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目が離せないリーディングジョッキー争い

  • 2011年07月16日(土) 12時00分
もうみなさんご存知のとおり、JRAのリーディングジョッキー上位10人の顔ぶれが、ここ数年で大きく変動しています。

 netkeiba.comのデータベースで、2001年以降の騎手リーディングの変遷を調べてみました。

 01年はある意味で異例の年。前年まで9年連続でリーディングトップだった武豊騎手が長期にわたって海外に遠征、順位を14位に下げ、代わって蛯名正義騎手が00年の13位から一気に首位に躍り出たのです。この年は、2位に00年12位の柴田義臣騎手、4位に同11位の中舘英二騎手がランクイン。上位4人のうち3人までが前年11位以下から急浮上しています。ただし、蛯名騎手は98、99年に連続で2位、柴田騎手も98、99年に連続で3位に入っていますから、リーディングのメンバーが大きく入れ替わったという印象はありませんでした。

 その後は、地方騎手の中央移籍によって変化が起こります。03年の安藤勝巳騎手(3位)、06年の岩田康誠騎手(3位)、08年の内田博幸騎手(2位)が、そうした変化を巻き起こしました。

 これらのケースに比べると、ここ数年の変動は様子が違います。目立つのは、“JRAデビュージョッキーによる初のベスト10入り”です。

 08年には、新人の三浦皇成騎手とデビュー6年目で前年12位の松岡正海騎手がともに9位にランクインしました。

翌09年は大きな変化は見られませんでしたが、昨年は、前年のデビュー年に80位だった2年目の丸山元気騎手が7位に、前年は17位でデビュー7年目の川田将雅騎手が9位に浮上しています。

 そして今年。まだ1年の約半分を過ぎた時点ながら、前年32位でデビュー10年目の田辺裕信騎手が3位タイ、デビューした昨年は51位だった川須栄彦騎手が6位タイに健闘中です。さらに、11位以下の騎手の中には、和田竜二騎手(11位タイ、9位タイ=2人の騎手とは2勝差)、浜中俊騎手(15位、同7勝差)、北村友一騎手(16位、同8勝差)といった“ベスト10入り未経験ジョッキー”がひしめき合って、虎視眈々とランクインを狙っています(たぶん…)。

 今年の変動には、東日本大震災後の変則日程や、内田博幸騎手が14位、武豊騎手が19位、安藤勝巳騎手が27位にとどまっていることなどが影響を及ぼしているものと思われます。とはいえ、08年以降の変遷を見ると、リーディング上位の顔ぶれが入れ替わる時期にさしかかっているのは確かなようです。

 ベテラン勢には意地を見せてほしいですし、中堅や若手にも頑張ってもらいたいところ。今年の競馬が終わったときに、ベスト10の顔ぶれは昨年とどのくらい変わっているんでしょうか。あと半年の勝負。リーディングジョッキー争いから目が離せません。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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