒台(35秒5)を記録してみせた。同年の帝王賞と、チャンピオンズCをともに圧勝はすごい。馬場状態を問わない。
意外なほどすんなりソダシ(父クロフネ)が先手を取ることになったレースの流れは、前半1000m通過61秒4。スローとはいえないまでも、2番手のインティ(父ケイムホーム)以下が控えたため、レース展開に死角のあったソダシには、最終4コーナーを回るまで願ってもない形だった。
ところが、抵抗する印象もなく失速(12着)してしまったソダシには、「引き上げてきて、息が上がっていなかった(須貝調教師)」という不思議なコメントが聞かれた。パドックや、レース前の待避所では好調時の闘志を見せていたと思えたが、気持ち(気力)の問題だろうか。初ダートで、古馬のエース級相手のGI、力及ばずの敗戦は仕方がないが、このペースで行きながら、抵抗の気配もなく失速では精神面の不安が大きくなってしまった。調教では何事もないように軽快に動く。これだけの牝馬にムリはさせられない。陣営の苦心は続くことになる。
3番人気のチュウワウィザード(父キングカメハメハ)は、1分50秒7(自身の上がり36秒2)で2着。時計が遅いのはレースの流れ(昨年より前半1000m通過は1秒1遅い)も関係するが、なんとか2着は確保したが…、そんな印象が残る物足りない内容だった。パドックの気配など、文句なしの好状態と映っただけに、上昇の波に乗って圧勝した勝ち馬との勢いの差を感じさせた。
4番人気のカフェファラオ(父American Pharoah)は、初ブリンカー装着。外枠だけにプラスに出ると考えられたが、折り合いもう一歩を思わせて、道中の動きに余裕がなく11着に失速。これで通算【5-0-0-5】。勝つときは、もっと強くなるスケールを印象づけるが、負けるときはGI馬とは思えない凡走。あまりにも難しいGIホースだ。
近くにいてゲートで暴れ大きく発走を遅らせたダノンファラオも、American Pharoah産駒。あまりおとなしいタイプではない内面があるのだろうか。
3着アナザートゥルース(父アイルハヴアナザー)のしぶといレース内容、一旦先頭に立ってみせた同じ7歳の4着インティも、まだまだ健在を示したが、今回の2着以下のチャンピオンクラスは、そろってテーオーケインズの引き立て役にとどまってしまった。