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今に活きる、スマイルジャックでの経験

  • 2011年11月29日(火) 18時00分
レジネッタと並び、『いろいろ教えてもらった』と語るのが、スマイルジャック。そして、『仲間』と表するのがワンダースピードです。今回はこの2頭とのエピソードを通して、小牧騎手が感じる馬との“相性”について、お話を伺いました。

■GI前に考えたのは展開ではなく…!?

──レジネッタとスマイルジャックからは、いろいろなことを教えてもらったそうですね。どちらも折り合いの難しい馬だったとのことですが、スマイルジャックに関しては、ダービーのときはスムーズに折り合っているように見えました。

小牧 そうそう、ダービーのときは折り合いがつきました。なぜかわからないけど(笑)。3コーナーで、ぷら〜んとハミが外れてね。あの馬には、ホントにいろいろ教えてもらったし、貴重な経験をさせてもらいましたね。

──ダービーは、2着だけに小牧さんご自身にとっては悔しい一戦でしょうけど、素晴らしい騎乗でした。

小牧 勝ったと思ったんやけどねぇ。でもまぁ、ダービーはうまく乗れたと自分でも思います。さっきも言ったけど、あの馬は、あれだけハミが外れることはなかなかないからね。今、三浦皇成くんが乗っているのを見てますけど、ぷら〜んと乗っている姿は見たことがないからね。ホンマに難しい、あの馬は。

──今でこそ短距離で活躍しているスマイルジャックですが、3歳時は菊花賞にも挑戦しました(16着)。

小牧 菊花賞は、さすがに持っていかれましたわ(笑)。あのレースはもう、どうにもならなくて…。あの馬にとって3000mは絶対に長いし、引っ掛かるのもわかってたから、どうしようかな…、押さえるのが大変やな…って、もともと不安はあったんやけどね。まぁ、先入観を持ってレースに臨んではいけないんでしょうけど。

──いろいろ苦慮されたんですね。普段は、レース前にあまり考えないほうだとおっしゃってましたが。

小牧 そう。僕は過去のVTRを観たりとか、あまりしないんです。レジネッタとスマイルジャックで考えたことも、位置取りとか、展開のシミュレーションとかではなくて、いかに馬をリラックスさせて走らせることができるかっていうことでしたね。

GI前に考えるのは馬のこと

──2頭での経験が今につながっているとのことですが、具体的に、どんな場面で感じますか?

小牧 なんかね、最近は、ある程度引っ掛かる馬でも、うまいこと乗り出したなって(笑)。あくまでも自分の分析だけどね。中央に移籍してきてからしばらくは、どうも馬が掛かってね。なんでやろ…っていうことが結構あったんです。それが今は、何気に乗りこなせてるなって思うんですよ。本質的には、ズブい馬のほうが相性がいいのかもしれないけど。

──30年近いキャリアがありながら、ますます進化されてるんですね。スゴイ。

小牧 進化っていうか、慣れてきたんだろうね。そう考えると、慣れるのが遅いんちゃいますか(笑)。

──小牧さんのパートナーでズブい馬というと、アサカディフィートなどが思い出されます(06、07年のアンドロメダS、07年の小倉大賞典に勝利)。

小牧 そうそう、あの馬とは相性が良かった。けっこうズブくて、ゲートを出すのが難しい馬やったね。あとは、ワンダースピード。あの馬もズブくてズブくて…。

──忘れてはならない1頭ですね。5歳の春から8歳の暮れまで22戦でコンビを組んで、全12勝中8勝が小牧さんの手綱でした。

小牧 あの馬は、一緒に戦ってきた仲間っていう感じがしますね。よう勝たせてもらいましたわ。最初はもう、ズブくてズブくてどうしようもなかった馬なんですよ。それを叩いて叩いて走らせていたら、いつの間にかオープンまで行ってね。それほど“強い!”って感じさせる馬ではなかったんだけど、なにしろ競馬が上手やったね。

──馬との相性もあると思いますが、小牧さんご自身、距離やコースに相性の良さを感じることはありますか?

小牧 相性がいいかどうかはともかく、なにせ僕は、阪神の芝コースが好きです。なかでも、1800mとか1600mとか、とくに外回りが好きですね。追い込みが利くし、実力勝負になるから競馬が楽しい。前が開かなかったりとか、そういうせめぎ合いもね、乗っていておもしろいんですよ。

【質問コーナー】
■園田にオオエライジンという強い馬が現れました。やはり今でも園田の馬はチェックしていますか?

小牧 さらっとはチェックしますね。馬は見たことがないけど、オオエライジンも知ってます。9連勝だもんね。弟が園田で調教師をやってるんでね、やっぱり気になります。

■園田、姫路以外で、好きな競馬場はありますか?

小牧 地方ですごいな、と思ったのは、盛岡競馬場やね。オープニングレースに招待されて芝コースも乗ったことがあるけど、4コーナーからゴールまでずっと坂で、地方なのになんでこんなにすごいんかなって思った覚えがあります。中央では阪神、あとは小倉が好きです。夏に毎年行ってるんだけど、なんとな〜く好きなんですよね。

【次回の太論は?】
リディルで挑んだマイルCSは、14着と残念な結果に。次回は、道中の思いや敗因、その夜の意外な(?)エピソードまで、今後のリディルの可能性も含めて、マイルCSをじっくりと回顧します。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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