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開幕週の逃げ馬!?

  • 2010年08月09日(月) 18時00分
 開幕週ということで、ファンが期待するのは逃げ馬の活躍だろう。我々競馬に関する文章を書く人間も、予想においては「開幕週だけに逃げ残りを警戒」といった表現をよく使う。

 しかし、実際のデータを調べて書いているケースは稀なのではないだろうか。なんとなく慣用表現として「開幕週だから逃げ馬」ということになっている面もあるような気がする。

 たとえば、クイーンSが行われる芝1800mを例にとってみよう。

 いまの開催順になってから一昨年まで(昨年は変則開催だったので除外)を振り返ってみると、例えば開幕2日目には26頭の逃げ馬のうち11頭が逃げ切りを決めていて確かに「開幕週らしい」という感じはする。しかし、1回開催の最終日ものべ17頭中5頭の逃げ馬が勝っており、その勝率29.4%は、1回札幌全体の逃げ馬勝率22.3%を上回っている。

 さらに先行にカテゴライズされる馬については一般のイメージと逆で、開幕週の連対率23.1%に対し4週目の連対率は29.0%。これを見ると、開幕週はジョッキーが積極的に動きすぎているのではないかという疑念さえ生まれてくる(コースはすべてAコース使用)。

 1800mは施行レース数が少ないので芝レース全体について見てみよう。

※[]データは連対率-複回収率の順
【逃げ馬】
開幕週[40.6%-142%]
2週目[33.6%-153%]
3週目[34.2%-144%]
4週目[35.5%-123%]

【先行馬】
開幕週[26.4%-110%]
2週目[29.4%-125%]
3週目[29.5%-115%]
4週目[29.7%-137%]

 逃げ馬については確かに開催が進むと多少パフォーマンスが落ちているが、それでも十分に買うべきレベル。先行馬は、4週目のほうが好成績になっている(連対率は出走頭数によって左右されるので、複勝回収率を主に指標として見たほうがよい)。

 結局のところ、先行力のある馬は開幕週だけでなくいつでも買うべきということなのではないかと思うのだが、どうだろうか。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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