函館の芝は時計がかかるため、それを得意とする巧者的な存在の馬がいると言われる。
函館の芝コースが時計のかかるコースであることは間違いない。函館スプリントSにしても、例年の勝ち時計は1分9秒台。昨年キンシャサノキセキが勝ったときの1分8秒4は、コースレコードであると同時に、97年に札幌と函館の開催順が入れ替わってからのレース最速タイムだ。ちなみに97年以降、函館芝1200mで1分8秒台の時計は10回しか出ていない(01〜06年の間はゼロ)。
なるほど、それだけ独特なコースならば、適性も特殊な馬が走っておかしくない。しかし一方で、結局は強い馬が好走してしまうような気もする。どちらが正しいのだろうか?
そこで今回は、「1分7秒台前半(1分7秒4まで)で決着した芝1200m戦の1〜3着馬が、その後に函館芝1200mに出走した場合の成績」を調べてみた。
該当52レースで1〜3着した馬が、その後函館芝1200mに出走したケースの成績は[8-4-3-18]で、勝率24.2%・連対率36.4%。回収率は単147%・複96%となっている。
出走したレースの平均頭数が14頭立てくらいとすると、勝率7.1%・連対率14.2%くらいが相場になるわけで、それに比べるとかなり高い。なにより回収率が「相場より走ってます」ということを示している。
その内容を振り返ってみると、先述したキンシャサノキセキは高松宮記念を1分7秒1のタイム差2着した直後に函館SSを勝っていた。ビリーヴ、シーイズトウショウなども馬場の特徴を超えて好走したし、渋いところではリキアイタイカンが中京や福島で1分7秒台の競馬をしたあと、函館で青函Sを勝っている(05年)。
つまり、身もふたもないが「強い馬は強い」ということなのではないかと思う。微妙な力関係の下級条件ならともかく、重賞級の馬については適性をうるさく言わなくてもよさそうだ。