逃げた馬が強いと思われがちだが…
今週の毎日王冠は登録が10頭。ということは当然ながら10頭以下で実施されるということになる。
別定・定量の芝GII(世代限定戦含む)が10頭立て以下で行われたことは、2002年以降の20年強で82レースある。
頭数が少ない→ペースが上がらない→逃げた馬が強いと思われそうだが、実際にはちょっと事情が異なる。4角先頭の回収率は高いがこれは2021年金鯱賞のギベオン(単勝22730円・複勝1890円)が一発で上げたものでもある。4角先頭だった馬の複勝率は34.1%。それに対し4角2〜3番手だった馬は45.6%とこちらのほうが高い。
むしろ頭数の揃わないGIIでは、馬群が凝縮する→上がり順位だけで決まる、ということを意識したほうがよい。該当レースで上り1〜3位になった馬の複勝率は68.9%、複回収率は134%。頭数が少ない前提だから複勝率が高いのは当然だが、回収率もしっかり高い。
ただ、どの馬が上がり最速やそれに近いタイムを出すかは、事前には分からない。分かるのは前走の成績だけだ。
前述の82レースのうち前走で上がり3位以内だった馬は複勝率39.1%、前走上がり4位以下は25.5%なのだが、これは後者に「単に能力が足りない馬」が含まれやすいことが影響している。
そこで前走オープン5着以内馬に限定すると、前走上がり3位以内馬は複勝率48.6%、回収率は単52%・複76%。それに対し前走上がり4位以下馬は複勝率こそ42.5%とやや低いが回収率は単342%・複101%。こちらにはギベオンが含まれるのでそれを除いても単187%・複89%でまだこちらのほうがだいぶ回収率が高い。
要するに、「前走の上り順位は高くはないが今回の上がり順位は高くなりうる馬」を探さなければならないということになる。逃げ馬が強い条件のレースを予想する際に「前走は逃げていないが今回は逃げる馬」を探すのと似ている。簡単ではないが、競馬がギャンブルとして成立する所以はそこでもある。