▲今回は新潟に行ったときのお話(撮影:桂伸也)
先週は、土曜日は京都、日曜日は新潟に参戦した小牧騎手。さっそくレース回顧をお願いしたのですが、土曜日のグレアミラージュ、日曜日のフチサンメルチャンともに、ベテランの手を煩わせたようで…。
どちらの馬も「力はあるんやけどなぁ」と悔しさを滲ませた小牧騎手ですが、帰りの新潟空港では思わぬ“いい時間”を過ごしたとか。ある人物とのほっこりエピソードをお楽しみください!
(取材・文=不破由妃子)
メルチャンの返し馬は命懸け!? 「まだお尻が筋肉痛や」
──先週は、土曜日のグレアミラージュが9着(4月29日・京都8R・4歳上1勝クラス)。道中は苦労されていたような…。
小牧 いつもです。力はあるのに、なんせ真っ直ぐ走ってくれない。調教からしてすごいもん。僕は乗ってないんやけど、この中間、マイラーズCに使ったエアロロノアと併せ馬をしたんです。そのときも、気難しさを全面に出してた。僕が乗るともっと気持ちが入っちゃうから、調教は助手さんにお任せしてるんやけどね。でも、今回は僕もちょっと失敗したなぁ。
──団野騎手(シャドウアイル7着)がチラッと振り返って、前に入ってきたところですか?
小牧 うん。振り返って確認してきたから、入るんやなと思って下げたんやけど、そうなる前にもうちょっと強引に行っておけばよかった。もうひとつポジションが前やったら、もうちょい上を狙えたかもしれんね。直線の脚には、そう思えるだけの手応えがあったから。
──確かに、一瞬スイッチが切り替わって、ひと脚使いましたね。
小牧 力はあるねん。真面目に走ったら間に合うんちゃうかなといつも思う。ずっと乗せてもらっている馬やからね。なんとか乗りこなしたいと思ってるんやけど。往生したといえば、フチサンメルチャンの返し馬も大変やった…。今もまだ、ちょっとお尻が筋肉痛(苦笑)。千直の返し馬は、真っ直ぐに行かなアカンでしょう。だから、僕だけじゃなく、みんなけっこう往生してるわ。
──千直を使う馬は、前向きな馬が多いですものね。
小牧 そうそう。僕も日曜日は命懸けじゃないけど、必死になって止めたからね。気分よく行かせようものなら、止まらなくなってゲートに突っ込む勢いやった。とにかく日曜日の返し馬は必死やったわ。その割には、レースはもうひとつやったね。
──外枠当たれ! と祈っていたのですが…、まさかの1枠で(苦笑)。
小牧 内枠はホンマに難しいわ。菜七子ちゃんが1枠1番で、1頭だけ内ラチ沿いに行ったでしょう。レース後、「一緒についてきてくれると思ったんですけど…」って言われたわ。1頭で寂しかったらしい(苦笑)。
──2頭のほうが走りやすいですもんね。枠順が出た時点で、内という選択肢も頭のなかにありました?
小牧 あったよ。良馬場やったら、内に行こうと思ってた。でも、雨が降ったでしょう。雨が降ると、どうしても内が悪くなるねん。だからもう、真ん中を走ろうと思って。汚れもせんかったわ。
──徐々に徐々に外の馬群に取り付いていった感じでしたね。
小牧 うん。いつものメルチャンやったら持ったまま取り付いていくのに、今回は最初からついていかんかったね。やっぱり返し馬でテンションが上がり過ぎたのかなぁ。不利もなかったし、いつも一生懸命に走る馬やのにね。ちょっと残念でした。今週もまた、新潟に行くかも。キャロリンとヘイローグランでね。
──新潟グルメを堪能してきてください。
小牧 それがね、僕が好きな美味しいラーメン屋さんがあって、日曜日の競馬が終わったあと、10年ぶりに食べに行こうと思って楽しみにしててん。で、タクシーで行ったんやけど、そのラーメン屋さんがあった界隈が丸っきり変わっていて、新しくスーパーとかができていて…。なんかガックリきたわ。
──10年ひと昔ですね。
小牧 ホンマやね。空港のなかのお店も、ちょうど時間帯が悪かったのか、寿司屋も中華屋も中休みで閉まっていて…。
──何も食べずに帰ってきたんですか?
小牧 いや、喫茶店でビールとハンバーグカレーを食べた(笑)。その喫茶店から1階のモニターが見えるんやけど、ちょうど天皇賞をやっていてね。「タイトルホルダー、どうしたんかなぁ」なんて思いながら、ひとりで黙々と食べていたら、牧田(和弥調教師)くんが入ってきて奢ってくれたわ(笑)。彼とはジョッキー時代から友だちやからね。久しぶりにいろいろ喋って、いい時間でした。
(文中敬称略)