凱旋門賞に大いに期待したいヨーロッパ最高クラスの重厚なスタミナ血統
先週の血統ピックアップ
・6/26 宝塚記念(GI・阪神・芝2200m)
4コーナーで先頭に立ったタイトルホルダーが後続を寄せ付けず押し切りました。勝ちタイム2分09秒7はコースレコード。宝塚記念史上初めて2分10秒の壁を破りました。7馬身差で圧勝した天皇賞・春も驚きでしたが、今回のレース内容も持続力のお化けというべきもので、想像のはるか上を行くものでした。ここにきて大きく成長し、以前とは別馬となった感があります。
それを可能にしているのは母方に入るヨーロッパのスタミナ血統。母の父モティヴェイターは英ダービー馬で、トレヴ(凱旋門賞2回などG1を6勝した女傑)の父。その父モンジューは凱旋門賞や仏・愛ダービーなどG1を6勝。2代母の父シャーリーハイツは英・愛ダービー馬。母メーヴェはヨーロッパ最高クラスの重厚なスタミナ血統を集めています。
これに社台グループの歴史そのものといえるドゥラメンテを交配して誕生したのがタイトルホルダー。
この秋に挑戦する凱旋門賞は血統的に合っていると思われるだけに、大いに期待したいところです。
・6/26 パラダイスS(L・東京・芝1400m)
2番手に控えたリフレイムが直線で外から先頭に立ち、ラルナブリラーレの追撃をクビ差しのぎました。
父アメリカンファラオは米三冠とブリーダーズCクラシックを制覇した歴史的名馬。欧米では芝とダート双方で実績を挙げていますが、日本の芝は高速決着になりやすく、切れ味も要求されるので、カフェファラオ(フェブラリーS2回)やダノンファラオ(ジャパンダートダービー)などダートの実績が優れています。芝における活躍馬はほぼ本馬しかいません。
母ケアレスジュウェルはアラバマS(米G1・ダート10ハロン)などアメリカで3つの重賞を制した名牝。芝実績と血統を考えると、繁殖牝馬としての価値はきわめて大きく、どんな仔を産むのかいまから楽しみでなりません。
今週の血統注目馬は?
・7/2 開成山特別(1勝クラス・福島・芝2600m)
福島芝2600mに強い種牡馬はゴールドシップ。2012年以降、当コースで産駒が20走以上した20頭の種牡馬のなかで連対率25.9%は第3位。
当レースに産駒が登録している種牡馬のなかではナンバーワン。
ちなみに、1位オルフェーヴルはゴールドシップと同じ「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせで、5位は両馬の父ステイゴールド。
この系統が強いコースといえます。今回登録しているネイチャーシップは、過去5走、3、3、4、3、3着と勝ち切れませんが、乗り方ひとつでしょう。
今週の血統Tips
宝塚記念を勝ったタイトルホルダーはサドラーズウェルズの血を抱えています。凱旋門賞はサドラーズウェルズを抱えた馬が強く、過去10年間の勝ち馬のうち、この血を持たなかったのはゴールデンホーン(2015年)しかいません。
もちろん、ヨーロッパの中長距離血統はサドラーズウェルズの影響が強いので、当然、その血を引いた馬が凱旋門賞でも活躍するわけですが、それを考慮に入れても強さは際立っています。
日本調教馬として初めて凱旋門賞で連対を果たしたエルコンドルパサー(1999年2着)は、母の父がサドラーズウェルズでした。このとき勝ったモンジューもサドラーズウェルズの仔です。
1999年以降、凱旋門賞に出走した日本調教馬は延べ26頭いますが、サドラーズウェルズを抱えた馬は、エルコンドルパサーとメイショウサムソン(2011年10着)の2頭しかいません。日本から凱旋門賞に遠征する競走馬は、日本の芝中距離に強い血統背景を持つわけですが、それが必ずしも凱旋門賞に向いているとは限りません。
その意味で、今年挑戦する可能性が高いタイトルホルダーは、日本を代表する競走馬でありながら、なおかつ凱旋門賞に向いた血統背景を持つ稀有な馬です。