過去の斤量データから妙味を探る
この連載も長いので、過去の回と似た内容を書くことになるがご容赦いただきたい。
筆者がよく使う競馬格言のひとつが「ハンデ戦は敢えて重い側、前走から斤量増の馬を買え」である。JRAのハンデの切り方だと能力差をハンデ差で埋めることは基本的にできない。過去の好走でハンデが切り上がったままになっている馬はともかく、近走に好走のある重ハンデ馬・斤量増の馬は重視したほうがよいのだ。
七夕賞の場合、過去10年の出走馬のうち前走もオープンだった馬は[10-9-7-113]。それらの馬を前走から斤量増・増減なし・斤量減で分けるとこうなる。
回収率だけを見ると斤量減の組がよく見えてしまうが、勝率・複勝率は斤量増組よりだいぶ低い。2ケタ人気馬の好走もあるのだが、同一年に人気薄の斤量増組は何頭もいるので、そこから正解を見抜けるかという問題はある。斤量減組は軸にするより、ヒモに何頭か入れるほうが向いている。
対照的に斤量増組は勝率・複勝率が高く、軸にした場合の的中頻度が高い。
前述したように斤量増組には「本当に課せられるだけの理由がある」と「昔の実績で背負い過ぎている」があり、それをデータで表現するのは難しい。ただ前者の場合は上位人気、後者の場合は人気薄になっていることが多いと思うので、人気順別で見ると、斤量増かつ5番人気以内は[4-3-2-6]で回収率が単146%・複129%。6番人気以下は[0-1-0-9]で複回収率64%。上位人気になるレベルの馬だけ買えばよい。
今年は基礎斤量が1キロ増えたので、今年緒戦になる馬は1.5キロ以上増えないと斤量増と見なせないが、それを考慮に入れて斤量増に該当するのはエヒト(前走がサウジの特殊ケースだが、前々走のAJCC杯からも1キロ増)、セイウンハーデス、ヒンドゥタイムズ、フェーングロッテンの4頭(シフルマンは昨年8月以来の出走で1キロ増なので、実質据え置き。バトルボーンも同様かつ前走準オープン)。
フェーングロッテンとセイウンハーデスは1番人気を争うだろうし、エヒトも上位人気には入りそう。そう考えると今年の七夕賞は無茶な穴狙いではなく、これらの馬から軸を決めたうえで、ヒモ選びをどこまで頑張れるかということになるだろう。