スマートフォン版へ

札幌芝2000mと逃げ・先行馬

  • 2010年08月16日(月) 23時00分
機会があるごとに書いているが、競馬というのは基本的に前へ行った馬のほうが有利なものである。

 逃げている馬はまず不利を受けることはないし、極端な展開で結果が左右されるようなケースでも、前残りは前崩れに比べて圧倒的に多い。

競馬新聞に載っているような脚質としての逃げ・先行ではなく、結果として逃げた・結果として先行と呼べる位置にいたということでいうと、「逃げ」グループはかなりの確率で単複とも回収率がプラスになるし、「先行」はそれに次ぐ数字をマークする。さらに勝率や連対率でいうと「逃げ」が最も高く次いで「先行」、その下に「差し(中団)」というようになりやすい。

 さらに言うと、「逃げ」は下級条件でいちばん強く、クラスが上がるにつれて成績が下がることが多い。これは下級条件においては、単に能力のある馬がその能力のままに逃げて押し切ってしまうことがよくあるからだろう。

 前置きが長くなったが、コースによってはこの基本パターンが多少崩れることがある。

 札幌記念が行われる札幌芝2000mでいうと、「逃げ」よりも「先行」のほうが連対率では多少上回る。単複回収率では「逃げ」のほうが上だが、「先行」との差は比較的小さい。

 そこだけとると他コースにくらべて「逃げ」のアドバンテージが小さい(「先行」が頑張っている)ようにも見えるが、クラス別で見ると「逃げ」にまた独特な傾向がある。

 未勝利よりも500万条件、500万条件よりも1000万条件において、「逃げ」の勝率・連対率・複勝率が高いのである。

 準オープン・オープンは実施レース数が少ないので議論から除いており、ちなみにいまのところ逃げた馬の成績はさほど良くない。ただ、一般のコースと逆の傾向(クラスが上がっても逃げた馬の成績が下がらない)を考えると、逃げ候補の馬に一応の注意を払っておく必要はあるかと思う。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング