先週いっぱいで東西合わせて7名の調教師が定年を迎えました。なかでも栗東所属唯一の引退となった浅見秀一調教師といえば、小牧騎手をGIジョッキーにしたレジネッタをはじめ、5頭のGI馬を輩出した名伯楽です。「寂しいもんやね」と小牧騎手もしんみり。今週の『太論』では、日曜日に行われた引退式での様子を交えながら、浅見調教師への思いを語ってくれました。(取材・文:不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
加矢太騎手のデビュー戦は未定も「毎日頑張ってるよ!」
──先週土曜日のニホンピロマリブは5番人気10着(2月26日・小倉12R・4歳上1勝クラス・芝1800m)。前が止まりませんでしたね。
小牧 前残りやったね。そうだろうなぁと思っていたから、今回はちょっと前に行こうかなとも思ったんやけど、前回でじっくり乗ったほうがいい結果が出ることがわかったから。
──先行して伸びず…の競馬が続いていましたが、前回は勝った新馬戦を彷彿とさせる脚でした。
小牧 うん。今回はそこまで下げたわけではないけれど、思った以上にペースも落ち着いてしまって。あとは馬場をちょっと気にしていたかもしれない。
──良馬場とはいえ悪かった。
小牧 そうやね。最終レース1頭で行っていたから、僕もちょっとガックリきたけど、終いの生きる流れになれば、まだまだチャンスはあると思うよ。
──日曜日のグレアミラージュは5着(2月27日・阪神6R・4歳上1勝クラス・ダ1400m)。最後は狭いところをよく伸びてきましたね。
小牧 4コーナーに向くまで、ちょっと窮屈な競馬になったね。それに、左にモタれたりする馬で、右回りはちょっとフラフラするところがあって。ただ、以前に比べると、明らかに走り出した。いい感じや。
──ずっと1秒以上負けていた馬が、ここ2戦はコンマ2秒差、コンマ5秒差ですもんね。
小牧 改めて、これはチャンスあるなと思った。できれば内枠がほしいね。
──最後の最後にきっちり5着に上がったあたり、小牧さんの執念を感じましたよ。
小牧 ホンマによかった…(苦笑)。もうね、必死ですわ。権利を取っておかなアカンからね。6着と5着は全然違う。この馬もそうやけど、僕自身、早く勝利に結びつくような競馬がしたいね。
──さて、今週末には、いよいよ“小牧加矢太騎手”がデビューを迎えます。「初戦の馬は決まっていますか?」「最初の週から加矢太騎手が見れるのでしょうか」などなど、ファンからメッセージや質問がきています。
小牧 デビュー戦はまだ決まってないんやけどね。やっぱり障害の馬は自分で調教して作ったり、時間が必要みたいやから。まぁまだわかんないけどね。騎手が決まっていない馬がいれば、乗せてもらえるかもしれないし。
──障害だけに、中間のコミュニケーションが大事になってきますものね。
小牧 そうそう。月曜日以外、毎日トレセンに行って頑張ってるよ。なんせ初めてのことやからね。
──父親としては、ドキドキですよね。私ですら、想像するだけでドキドキする…(苦笑)。
小牧 ドキドキやけど、まぁ楽しみやね。今週末についてはまだハッキリしていないけど、僕も楽しみにしておくわ。とりあえず、まだゲートからスタートもしていない段階やし、みんなに可愛がってもらって、数多く乗っていってくれたらいいなと思ってます。
──今週はさらに、引退した浅見秀一調教師について、こんなメッセージが届いています。「浅見厩舎と小牧騎手といえばレジネッタ。レジネッタを通して、浅見先生と何かエピソードがあれば教えてください」。
小牧 日曜日は6レースで終わっていたけど、いつもみたいに帰らんと、引退式まで待ってました。なんせ浅見先生にはお世話になったからね。レジネッタでは、オークスで東京にも連れて行ってもらったし、夏は札幌にも行かせてもらって。引退式でもね、今は握手とかしたらアカンなぁと思いながら、僕ひとりだけ先生に駆け寄って、「お疲れさまでした」とだけ伝えさせてもらいました。
──小牧さんにとって浅見先生は、やはり特別な存在なんですね。
小牧 そうやね。僕に大きなきっかけを与えてくれた先生やから。人情味のある昔気質の先生でね。お弟子さんもいっぱいいて、競馬界にとっても大きな存在やったと思う。こうやってひとり、またひとりと、お世話になった先生たちが引退していってしまうのは、やっぱり寂しいもんやね。長いこと乗っていると、送り出してばっかりや。