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有馬記念と世代比較論

  • 2010年12月20日(月) 00時00分
 有馬記念になるとよく話に出るのが「世代比較論」である。「今年の3歳は強い」といった話だが、では強い弱いの基準はどう決めたらよいのだろうか?

 特に悩むのが3歳と古馬の比較だ。世代比較論を持ち出すなら、秋の僅かな期間の結果を参考にしなくてはならないことになる。

 試しに、ここ10年の天皇賞秋・JCにおける3歳馬の成績と、有馬記念の結果について見てみよう。

※各項目右から天皇賞&JC連対馬、有馬連対馬の順

09年
[0頭-1頭]
08年
[1頭-0頭]
07年
[0頭-1頭]
06年
[1頭-0頭]
05年
[0頭-1頭]
04年
[2頭-0頭]
03年
[1頭-1頭]
02年
[1頭-1頭]
01年
[1頭-1頭]
00年
[0頭-0頭]

 両者はリンクしていないというか、むしろ04年以降については逆じゃないかという結果になっている。

 ここで「3歳馬支持派」からは異論が出ることだろう。天皇賞秋・JCに出ている馬と有馬記念に出ている馬とでは、そもそも顔ぶれが違うではないかと。

 それはそうなのである。例えば昨年の3歳馬だとJCではレッドディザイアの3着が最高で、有馬記念で連対したのはJC不出走のブエナビスタ。08年はJCでディープスカイが2着したが同馬は有馬記念には出ず、人気薄の3歳馬しかいなかった。07年は有馬記念でダイワスカーレットが2着しているが、同馬は天皇賞秋・JCには出ていない。

 ただ、同じ馬でジャッジするならばそもそも世代比較論は必要ないわけである。世代比較論は「前のレースにこの馬は出ていなかったけど、世代全体が強いから買おう」という類の議論のはず。そうするとやはり、世代比較論を信奉することの危険さが感じられる。

 今年の有馬記念にはJCで1、3、5着だった3歳馬が出走するわけだが、世代が強そうということでムードに流されるのではなく、普通にJC・1、3、5着馬として評価していくほうがよいだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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