種牡馬の世界は戦国時代に…
毎年、新種牡馬が産駒を登場させて競馬に新味をもたらしているが、今年は、例年以上に新しい風を感じる。ディープインパクトは今年の2歳世代がラストクロップでどんどん種牡馬の世界は戦国時代に入っていくようだ。ノーザンテースト、サンデーサイレンス、ディープインパクトと続いた時代を受け継ぐチャンピオンサイアーが生まれるのか、今まさにその戦いが始まっていると言ってもいいだろう。
新種牡馬28頭の中で支持も多く、新しさを覚えたのが、アメリカのチャンピオンスプリンターのドレフォンだったが、産駒がデビューするとそのスピードを生かし芝、ダートを問わず千二百、千四百、マイル、千八百米で勝利を重ね、2021年JRA新種牡馬ランキング第1位、77頭がデビューし30勝を上げていた。BCスプリントなど短距離G1・3勝の快速馬が種牡馬となって日本に入り、初年度から成果を上げていることは、競馬にもとめられているものが何であるか、そこに思いを寄せてもいいだろう。
そうこうしているところに、皐月賞でその産駒ジオグリフが1冠目を手にした。レースの運びが巧かったが、2000米で勝てたのは大きい。そして2着にも、新種牡馬キタサンブラックの産駒イクイノックスが、わずか3戦目、しかも中147日の異例のローテーションで入り、さらなる可能性を感じさせた。
キタサンブラック産駒は2歳戦で45頭が出て13勝していたが、そのうち芝が11勝。距離別では、ダートの2勝を含め大半が1800米以上で勝っていた。現役時のイメージ通りと言っていい。
そして、桜花賞でも2着に、新種牡馬シルバーステートの産駒ウォーターナビレラが入っている。シルバーステートはディープインパクトを父に持ち期待されたが、2度の屈腱炎で5戦4勝で引退していた。2歳レコードをマークし「未完の大器」と呼ばれていたが、その産駒は2歳戦で62頭で17勝していた。1200から2000米まで幅広い距離で勝っており、どう記録を伸ばしていくか注目できる。
これら新種牡馬3頭は、2歳戦で上位を占めていたが、これに続いたのがイスラボニータと米国産のアメリカンペイトリオットで、イスラボニータは3月に中京のファルコンSをプルパレイが勝ち、3歳マイル王の有力候補になっているし、アメリカンペイトリオットはスプリングSでビーアストニッシドが逃げ切り存在を示していた。
さらには、ドレフォン産駒のデシエルトがリステッド競走の若葉Sを勝っているし、とにかく新種牡馬産駒から目が離せない。
春のクラシックも次の段階に入るが、今週のフローラSにはキタサンブラック産駒3頭が、オークスめざして戦う。マイルで3戦2勝のラスールがどんな進化を見せるか。ストライドが大きく将来性があると思うのだが。だいたいが9ハロン以上からの臨戦がいいレースだけに、興味が尽きない。
「切符手に いざオークスで どう走る」