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最近緩い流れが多い京成杯

  • 2011年01月11日(火) 10時00分
 予想をする生業の人間がレース後に愚痴るときの必須ワード第1位は、おそらく「展開が……」である。

 本当ならば展開まで含めて予想しなければならないのだが、私のようにデータをベースにする人間の場合は、そうもいかない。結果として愚痴や言い訳の種にもなるわけだが、最近は決め手勝負のタイプと持続力勝負のタイプがはっきり分かれてきていることもあり、おおざっぱにスローペースかハイペースか、くらいの予想はしておいたほうが良いようにも思う。

 例えば京成杯。1999年から2000mになったレースだが、距離が延びてからしばらくは、緩い流れになる年のほうが少なかった。

 なにをもってハイペース・スローペースとするかは明確な定義がないが、レースそのもののラップ・前後半の比較という観点でいくと、1999〜2005年まででスローらしいスローは2000年くらい。ただし、この年は上がりもそれなりにかかっている(レベル自体がイマイチだったのかもしれない)。一方で01、03、04年は前傾ラップ。01年は最後の1ハロンが、03年は後ろから2ハロンめが13秒台になり、04年は前半が46.9-58.0、後半が61.2-49.6だった。

 これが「2000mになってからの歴史・後半」では逆転する。06年はやや重とはいえ前半に13秒台3連発、07年は前半のほうが3秒遅く、昨年は前半に13秒台が2つあって、上がりが12.4-11.4-11.4と加速して終わった。05年以降でややタイトな流れだったのは08年くらいで、ただしこの年は前・中・後に分けた場合の真ん中がぐっと緩んだ年でもあった。

 明け3歳馬というのは予想ファクターが少ない。キャリアも少ない。例えば厳しい流れを耐えてきた馬がその内容を評価されていたとしても、最近の京成杯の流行りの中ではそれが生きないという可能性もある。たまにはデータを離れて、そんな角度から登録馬を見てみるのもよいかもしれない。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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