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【プロキオンS】ヤマニンウルスが5連勝で重賞初制覇 ベテラン武豊騎手も絶賛

  • 2024年07月08日(月) 18時00分

七夕賞を制したレッドラディエンスの今後にも期待


重賞レース回顧

プロキオンSを制したヤマニンウルス(C)netkeiba


 福島の「七夕賞」を制したレッドラディエンスは、ディープインパクトの残した最晩年に近い2019年生まれの5歳牡馬。2歳夏のデビュー戦こそ6着(0秒4差)だったが、そのあとは初重賞挑戦の今回の勝利を含め【5-5-1-0】。休み休みのスケジュールながら、すべて馬券圏内を確保しているからすばらしい。

 サマー2000シリーズのチャンピオンを狙って9月1日の「新潟記念」に出走の予定がある。さらにパワーアップして登場してくれるはずだ。

 レッドラディエンスの出走日程も周到だが、「プロキオンS」を圧勝した4歳牡馬ヤマニンウルス(父ジャスタウェイ)は強烈だった。2歳夏の小倉で2歳コースレコードのダート1700m「1分44秒3」で4秒3差の大差勝ちのあと、爪の不安などを克服しながら間隔を空けつつ連戦連勝。今回、初重賞制覇を果たして5戦【5-0-0-0】となった。

 今回は初めての重賞挑戦とあって、直線で気を抜かないための気合をつけるムチが2-3回入った。2戦目の1勝クラスを6馬身差で独走した際にも、真剣に走るように気合注入のムチが1回だけ使われた映像があるが、叱咤激励の懸命のムチが飛んだシーンはなく、馬なりに近い5戦全勝だからすごい。

 「まだ今回が5戦目のレースですから。それで重賞をこの内容」と、武豊騎手も絶賛を惜しまず、「まだ、キ甲が抜けていないのでこれからが楽しみ(斉藤崇史調教師)」。陣営は未完成を強調している。これまでと同じように間隔をとり、12月のチャンピオンズCを目標にしているが、580キロ台の大物はさらにスケールアップするに違いない。

 2着したスレイマン(父キングカメハメハ)の西村淳也騎手、2番人気で4着だったハピ(父キズナ)の菱田裕二騎手などが、そろって勝ち馬の強さを称えているから、実際のヤマニンウルスの迫力はレースを見ていたわたしたち以上なのだろう。

 3代母ワンオブアクライン(USA)は、オークリーフS(ダートG1)の勝ち馬。4代母Barely Evenベアリーイーヴン(USA 30戦17勝)のファミリーは以前から日本に馴染みがあり、大物とされた5戦3勝のビッグバイアモン、2003年の三冠牝馬スティルインラブの兄妹、2007年のオークス馬ローブデコルテ、のちに有馬記念のゴールドアクターの母の父に登場したキョウワアリシバなどが知られる。

 種牡馬ジャスタウェイ(父ハーツクライ)の送ったこれまでの重賞勝ち馬には、GI級勝ち馬テオレーマ(重賞3勝)、マスターフェンサー(重賞4勝)、ヴェルテックス、そしてプロキオンSのヤマニンウルス。ダート重賞の勝ち馬が少なくない。ヤマニンウルスは期待をさらに上回るような大物に育って欲しい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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