エルムSに出走予定のペイシャエス(撮影:下野雄規)
「ダート1700m=小回り」というイメージがあると思いますが、札幌はそのイメージと違うコース。1周距離は函館と変わらないのですが、ゴール板が1コーナー近くに設定されていてコーナー角度が緩くなっています。コーナー角度が緩いと、コーナーでスピードをそこまで落とす必要がなく、小回りで生きる器用さの重要度が下がって、他場の1周コース1700mよりトップスピードの速さが生きます。
このコースの違いで生きてくるのが、同じようにコーナー角度が緩い「1400〜1800mの東京・阪神実績」。東京実績は、器用さが問われないコースで直線で必要なトップスピードの速さに対応ができる。阪神実績は、ロングスパート戦になりやすくて急坂もあるコースに対応できて、1700mの流れで問われる持続力勝負に対応できる証明になります。
近年の札幌で行われた年の馬券圏内の馬を見ると、去年9人気1着フルデプスリーダー(22年ポラリスS2着)、2人気3着のオメガレインボー(21年武蔵野S3着)。20年1人気1着のタイムフライヤー(19年武蔵野S2着)、2人気2着ウェスタールンド(20年アンタレスS1着)、5人気3着アナザートゥルース(20年アンタレスS2着)など該当馬が多いです。
今年出走する予定の馬で、1400〜1800mの東京・阪神実績(3着以内で重賞は前年以降、OP特別・リステッドは同年)」があるのは以下の馬。
セキフウ
(22年ユニコーンS2着)
タイセイサムソン
(23年アハルテケS1着)
ペイシャエス
(22年ユニコーンS1着)
この中でも、前に行ける先行力があって東京1600m重賞を勝っているペイシャエスに注目しています。今年に入って川崎記念3.0秒差7着、ダイオライト記念3.4秒差5着と完敗が続いていますが、どちらもかなり時計のかかる馬場のコース。東京のユニコーンSを勝って、地方の中でかなり時計の出る馬場の盛岡で行われたJBCクラシック3着の実績がある馬。馬場の条件が悪かった言い訳はできます。コーナーの緩い札幌で、雨の影響もある馬場は魅力的な条件替わりです。
阪神実績という点で馬券圏内ではなかったですが、重賞のアンタレスS5着のカフジオクタゴンにも注目しています。アンタレスSは、プロミストウォリアを倒すために早仕掛けで脚が止まった内容。前走の平安Sも外追走不利でした。距離不足感はありますが、器用さがあまりない馬なのでコーナーの緩い札幌のコースは合います。どちらも近走着順から上位人気にはならないはずなので、馬券的に面白いと考えています。
あと、芝重賞より「格」が問われるダート重賞ということを頭に入れて、例年好走馬が出るマリーンS2着以内の馬にも注意したいです。ウマい馬券では、展開や今後の予想にもつながる各馬の適性など全馬の評価を記載しています。買い方も含めて最終結論に注目して下さい。
(文=nige)
■プロフィール
nige(にげ)
SEの仕事を辞して、2014年より「ダート馬券師兼馬券ヘルパー」として活動中。地方競馬を含めてダート競馬全般を得意としており、的確な分析には定評がある。過去の実績から、コース形態・馬場・展開・力関係など総合的に判断して、レース条件に合う適正な馬を選択するシンプルなスタイル。元サラリーマンなだけに、無理な穴狙いはせず、現実的に買えるように点数が少なくなることを意識して買い目を提供。ブログ「スマートボーイのように逃げたい…」随時更新中。