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函館巧者は重賞でも特別扱いすべきか?

  • 2010年06月28日(月) 00時00分
 函館の芝は時計がかかるため、それを得意とする巧者的な存在の馬がいると言われる。

 函館の芝コースが時計のかかるコースであることは間違いない。函館スプリントSにしても、例年の勝ち時計は1分9秒台。昨年キンシャサノキセキが勝ったときの1分8秒4は、コースレコードであると同時に、97年に札幌と函館の開催順が入れ替わってからのレース最速タイムだ。ちなみに97年以降、函館芝1200mで1分8秒台の時計は10回しか出ていない(01〜06年の間はゼロ)。

 なるほど、それだけ独特なコースならば、適性も特殊な馬が走っておかしくない。しかし一方で、結局は強い馬が好走してしまうような気もする。どちらが正しいのだろうか?

 そこで今回は、「1分7秒台前半(1分7秒4まで)で決着した芝1200m戦の1〜3着馬が、その後に函館芝1200mに出走した場合の成績」を調べてみた。

 該当52レースで1〜3着した馬が、その後函館芝1200mに出走したケースの成績は[8-4-3-18]で、勝率24.2%・連対率36.4%。回収率は単147%・複96%となっている。

 出走したレースの平均頭数が14頭立てくらいとすると、勝率7.1%・連対率14.2%くらいが相場になるわけで、それに比べるとかなり高い。なにより回収率が「相場より走ってます」ということを示している。

 その内容を振り返ってみると、先述したキンシャサノキセキは高松宮記念を1分7秒1のタイム差2着した直後に函館SSを勝っていた。ビリーヴ、シーイズトウショウなども馬場の特徴を超えて好走したし、渋いところではリキアイタイカンが中京や福島で1分7秒台の競馬をしたあと、函館で青函Sを勝っている(05年)。

 つまり、身もふたもないが「強い馬は強い」ということなのではないかと思う。微妙な力関係の下級条件ならともかく、重賞級の馬については適性をうるさく言わなくてもよさそうだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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