▲まずは先週の振り返りから(撮影:桂伸也)
先週日曜日の阪神4Rに出走したヘイローグランは、ゲート内で大暴れ。無事にスタートを切ったものの、「あれだけ暴れたら走れんわ」と小牧騎手が言うように14着に惨敗…。ゲート練習を積んで仕切り直しです。
ユーザーからの質問は、「1カ月休みを取れたら何をする?」「馬に嫌われていると感じる瞬間はある?」の2本立て。はたして、小牧騎手が恐怖を感じる“チビ噛み”とは!?
(取材・文=不破由妃子)
帰厩したジャッドノワール、30キロ増量で馬力も倍増!
──先週のヘイローグランは14着(6月18日阪神4R 3歳未勝利)。3走成績による出走制限に引っ掛かってしまいました…。
小牧 そうやね。今回はレース以前に、ゲートがすごかったわ。立ち上がってどうしようもなかった。発走委員がハミを持ってくれていたのに、それでもやったからね。あれだけ暴れたら、そりゃあ走れんわ。けっこう暴れたもん。危なかったよ。ひっくり返らんで本当によかった。
──あの狭いゲートのなかでひっくり返ったりしたら、馬も人もケガを避けられない。
小牧 ホンマやで。ヘイローグラン、よう出遅れてるでしょ? ゲートはずっと前からうるさいらしい。確かに、前に乗ったときもちょっと兆候があったけどね。今回は返し馬からうるさくて、ちょっと気が入り過ぎてた。追い切りで行き過ぎたかもしれんなぁ。
──自己ベストの時計が出ていましたね。
小牧 そんなに行ったつもりはなかったんやけど、レースで自分が乗るとわかっていたから、ちょっと人間の気が入り過ぎたかな。難しいところやね。
──出走制限は8月18日までですから、もう一度くらい使うチャンスはありそうです。
小牧 うん。今回は度外視できるけど、中間はゲートの練習をせなアカンね。
──調教はすごく動くのに、レースに行くと頑張れないというのは気持ちの問題?
小牧 気持ち…うーん、ちょっと気が悪いんですよね。走り出したら真面目なんやけどなぁ。とにかくケガをしなくてよかったわ。馬も人間もね。
──それが何よりです。さて、ジャッドノワールが帰厩。6月14日から時計を出しています。
▲デビューから5戦全て小牧騎手が手綱を取っているジャッドノワール(ユーザー提供:モエロウエクラさん)
小牧 僕はまだ乗っていないけど、馬はようなってるよ。体が30キロくらい増えていて、追い切りでいきなり持って行かれたみたい。それくらい馬力が付いたみたいよ。
──それはいい傾向ですね。楽しみです。
小牧 調教を積んでいくなかで、体が減らなければいいんやけどね。ダートに替わって走りが変わったし、休養で馬力が付いたとなれば、これは本当に楽しみやわ。
──では、質問をふたつほど。「ジョッキーという職業は長いお休みがないので、気持ちの切り替えとか大変だろうなぁと思っています。もし1カ月完全に休みが取れるとしたら、何がしたいですか?どこか行きたいところはありますか?」。
小牧 1カ月かぁ…、どこでもいいけど旅をしたいね。旅行、大好きやから。青森とか行きたいなぁ。
──なぜ青森?
小牧 何度も行こうかなと思ったんやけど、結局、一度も行けてないねん。八戸あたりは市場がたくさんあって食べ物も美味しそうやし、温泉もたくさんあるし。酸ヶ湯温泉、行ってみたいなと思って。
──酸ヶ湯温泉、有名ですものね。
小牧 うん。あと、海外だったら、台湾に行きたいね。園田の頃、騎手旅行でしょっちゅう台湾に行っててん。たぶん4回くらい行ってるな。食べ物の味が日本人に合うし、飲茶とかむっちゃ美味しい。いいところなのがわかっているから、久々に行きたいね。
──続いての質問です。「競走馬は、ジョッキーのことが嫌いだと聞いたことがあります。“俺、嫌われてるなぁ…”と感じることはありますか? あるとしたら、それはどんなときですか?」。
小牧 やっぱり調教で僕らが乗ったら引っ掛かる馬が多いね。あとは、僕らが近づいたりすると耳を絞ったり。それと、噛みにくる馬も多いね。厩の前を歩いていたら、よう襲いにくる(苦笑)。全部が全部ではないけど、そういう馬のほうが多いよ。
──襲いにくる…。取材でいろんな厩舎にお邪魔してきましたけど、そんな馬は見たことがない(苦笑)。
小牧 それこそ、僕がジョッキーだからかもしれんね。昔はよう噛まれたよ。馬を扱っている人は、必ず噛まれた経験があると思う。噛まれたらむっちゃ痛いよ…。噛まれたところが紫色になるで。あのね、“チビ噛み”すんねん。
──“チビ噛み”って何ですか?
小牧 ちょびっと噛んで、パッと逃げる。奴らはすぐ逃げんねん。怖いから。
──なるほど。仕返しされるのが怖いから(笑)。
小牧 そうやね。最近は十分用心しているから、さすがに噛まれることはないけど、“チビ噛み”は本当に痛い!
(文中敬称略)