▲今回のテーマは「クラスの壁」(撮影:稲葉訓也)
降級制度が廃止されたことにより連勝する馬が増え、クラスの壁を“感じづらく”なったものの、クラス分けがある以上格差や壁は“確実に存在する"と話す川田騎手。
今回は、目に見えない「クラスの壁」の正体と、昇級戦時点での能力の限界値を計る分岐点に迫ります──。
(取材・構成=不破由妃子)
競走馬の世界はピラミッド型 目に見えない壁の正体は──
降級制度が廃止されてから、この夏で丸4年が経ちました。
この4年間でジョッキーとして思うのは、クラスの壁を感じづらくなったなということ。たとえば、3歳の頃に2勝クラスまで勝ち上がったけれど、時を経た今となっては、1勝クラスを勝ち上がれるかどうかも怪しい…というような馬も、2勝クラスを走っている。降級がなくなったことで、そういった馬の割合は明らかに増えているわけで、結果として、クラス間の格差を感じづらくなっているような気がします。
それに伴って、勢いのある馬であればススっと階段を上っていける、つまり連勝することが難しくなくなったなという印象もあります。実際、未勝利、1勝クラスと連勝する馬も珍しくないですよね。コラムの担当の方が調べてくれたのですが、僕は今年(7月9日終了時点)、クラスを問わず「前走1着馬」に61回騎乗していて、その連勝率は32.8%で、1番人気に限れば勝率50%だそうです。もちろん、いい馬に乗せてもらっているのは間違いありませんが、本来連勝するのはそう簡単なことではありませんから、この数字を聞いて、やはり僕の肌感覚は間違っていなかったなと思いました。
とはいえ、競走馬の世界には純然たるクラス分けがあり、ご存じの通り、その形は上に行けば行くほど頭数が少なくなるというピラミッド型です。そうである以上、クラス間の格差、クラスの壁は確実に存在する。目に見えないものだけに、その正体が気になりますよね。
一般的にわかりやすく言うと