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「あ、勝ったわ」と思った瞬間、加矢太騎手が落馬… 父・先輩として息子の重賞挑戦を振り返る

  • 2023年05月16日(火) 18時01分
太論

▲先週の加矢太騎手とご自身の騎乗について (撮影:桂伸也)


先週は、ビーマイオーシャンで京都ハイジャンプに挑んだ加矢太騎手が落馬競走中止。父である小牧騎手は初めてスタンドからレースを見ていたそうで、その迫力に感動しながらも、心配を募らせる結果となりました。

「打撲で済んで本当によかった」と小牧騎手。今週の『太論』では、父として、そして先輩ジョッキーとして、息子の挑戦を振り返ってくれました。

(取材・文=不破由妃子)

ファンの真横でレース観戦!?「みんなレースより僕のことを見てた(笑)」


──先週の土曜日は、ビーマイオーシャンで京都ハイジャンプに出走した加矢太さんが最終障害で落馬。翌日新潟で乗っていたのでホッとしましたが、大丈夫でしたか?

小牧 大丈夫、大丈夫。心配したけどね。レース後、検量のところに下りて行ったら加矢太がいたから、安心したわ。

──先週の『太論』で、「ケガさえしなければ…」という話をしたばかりで。

小牧 そういうことを言ったらアカンねんなと思ったわ。土曜日はね、せっかく京都で一緒に乗っていたから、スタンドで直にレースを見てみようと思って。スタンドの上のほうに、厩舎のスタッフさんたちがレースを見る場所があるでしょう。着替えてあそこまで行ったんですわ。そこで初めて直でレースを見たんやけど、すごいね、すごい迫力。モニターで見るのとは全然違ったわ。

──ああ、いつもは検量室とか控室のモニターで見ていたんですものね。

小牧 そうそう。高いところから見ていて、「あ、勝ったわ」と思ったんやけどね。その瞬間、落ちてしまった。あとでスローで見たら、最後から2つ目くらいの障害から着地がちょっと危うかった。馬も精一杯走ってきたやろうから、最後にきて疲れが出てきたところだったのかもしれんね。

──加矢太さんも、勝ちを意識した場面だったでしょうに。

小牧 「よし、勝ったー!」と思ったらしいわ。そういう人間の気持ちがどう影響したのかはわからんけど、みんなああいう経験が一度はあるねんて。まだ新人やからね、必要な経験だったのかもしれん。まぁ何よりね、打撲で済んで本当によかったわ。そういえば、僕がレースを見ていた場所は、真横がお客さんのゾーンで。僕が座っていたら、だんだんとお客さんたちが気づき出して…。

──「あ、小牧騎手だ!」とか言われたり(笑)。

小牧 いや、それはなかったけど、みんなレースより僕のほうを見てた(苦笑)。たぶん「お父さん、見にきてるやん」と思われてたんやろうなぁ。しかも、勝ったら写真撮らなアカンから、僕、ちょっときれい目な格好をしていて。

──口取りに写る気満々だった(笑)。

小牧 そうそう(笑)。チャンスあるなと思っていたからね。勝ったなと思ったところでの落馬だったからちょっとガックリきたけど、本人はもっとガックリきてるやろうし、これからなんぼでもチャンスはあるから。その日を楽しみに待ちたいと思います。

太論

▲京都ハイジャンプに挑んだ加矢太騎手とビーマイオーシャン (ユーザー提供:煮物さん)


──では、小牧さんのほうの回顧を。

小牧 モストロネーロね、もう精一杯でした(5月13日京都2R・3歳未勝利・ダ1900m・10番人気8着)。3アウトは免れたけど、何とも言えんねぇ。もう1頭くらい負かせるかなぁと思ったんやけど、なんせトモが緩いから、ハミに頼ってしまって。伊藤さん(伊藤永二郎オーナー)の馬で勝ちたいんやけどなぁ。そういえば、キャロリンも園田の弟(小牧毅調教師)の厩舎に移ったわ。

──ああ、そうでしたか。

小牧 うん。なんとか新天地で頑張ってほしいと思ってるよ。今週はグレアミラージュが入ると思う。あの馬は、乗り方ひとつでチャンスはあると思うんやけどね。この間みたいに内枠で、積極的に出して行っていい位置が取れたらチャンスはあるわ。調教はあえて乗っていないんやけど、馬もようなってるし。

太論

▲「乗り方ひとつでチャンスはある」グレアミラージュ (ユーザー提供:TBOさん)


──現級3着がある馬ですからね。一発に期待します! では、最後にユーザーからの質問をひとつ。「10年以上、毎週『太論』を楽しみにしているファンです。以前、動画で登場したお母さまがとても可愛らしくて印象に残っています。間もなく母の日(先週日曜日)ですが、やはり毎年贈り物をしたりしているのですか?」。

小牧 昔は何かしらプレゼントしていたけど、最近はしてないなぁ。だからなのか、母親のほうから日曜日に電話が掛かってきて、「今日は何の日か知ってる?」だって(笑)。「ああ、今日は父の日やね」ってとぼけて、最後までそれで通したわ(笑)。

──もはやコントですね(笑)。

小牧 まぁ、いつも電話で喋ってるから。今年で80歳やけど、ほんまに元気。ありがたいことやね。

(文中敬称略)
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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