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人気上位馬に死角あり!/宝塚記念

  • 2012年06月20日(水) 18時00分
■宝塚記念(フルゲート18頭/登録18頭)
【特注必見データ!】
・前走上がり3F順位
 [1位] 0-1-0-9 勝率0% 連対率10.0%
 [2位] 0-2-4-4 勝率0% 連対率20.0%

 宝塚記念を予想するうえで絶対にチェックすべきなのが、前走での上がり3ハロン順位。当コースは形態的に底力ラップとなりやすく、近走で「上がり最速」を連発しているような瞬発力型の馬が苦手とするフィールドなのである。過去5年の上記データだけでも十分に見てとれるが、阪神で開催された宝塚記念を過去23回まで振り返ってみても、結論はまったく同じ。「前走最速上がり」の馬はわずか2勝で、その勝率は4.3%に過ぎない。人気になるパターンだが、過信は絶対に禁物。アタマで買うのはかなり危なっかしい。

【コース基本情報】阪神芝2200m・内回り(B)
・コース回収率
 [中波乱期待] 単勝77%・複勝70% 超人気薄の激走例皆無

・馬連万馬券出現率
 [高め] 19.0%(平均値△7.0%)

・枠番別連対率
 [内有利] 内枠17.2%・中枠10.2%・外枠9.2%(16頭以上)

・脚質別傾向
 逃げ>>先行≧差し>>追込 勝ち馬は差し脚質多し

・4角通過順別連対率(16頭以上)
 4番手以内 19.2%
 5番手〜9番手 15.4%
 10番手以下 4.0%

・推定ラップ&タイム
 [前傾]34.8-61.2-35.2=2.11.2 底力勝負

 当コースで特徴的なのが、超人気薄の激走例が非常に少ないという点だ。16頭立て以上のレースに限定したデータでも、10番人気以下は[1-1-2-131]と超低空飛行。12番人気以下馬に至っては、なんと馬券絡みゼロである。それでいて馬連万馬券の出現率が高いのだから、上位人気馬の信頼度が低めで、対照的に「中穴」がよく走っているということ。また、内枠有利の傾向がハッキリしているのも要所で、「ある程度は前に付けられる内枠の馬」なら、かなり信頼できる。

 あとは、前傾ラップで中盤もそれなりに速いという、芝の中距離戦では珍しい「底力勝負」の流れになりやすいのも重要なポイント。好走例がスローの瞬発力勝負に偏っているような馬は、その評価を大幅に割り引くべきだろう。

【レース基本情報】宝塚記念(G1)過去5年
・馬連平均配当
 2396円

・1番人気馬成績
 [0-3-1-1] 連対率60.0%・複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [2-5-3-5] 連対率46.7%・複勝率66.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-0-1-33] 連対率0%・複勝率2.9%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ]6.7%、[先行]46.7%、[差し]40.0%、[追込]6.7%

・性別成績
 [牡馬・セン馬] 5-3-5-61 [牝馬] 0-2-0-3

・年齢別成績
 4歳馬>6歳馬>5歳馬>3歳馬=7歳以上馬

・注目出走パターン
 [買い]前走3着以内馬 [5-5-4-23] 連対率27.0%
 [不振]前走天皇賞(春) [1-2-1-17] 連対率14.3%

 人気別成績を見てもわかるように、おおむねコースデータの分析結果に準ずる内容。1番人気馬は好走率こそ高いが未勝利で、5番人気〜8番人気から3頭の勝ち馬が出ている。コース改修前を振り返ってみてもガチガチで決着した例は少なく、やはり中穴狙いに妙味がありそうだ。また、ふたケタ人気馬がまったくの期待薄なのも同様である。

 あとは、前走成績がレース結果に直結しているのも、興味深い傾向。過去5年の3着以内馬は、08年3着のインティライミをのぞき、すべて「前走3着以内馬」だった。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 走破時計は標準的も内ラチ沿いは多少荒れてきている印象。

・天候予測
 台風の影響もあり降雨量多く重めの馬場となる気配が濃厚。

・勝利数トップ種牡馬
 ステイゴールド 勝率20.0% 連対率30.0%

・著者の注目血統
 「非」サンデー系

・瞬発力要求度
 36.8(基準値▼13.2)※注

 梅雨時なうえに台風の本州直撃もあり、想像以上に悪化した馬場でのレースとなる可能性もありそう。芝コンディションはおおむね良好だが、土曜日のレースでラチ沿いがさらに荒れる可能性もあり、馬場バイアスの変動に警戒が必要である。

 種牡馬別ではステイゴールド産駒がトップの成績で、勝率や連対率なども優秀。しかし、3回阪神でのサンデー系は、新馬・未勝利以外のレースでは[6-13-13-80]で勝率5.4%、連対率17.0%、単勝回収率17%とイマイチ。また、もともとロベルト系が強いコースであることや、瞬発力要求度が36.8ポイントと低い数値であることからも、いわゆる「瞬発力型のサンデー系」に向かない馬場であると推測される。アナログな表現になって申し訳ないのだが、少し「重さ」を感じる血統構成のほうが向く馬場といえるだろう。

★総論×各論
 以上の総論を踏まえた上で各論に移るが、上位人気が確実なオルフェーヴル、ルーラーシップの2頭は、いずれも「可もなく不可もなし」といった印象。実績上位ながらいずれもかなりの瞬発力型であり、このレースの主軸としては推しづらい面がある。また、3番人気あたりになりそうなウインバリアシオンは、明らかに「危険な人気馬」といえそう。鞍上の乗り替わりで中団待機策を仕掛けてくる可能性はあるが、これまでと同じ乗り方で勝てるとは思えない。つまり、上位人気馬すべてが危なっかしいという結論となる。

 本稿での筆頭推奨馬はエイシンフラッシュ。買い材料が多いのはもちろんのこと、割り引く点が「前走がドバイでの6着」程度しか見当たらないのは大きい。また、超ハイペースだった昨年の宝塚記念で3着に来たという裏付けを既に持っているというのも好材料。内の好枠番でも引き当てれば、ダービー以来となる久々のG1制覇が期待できそうだ。

 それ以外では、フェデラリスト、アーネストリー、ホエールキャプチャの3頭も上位に評価できる馬。このあたりから「中穴」配当を狙う馬券をオススメしたい。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2007年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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