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予想トークショーの案内役

  • 2011年05月07日(土) 12時00分
 春の天皇賞が行われた今月1日、私は、その前週にオープンしたばかりのウインズ八代(やつしろ)で、予想トークショーのご案内役を務めさせていただきました。

 八代は、日本三大急流の1つ、球磨川が八代海に注ぐ河口周辺に広がる熊本県南部の都市。ウインズは市街中心部から球磨川を渡ったところにある日奈久(ひなぐ)地区にできました。南九州(熊本、宮崎、鹿児島、沖縄)に初めて作られたウインズだそうです(宮崎にある場外発売所は利用者登録制)。

 新しい施設なのでキレイなのは当たり前ですが、とても居心地がよかったですね。あえて言わせてもらえば、東京や大阪周辺のウインズにあるようなトゲトゲしい雰囲気が感じられず、実にホノボノとしていたんです。

 どうやらそれは、来場された方々のほとんどが、競馬場やウインズで馬券を買うことに慣れていない、いわゆるビギナーのみなさんだったから、と思われます。なにしろ、これまで荒尾以南の南九州は、“競馬空白地域”でしたから(過去にはあちこちで地方競馬や草競馬が行われていたようですが)。

 例えば発売機前の様子。マークカードの記入に不慣れな人が多く、あちこちの発売機から、確認を促す自動音声がひっきりなしに流れていました。脇の窓から顔を出してアシストする係員の方々は超大忙し。一方、その列に並んだ後ろの人たちは、かなり待たされることになります。

 で、これが“フツウ”の競馬場やウインズなら、「オイ、何やってんだ!」、「早くしろ!」といった怒号が飛び交ってしまうわけですが、八代は至って静か。そういう罵声はほとんど聞かれませんでした。

 余計なお世話かもしれませんが、ウインズ八代で馬券を買う際は、しばらくの間、早めに列に並んで、いったん並んだらその列でジッと待っていたほうがいいでしょう。先頭でトラブっているからといって、慌てて他の列に並んでも、またそこで同じ状況に陥る可能性が高そうなので。

 レース中も、みなさん比較的穏やかでした。天皇賞は1200人ほどの方がテレビ観戦されていたそうですが、大声で声援を送っていた人はまばら。私はマイネルキッツからの馬券を買っていたので、最後の直線に向いた時に「松岡ぁ〜ッ!」と叫んじゃいましたが、ハッキリ言ってかなり浮いていました。

 今後、慣れたファンの方々が増えるにつれて、雰囲気も変わっていくのかもしれません。でも、今のホノボノとしたムードを失ってほしくないですね。たぶん、あの居心地のよさは、八代ならではのものでしょうから。

 ということで、ウインズ八代にご来場されるみなさん、どうかこれからも、発売機の前では心穏やかに。そして、レース中は大声でご声援いただいてかまいませんが、それがもとで他の方とトラブルになりませんように!私からの勝手なお願いでした。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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