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買える前走未勝利脱出馬は?

  • 2011年02月07日(月) 00時00分
 先週の原稿で「過去10年、3歳牡馬1〜4月の重賞で前走500万条件2着以下の馬は1勝もしていない」と書いたとたん、トーセンラーに12年ぶりの優勝(前回はナリタトップロード)を果たされてしまった。

 懲りずに、今回も臨戦過程の話でいこう。今週の共同通信杯とクイーンCで目立つのが、前走で新馬・未勝利を勝ったばかりの馬である。

 もちろん、このタイプは該当例が多いこともあり、いきなり重賞を勝つ馬も出ている。「過去10年、3歳1〜4月の重賞(今回は牝馬限定戦も含む)」に新馬・未勝利を勝ちたての状態で出走した馬の成績は[11-15-20-318]。回収率が単60%・複81%だから積極的に買うべしというわけではないが、馬券に絡んだ馬の絶対数そのものはある。

 ちなみに牝馬重賞に限ると、成績は[4-6-9-159]。回収率は単73%・複84%だから、こちらもぼちぼちというところか。

 要するに買えでも買うなでもない中途半端な話だが、ここからさらに「買えるパターン」を抽出する方法はあるだろうか?

 ひとつ注目したいのは、何戦で勝ち上がってきたかということだ。

 一般的なイメージではデビュー勝ちを収めてきた馬が偉いように思えるが、キャリア1戦馬(折り返し抜き、新馬緒戦を勝ってきた馬)の成績は[1-6-5-84]で、1頭しか勝っていない(05年アーリントンCのビッグプラネット)うえに、人気になる馬が多いので複勝回収率は33%しかない。

 一方キャリア2戦目以降は、
※[ ]内は勝率、連対率、単回収率、複回収率の順

2戦[3.2-7.4-11-109]
3戦[4.7-7.8-85-116]
4戦[8.5-12.8-327-154]
5戦[0.0-4.0-0-36]
6戦[0.0-0.0-0-36]

 となっていて、2戦→3戦→4戦と馬券上の価値が増し、5戦以上になるといきなり「あなた勝ち上がりまで時間かかり過ぎでしょう」ということになっている。

 ある程度の早さで勝ち上がるだけの地力と、負けたレースを含めての経験値。まとめるならば、その両方をほどよく持っている馬が良いということになりそうだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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