▲38年ぶりにした“あること”とは…?(c)netkeiba.com
先週の会津特別では、11番人気フチサンメルチャンで怒涛の追い込みを見せた小牧騎手。初の芝1200mでの見せ場十分の3着に、俄然楽しみが広がりました。そして今週は、取材ののっけから「いいネタがあるわ」と何やら含みを持たせて…。聞けば、38年ぶりに“あること”をしたという小牧騎手。はたして、その驚愕の内容とは
(取材・文:不破由妃子)
38年ぶりの出来事に…「障害ジョッキーの気持ちがわかったわ」
──先週は、ちょうど1年ぶりの福島参戦でしたね。
小牧 うん。今日はね、いいネタがあるわ。もちろん馬に関係することやけど、38年ぶりにやったことがあってね。さて、なんでしょう?
──38年ぶりとなると、デビュー前だから……寝藁を上げたとか
小牧 いやいや(苦笑)。デビューして37年やから、学校生以来のことをしたのは間違いないんやけど。なんかね、朝からすごく気持ちがよかった。
──降参です。教えてください…。
小牧 あのね、福島競馬場の障害を飛んだんですわ。土曜日の朝、ダンツキタイのスクーリングに乗ることになってね。初めてバンケットに行って、学校の授業以来、38年ぶりに障害を飛ばしたわ。
──えー! それはすごい。
小牧 バンケットだけ見せてくれたらいいっていう話だったので、障害を飛んだのは1回だけやけどね。
──どの障害を飛んだんですか?
小牧 バンケットの前のグリーンウォール(緑の人口素材で作られた障害)やね。それを飛んで、バンケットに向かいますやん。バンケットも初めて行ったけど、上って下って……怖かったねぇ。あの、なんともいえないフワッとする感覚、やっぱり気持ち悪かった(苦笑)。障害ジョッキーの気持ちが初めてわかったわ。
──そうでしたか。バンケットだけ見せて…ということは、本来は飛ぶつもりはなかったんですか?
小牧 そうやねん。飛びが上手とは聞いていたけど、飛ぶつもりはなかった。でも、草野太郎くんと併せ馬をしているうちに、「よし、飛ぼう!」という気持ちになって、一緒に飛んで。まさか飛ぶことになるとは思わんかったなぁ。自分でも、よう飛んだなと思うわ。なんで行く気になったんやろう…。自分でもわからん(笑)。草野くんと併せ馬をしていたというのが大きいと思うけど、彼もビックリしてたわ。まさか、この年になってこんな体験ができるとはね。
──加矢太さんもビックリしていたのでは?
小牧 笑ってたよ。ダンツキタイ、頑張ってたね(11月13日・福島4R・障害3歳上未勝利・4番人気3着)。気になって見てました。
──ちょっと障害も乗ってみようかな……とか!?
小牧 試験、受けてみようかな(笑)。いやいや、それは冗談や。さすがにレースは乗れん。あ、スクーリング専門になろうかな。スクーリングジョッキー、どう? みんなにいっぱい頼まれたりして(笑)。
──小牧さん、なんだかうれしそう(笑)。さて、小牧さんご自身も、見せ場十分の3着。フチサンメルチャン、頑張りましたね。
小牧 惜しかったねぇ。でも、よう走ったよ。前崩れになったのも大きかったけどね。
──5、6頭が横一線に並んでの先行争いでしたものね。あんな展開はなかなかない。
小牧 速かったもん。まぁ若手ばっかりやったから、速くなるだろうなとは思ってた。
──先行争いが激しくなったのを見て、これは後ろにチャンスがあるなと思っていました。
小牧 流れが速かったから、直線でひと脚使ってくれればいいなと思いながら乗ってたよ。正直、あそこまでくるとは思わんかったけど。
──馬群というか、馬と馬のあいだで競馬をすることになりましたが、揉まれ弱さは見せなかった?
小牧 ちょっと怯んでたね。でも、そのぶん、直線伸びた。
──怯むことで溜まった、ということですか?
小牧 そうやね。息が入った。
──ずっと「感覚的にはベストは800m」とおっしゃっていましたが、今回は最後まで伸びていましたものね。
小牧 そう、脚が余ってるくらいやった。馬の調子が良かったし、あと、大人になってきた感じもする。レースに行って、息を入れてくれるようになったから。平坦馬場なら、今なら1200mでもやれると思う。使えるレースが増えたのは何よりやね。
──2勝クラスに上がった頃は、正直、厳しいかな…と思っていたのですが、ここにきて5着、4着、3着、3着。気性面での成長以外に、ワンダーブレットで感じたような明らかな変化はありますか?
小牧 馬がすごくようなったね。トモがしっかりしてきた。それは調教でもわかる。トモがプリンとしているでしょ? お尻も大きいし。心身ともに成長したのは間違いないね。
──さて、今週はいよいよ、キャロリンがデビュー。
小牧 走ってくれたらいいんやけどなぁ。金曜日にゲート練習したんやけど、もう止まらんくらいに行くわ。ゲートのなかもそわそわしているし、なんせ前向きすぎるのがちょっと心配。普段はおとなしいんやけど、走らせるとカーッとなってしまって。ただ、前向きなのは、いいことでもあるからね。落ち着いて走れるよう、僕も精一杯頑張りますわ。
(文中敬称略)