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サンホアキン・カウンティフェア競馬

  • 2011年06月25日(土) 12時00分
 19日から24日まで、サンフランシスコ周辺の競馬と野球(マイナーリーグ、メジャーリーグ各1試合)を見に行ってきました。

 野球の話はここでは省略して、早速、競馬の話を始めましょう。今回観戦してきたのは、ストックトンという町で開催されていたサンホアキン・カウンティフェア競馬です。

 ストックトンへは、サンフランシスコからベイブリッジを渡り、対岸のオークランドからアムトラックの列車に乗ると、約1時間半ほどで到着します。そこはサンホアキン・カウンティ(=郡)の中心都市。この町で毎年6月中旬にカウンティフェアが行われます。

 カウンティフェアは、郡の農産物や家畜の品評会(=共進会)。全米各地、いたる所で開催されています。会場(=フェアグラウンド)には多くの出店や屋台が立ち並び、移動遊園地も出現、さらに日替わりコンサートも行われるなど、とにかく盛りだくさんのプログラム。大人から子供まで一日中楽しめる地域の一大イベントです。

 カリフォルニア州には、そうしたフェアの呼び物として競馬を開催しているところがあります。サンホアキンフェアもその1つ。毎年、フェアの期間中に4日間だけ競馬が行われます。

 レースはほとんどが6ハロン以下の短距離戦。サラブレッドだけでなく、クォーターホースやアラブのレースも組まれています。

 そして今回、「何だ、これ?」と驚かされたのがラバ(=Mule)のレース。私が行った19日の第3レースが、直線400ヤード(=約366メートル)のラバ限定戦でした。

 たとえ走るのがラバであっても、アメリカの競馬専門紙デイリーレーシングフォームにはちゃんと過去の成績が載っていて、もちろん馬券も発売されています。

 このレース、勝ったのはBar JF Hot Ticketという8歳馬。単勝1.4倍の圧倒的1番人気に応えて快勝しました。これで昨年6月のネバダ州でのレースから無傷の10連勝、通算では43勝目をマーク。しかも、2着5回で3着が2回(=4着以下に負けたのは1度だけ、ってこと!)。そりゃぁもう、すごいラバだったんです。ひょっとしたら、ラバのディープインパクト、だったのかも。

 ちなみに、勝ち時計は22秒858。意外に速いと思いませんか?

 当日の場内は、そんなスターホース、いやスターラバが登場したせいか、このレースの時が一番盛り上がっていました。詳しいことはもう少し調べてみないとわかりませんが、ラバのレースは、ネバダ州やカリフォルニア州のカウンティフェア競馬などで行われているみたいです。おそらく、知る人ぞ知る名物になっているんでしょうね。

 小さなラバがちょこまか走る姿を見ていると、馬券の当たり外れはどうでもよくなっちゃいます。また1つ、何度も見に行きたくなるような競馬に出会ってしまいました。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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