過去2年は伏兵が台頭
ダート路線は来年から全国的な改革が始まる。その中で特に注目したいのが3歳戦で、羽田盃、東京ダービーをしっかり格付けし、その先にあるジャパンダートダービーをジャパンダートクラシックと改称して10月に施行することで、ダート3冠路線が確立されることになっている。JRAの3歳重賞、ユニコーンS、レパードSは、東京ダービー、ジャパンダートクラシックの前哨戦という位置づけだが、一気に世代の頂点をめざす登竜門であることには変わりはないだろう。
脚光を浴びるダート戦線の中で、JRAで最初の3歳重賞のユニコーンSは、出走馬が様々な課題をかかえていて、ここが試金石と挑戦するものが多くいる。芝路線からの転向組がいたり、1400米からマイルに距離を伸ばしてどうかとか、敗戦を糧に策を練ったり、調教に工夫をこらしたりと、その成果がどう出るかを競う場になっていて、そこに伏兵の登場する場面が出てくる。今年も多彩な顔ぶれで、どうなるか興味が尽きない。
東京のダートのマイル戦は、高いレベルの高速決着というケースが多く、末脚に信頼がおけるかがポイントになる。4年前にダート初出走で勝利したワイドファラオは例外で、1番枠からとび出し一気にスピードに乗せて逃げ切ったのだが、タフで我慢強いところが際立っていた。逃げ、先行馬にもとめられるのは、こうした粘り強さだ。
この10年で8回は3番人気以内の馬が勝ってきたが、この2年はどちらも7番人気の伏兵が勝利している。これを振り返って今年の参考にしてみたい。2年前のスマッシャーは、ダートでのキャリアは6戦で2勝2着2回だったが、すべて1400米戦だった。前走の端午Sが3着で人気を下げていたが、末脚は確実で、ユニコーンSでは直線入り口では10馬身近くはなれた8番手。そこから最速タイの上がり3ハロン35秒4の脚であっという間に1馬身差で勝っていた。走破タイム1分34秒4はレースレコードになっている。騎乗した坂井瑠星騎手は「しまいはしっかりしているので、マイルは間違いなく合うと思っていた」と語っていた。
そして昨年のペイシャエス。同じ舞台の青竜Sが0.4秒差の5着だった。菅原明良騎手は「これまで2番手でスムーズな競馬をしてきたが、マイルは少し忙しいので、いつもよりためて乗りました」と道中は4番手の位置取りで、進路をみつけるとインから抜け出していた。長くいい脚が使えるのが勝因とも語っていたのも印象深い。
今年は、東京ダートに実績のあるペリエールが中心になる。今から来年のフェブラリーSを意識している。昇竜Sで圧巻の追い込みで3馬身半差で快勝したグレートサンドシーを相手に。前走の勝ちタイムが優秀なブライアンセンスが逆転候補。11戦目で使うごとに良くなってきたジャスパーバローズを穴に。底力のある母系に魅力がある。
「すぐそこに 世代の頂点 見えてきた」