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中距離ハンデ重賞と人気

  • 2010年07月26日(月) 23時00分
 サマー2000シリーズができたことで、夏の中距離重賞に積極的に出走する馬が増えた。今週の小倉記念でいうと、七夕賞の上位馬が揃って登録している。

 ただ、ローカルの中距離重賞、しかもハンデ戦となると、ちょっとしたことで着順が入れ替わりそうなもの。前走をどのくらいアテにしていいのか悩むところだ。

 そこで今回は、「前走が芝のハンデGIII勝ち、今回も芝のハンデGIII」というケースについて考えてみたい。今回はドモナラズだけが該当馬ということになるが、この馬について一定の評価ができれば、そこから派生して他の馬についてもジャッジできるのではないだろうか。

 サンプル数を増やすため、今回は平成以降の平地芝GIII・ハンデ戦すべてを対象とする。その勝ち馬は全部でのべ418頭(もちろん同一馬が複数勝っているケースもある)。

 その次走(芝のみ)は回収率だけ書くと単81%・複63%。重賞に限ると単80%・複62%。させにGIIIに限ると[28-10-7-123]で回収率は単66%・複47%となる。

 GIIIにも斤量条件はいろいろあるので、再びハンデ戦……という本来の趣旨に合うレースだけに限ると、[12-4-3-74]で回収率は単45%・複36%。勝率・連対率も下がるが回収率はとても手を出せないレベルまで落ちる。

 ハンデ重賞を勝ってきてまた同格のハンデ重賞に出る馬の場合、当然斤量は増える(牝馬の場合は牝馬重賞→牡牝混合重賞と使うことで例外もある)わけだからそれが勝率・連対率に響くというのは自然な話である。しかし、本来ならばハンデの変化というのは回収率に対しては中立(お客さんは斤量増を織り込んで予想をすることができる)なはず。そうなっていないのは、ファンの側が期待しすぎであることを表す。

 ちなみに、斤量の増え幅はそれほど回収率には影響していない(勝率・連対率には影響する)。ファンは斤量にばかり敏感になりがちだが、前走優勝馬に限らず「ハンデ戦→ハンデ戦」の場合は、「この馬は人気が盛り上がりすぎていないか?(あるいはその逆)」「毎回期待できるタイプの馬なのか?」という視点を持ったほうがいいように思う。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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