今回のコラムは18日(金)の夕方に書いています。きのう17日、プロ野球日本シリーズの第5戦が行われ、ソフトバンクが勝って日本一に王手をかけました。
今年の日本シリーズは、第1戦からずっと同じような試合展開が続いていました。いわゆる投高打低、最少失点での我慢比べ。ソフトバンクの秋山監督も中日の落合監督も、あまり大胆な策はとらず、いたってオーソドックスな采配をふるってきました。ひょっとしたらそれが、動きの少ない試合の流れを作ってしまったのかもしれません。
そして第5戦も、途中まではそうでした。ただし、この試合は、中日にとって“勝たなければいけない試合”だったはず。説明すると長くなりますので省略しますが、地の利や投手起用の有利不利などを考えれば理由は明白です。
その試合で、中日は相手に1点を先制されてしまいます。勝つためには逆転が必要。どこかの攻撃で勝負をかけなければいけない状況になりました。
チャンスは6回裏にやってきます。1死から1番荒木が2塁打で出塁し、打者は井端。カウントが2ボール1ストライクになったときです。「ここで荒木を走らせればおもしろいのに」と思ったのは私だけでしょうか?
井端の次打者は森野。守る側としては井端を歩かせると逆転ランナーを出すことになり、大ピンチを迎えてしまいます。つまり、井端とは勝負。次はストライクを取りに来そうなカウントです。投手は左で打者は右。2塁走者を走らせるための状況は整いました。
ところが、中日は動きません。反対に、相手は動くことを警戒して、2塁に牽制球を投げてきました。
で、このプレーがあった直後こそが、なおさら走れるチャンスだったはず。相手は「ここは動かなさそう」と確認していますし、2塁への牽制球を2つ続けるというのはめったにないことだからです。
それでも、中日は動きませんでした。ソフトバンクにとっては「ステキな金縛り」状態(テレビの画面ではわからない、走らせにくい状況があったのかもしれません)。結局、中日は1点も取れず、今シリーズ初の完封負けで痛い1敗を喫してしまいました。
試合後、落合監督は「うちの選手は瀬戸際に追い込まれないとその気にならん」と語っていたそうです。これって、選手だけのことでしょうか?
同監督が得意なのは「負けない野球」。第5戦まではそういう野球を続けてきました。でも、相手に王手をかけられたからには、「勝つ野球」をしなければなりません。第6戦は、そこが問われると思います。
競馬も、「負けない馬券」だけじゃ儲からないでしょう? どこかで思い切った買い方をしないと勝てませんよね。まぁ、思い切りすぎちゃってもいけませんが…。