調教の判断が後々のGIでも重要に
今週は桜花賞トライアル、チューリップ賞と皐月賞トライアル、弥生賞。どちらのレースにも2歳GIを勝った馬が登場するだけに、トライアルでも一番重要な意味を持つレースとなりそうです。
ここでポイントになるのが、トライアルに対する意識の違い。この先のGIを見据えた仕上げなのか、それともここで権利を獲得しないといけないのか。これって毎年のことなんですが、すでに賞金を持っている馬のレベルがどうかという部分。予想においてはここが一番重要かも知れませんが、とにかく調教で判断するとどうか。という部分に関しては的確に判断すること。これが後々のGIでも重要になってくるはずです。
【オーシャンS/ビアンフェ】
昨年はスプリンターズSからのローテーションでしたが、今年はシルクロードSをひと叩きしています。しかも去勢しての初戦でしたから、昨年の調教内容はあまり参考にならないかも知れません。ただ、3着したということ、そして函館SSは勝っているという意味で、この2レースの最終追い切りの共通点はCWと札幌芝ということでトラックでした。
今回の最終追い切りは坂路。いつものパターンといえばそうなんですが、ここは気になるところ。時計的にも4F51.7秒も数字としてはここ2走と同じですし、葵Sを勝った時の坂路4F51.1秒とも大きな違いはありません。決して悪くない調教内容ですが、前走から大きな進展があるとも感じない、そんな印象です。
【チューリップ賞/ナミュール】
前走阪神JFが4着でしたが、これをどう判断するか。レース間隔が詰まったことが影響したとすれば、赤松賞のようにレース間隔をあけたことは悪くないかも知れません。その赤松賞、追い切りが4本しかなかったので、これでは足りないだろうと思ったんですが、きっちり勝っていますから、このあたりは牝馬の高野友和厩舎の仕上げだと思います。
ただ、今回と当時の違いは中間の併せ馬。1週前追い切りも含め、3本すべての併せ馬が先着していた赤松賞に対し、今回は1週前が遅れ。併せた相手がめちゃくちゃ動く馬だったということはありますが、とはいっても、こちらも重賞で勝ち負けしようという人気馬。そう考えると、状態は赤松賞の時ほどではない、と考えます。
【チューリップ賞/ウォーターナビレラ】
前走阪神JFで連勝はストップしてしまいましたが、先行して3着を確保したあたり、この世代の牝馬ではトップクラスの実力で間違いないでしょう。重賞を勝っていることもあり、ここがどのくらいの仕上げで出走してくるのか、ここは桜花賞に向けても重要なポイントです。
調教量は坂路で1本、CWで2本。1週前追い切りはワールドウインズを追走して、素晴らしい先着でした。最終追い切りは単走ということもあって、かなり軽め。ただ、中間の調教量を考えると、少し軽すぎないかな、という感じです。次走を見据えて、あえてこのくらいの負荷にとどめているのかも知れませんが、これで上位に来るようなら、他がちょっと、という気はします。
この世代の牝馬ではトップクラスの実力で間違いないウォーターナビレラ(3月2日撮影)
【弥生賞/ドウデュース】
前走、朝日杯FSのために栗東へ帰厩した際はムキムキの馬体で、まるでサリオスのようだと思いましたが、今回の帰厩では少し胴が伸びた印象。まるで今年走る距離を知っているかのような成長に驚きましたが、これに加えて、気性的な部分でも落ち着きが増した印象。
1週前追い切りの動きも素晴らしかったと思いますが、最終追い切りも文句なし。CWでの併せ馬は楽々の動きでしたし、ゴールを過ぎてからの様子はもう1周回ってくるんじゃないかというくらいの余裕。道中で全く無駄がないからこそ、ゴールまで余力があるんでしょうね。ということで、この馬に関しては、仕上がり何割という表現は難しくて、今後も伸びしろのある万全の仕上げ、と表現しておきたいと思います。
今後も伸びしろのある万全の仕上げのドウデュース(3月1日撮影)
【弥生賞/マテンロウレオ】
前走きさらぎ賞はGIの後の中5週でしたが、7本の追い切り。1週前追い切りではCW6F78.9秒をマークするなど、負荷としては最高レベルの内容だったと思います。これで結果を出したわけですから、今回の中3週はどんな仕上げになるか、非常に注目していました。
まず今回は追い切りがすべて坂路。これは初めてのパターンですし、最終追い切りが坂路というのも初めて。ただ、1週前追い切りが坂路で4F51.6秒の自己ベスト更新という強い負荷をかけており、レース間隔を考えれば、これで十分とも思えます。きっと先を見据えた上で、現状、力を発揮するためにはこのパターンという仕上げなのでしょう。あとは差し脚質でどこまでの着順、という部分だと思います。
◆次走要注意
・2/26 すみれS【ヴェローナシチー】(4人/3着)
スタートが遅いのはいつものことですが、ペースが落ちた向正面でも後方まま。ここで動いておけば、というレース展開ですから、能力を出したとは思えません。次走は若葉Sということですから、今回と同じような最終追い切りなら今度こそ。
[メモ登録用コメント] [若葉S]最終追い切りが栗東坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け
◆開催おすすめの調教適性
<中山芝2000m>
◎追い切り本数が標準以上の併用系統の調教タイプ
○2週前追い切り以降ウッドチップ馬場4F53秒以下2本以上
先週は未勝利で行われた芝2000mだったので、追い切り本数が少ない併用系統でも1着でしたが、基本的には運動量が必要なはず。トラックでの速い時計は小回り対応ですから、これらの調教適性をクリアした馬は要チェックです。