スマートフォン版へ

【Vol21】地方競馬所属馬の激走がダートグレード競走を面白くする!/舩山陽司(アナウンサー)

  • 2022年01月20日(木) 12時01分
地方競馬MYSTYLE図鑑

競馬実況歴20年・舩山陽司アナウンサーが語るダートグレード競走の魅力!


競馬記者、元ジョッキー、アナウンサー、タレント、お笑い芸人など各界の競馬好きによって構成される「地方競馬アンバサダー」が思い思いのスタイルで楽しむ、地方競馬の魅力を隔週で発信!

 今から20数年前、全国にダートグレード競走が林立していた頃、とある地方競馬関係者が呟いた。「JRAと交流するから地方競馬がどんどん人気が無くなるんだよ。地元で連戦連勝の『おらが町のヒーロー』が、JRAのよく分かんない馬に負けるんだよ。ガッカリするよなぁ」と。

 確かに当時はそんな雰囲気だった。

 トウケイニセイが負けた、ブライアンズロマンが負けた。地元で無敵のヒーローが、交流競走で敗れてしまう。そんな悲しさ、悔しさが、活発化する交流競走の裏にあった。

 時は流れて、年間に40ものダートグレード競走が組まれている今、そんな物悲しさはない。

 廃止寸前の危機を乗り越え、何度目かの上昇気流に乗っている地方競馬には、後ろ向きになっている暇など無いのだ。JRA勢との実力差は確かにあるが、そこに敢然と立ち向かう地方の雄。ファンも良く分かっている。だから応援に熱が入る。馬券も売れる。

「中央vs地方」が悲しみを帯びることなく、ファンの興味をそそるコンテンツとなって存在感を放っている現状に、ダートグレード競走の成熟を感じざるを得ない。

 さて、ダートグレード競走の面白さは「地方所属馬がどこまで食い込めるか」に尽きるだろう。血統や調教施設など、JRA勢には一歩譲るが、そんなハンデをどう埋めて一泡吹かせられるか。そんな地方勢の気概にこそ、一票を投じる価値がある。

 2020年末にはアランバローズが全日本2歳優駿(JpnI)を圧勝し、2021年に入ってカジノフォンテンが川崎記念(JpnI)とかしわ記念(JpnI)を優勝。エンプレス杯(JpnII)とマリーンカップ(JpnIII)ではサルサディオーネが粘りを見せ、黒船賞(JpnIII)ではモジアナフレイバーが好走し、東京スプリント(JpnIII)ではサブノジュニアが意地を見せた。

 最近だけでもこれだけの地方勢が活躍。そして、これだけ馬券とは別に興奮できるレースが行われたのだ。冒頭の地方競馬関係者は、今どんな思いでレースを眺めているのだろうか。

 ちなみに私の馬券は「地方競馬所属馬を何着にするか」から始まる。ダートグレード競走は地方所属馬を買ってこそ旨味がある。一昨年はJBCスプリント(JpnI)でも全日本2歳優駿でも美味しい思いをした。

 では、どんな馬を買えば良いのか。

 1つ目は「速い流れを利用できる事」。ダートグレード競走は距離を問わず、地方所属馬だけのレースと比べて流れが速くなりやすい。まずは、この流れに戸惑わない事。そして、その流れを利用できる事が重要だ。

 古い話で恐縮だが、2000年の帝王賞(JpnI)では息の入らない流れをファストフレンドが纏めて交わし、後方待機の13番人気ドラールアラビアン(大井)が追い込んで馬連が万馬券になった(獲ったからよく覚えている)。地元重賞では追い込みが不発に終わっていたドラールアラビアンが、速い流れを利用して一気に台頭。地方馬同士よりも流れが速くなるダートグレード競走だからこそ好走出来た典型例だろう。

 2つ目は「先手を取れる事」。前出のカジノフォンテンも、アランバローズも、サルサディオーネも、共通しているのはレースを引っ張れるスピードがある事。ダートはやはり先行有利。まして小回りで、走り慣れていないJRA勢が戸惑う中、すいすいと逃げてしまえば、簡単には捕まらない。

 例えば2016年のかしわ記念は6番人気のソルテ(大井)が平均ペースの逃げを打ち、コパノリッキーには交わされたが2着に粘り3連単は5万馬券(獲ったからよく覚えている)。地の利、先行力を最大限に生かし切ったレースだった。

 と言う訳で、ダートグレード競走は地方所属馬を上手に馬券に組み込みながら万馬券を狙ってみよう!

 配当の喜びと判官贔屓の両方が満たされるはずだ!!




《関連リンク》
ダートグレード競走特設サイト


地方競馬情報サイト

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬記者、元ジョッキー、アナウンサー、タレント、お笑い芸人など 各界の競馬好きによって構成される「地方競馬アンバサダー」が 思い思いのスタイルで楽しむ、地方競馬の魅力を隔週で発信!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング