■アイビスSD(G3・フルゲート18頭/登録27頭)
【特注必見データ!】 〜レースデータから〜
・前走クラス別成績
[重賞] 4-2-1-41 連対率12.5% 単回収率55% 複回収率48%
[OP特別] 3-6-5-51 連対率13.8% 単回収率131% 複回収率69%
[条件戦] 3-2-4-34 連対率11.6% 単回収率122% 複回収率64%
とにかく「格」が必要とされないレースで、前走で出走していたのがG1であろうと条件戦であろうと信頼度にほとんど差がない。しかし、人気は当然ながら前走重賞組が集めるわけで、相対的に「前走非重賞組」の期待値が非常に高くなっているのである。ちなみに、前走非重賞組によるワン・ツー・スリー独占が、過去10年でなんと5回も発生。このレースでは「格」ではなく、「若さと勢い」をかなり重視すべきだといえる。
【コース基本情報】新潟芝1000m
・コース回収率
[波乱傾向] 単勝89%・複勝79% 超人気薄が馬券絡み多発の穴コース
・馬連万馬券出現率
[超高確率] 28.2%(平均値△16.2%)
・枠番別連対率(16頭立て以上)
[内枠不利] 内枠7.3%・中枠13.9%・外枠11.5%
・脚質別傾向
逃げ>>先行>>差し>>>追込 前に行ける馬であればあるほど有利
・推定ラップ&タイム
[やや前傾] 11.6-10.0-10.1-10.3-11.9=0.53.9 中盤キツく持久力必須
期間内に10番人気以下馬が13勝31連対、13番人気馬が5勝もあげているという、かなり紛れのあるコース。1番人気馬は信頼度はソコソコ高いのだが、同時に穴馬の激走率も高いため、本命サイドでのガチガチ決着には滅多にならないのだ。
まず目立っているのが、内枠の不振。当コースでの外枠有利はよく知られる話だが、1枠に入った馬は勝率2.5%、連対率5.5%と、コース平均の半分以下という超低空飛行。同様に2枠もイマイチで、1枠〜2枠に入った馬は、それだけで割引対象といえる。また、定説である「外枠有利」が一昔前の話であるにもかかわらず、現在も過剰人気となっているのは気をつけたいポイント。いま最も信頼度が高く、かつ回収率も高いのは3枠〜6枠の「中枠」である。脚質面では、クラスを問わず圧倒的に前有利。ハナに行けた馬の複勝率は44.6%もあるのだから、これを狙わない手はないだろう。
【レース基本情報】アイビスSD(G3) 過去10年
・レース平均配当
単勝1622円 馬連5537円 3連複32073円
・1番人気馬成績
[2-2-0-6] 連対率40.0%・複勝率40.0%
・3番人気以内馬成績
[5-6-1-18] 連対率36.7%・複勝率40.0%
・10番人気以下馬成績
[1-1-3-61] 連対率3.0%・複勝率7.6%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 30.0% [先行] 26.7% [差し] 30.0% [追込] 13.3%
・性別成績
[牡馬・セン馬] 2-6-6-83 [牝馬] 8-4-4-43
・年齢別成績&連対率
[3歳馬] 2-1-3-7 23.1%
[4歳馬] 3-4-1-15 30.4%
[5歳馬] 2-2-4-32 10.0%
[6歳馬] 3-3-2-35 14.0%
[7歳以上] 0-0-0-37 0%
・注目出走パターン
[買い] 乗り替わりの関西馬 [8-1-2-34] 連対率20.0%
[買い] 4歳以下の牝馬 [4-3-1-8] 連対率43.8%
[不振] 連闘&中9週以上 [1-0-1-31] 連対率6.1%
[不振] 継続騎乗の関西馬 [0-1-0-19] 連対率5.0%
コース同様にレースもかなり波乱含み。3連複は万馬券が10回中5回、5万円以上の配当3回で、3万円以上という高い平均配当が出ている。人気サイドの信頼度も「高くはないが低くもない」といった印象で、ある程度はバットを長めに持って振り回すほうが好結果を呼び込めそうだ。
注目すべきファクターを簡潔にまとめると、「性別=牝馬優勢」「年齢=4歳以下馬優勢」「休養明け=×」「乗り替わり=○」の4項目となる。とくに重視したいのが年齢で、4歳以下馬のトータル連対率が27.8%であるのに対して、5歳以上馬のそれは8.3%と、その差はじつに3倍以上。ズブさの出てくる古馬よりも、フレッシュな若駒のほうが格段に期待できる。やはり、若さと勢いを買うべきレースなのである。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
多少荒れてきている印象で「外>内」となるのは確実
・天候予測
土曜日に多少の降雨がある可能性も良馬場〜稍重想定
・勝利数トップ種牡馬
サクラバクシンオー 勝率5.1% 連対率16.2%
・著者の注目血統
キングマンボの系統をのぞくMr. Prospector系種牡馬の産駒
・瞬発力要求度
23.8(基準値▼26.2)※注
勝利数は数の力でサクラバクシンオー産駒がトップだが、勝率5.1%、連対率16.2%と内容的にはそこまで抜けておらず、サンデー系は可もなく不可もなしといった印象。アフリートやスウェプトオーヴァーボード、コロナドズクエストといった典型的なMr. Prospector系のほうが、コース適性は格段に高そうだ。「Mr. Prospector系×Danzig系」といったスプリント仕様の血統であれば言うことナシ。テンに行ける脚のありそうなスピード血統を高評価すべきコースであり。
★総論×各論
どの馬にも一長一短ありといった印象だが、ここでいかにも来そうなパターンに合致するのがビウイッチアス。割り引く要素がないではないが、フレッシュな3歳牝馬で前走はOP特別を快勝し、先行力も十分に備えているなど、マイナスを補ってあまりあるプラス材料の持ち主である。あとは内枠さえ引かねば、かなり期待できるはずだ。
昨年の覇者でスプリンターズSでも3着に好走したエーシンヴァーゴウも人気を集めそうだが、同馬は大不振である「休養明けの前走重賞組」。その地力と適性は評価するも、△〜×の押さえ評価が妥当とみる。また、オウケンサクラ、パドトロワの2頭も、データ的にはあまり高評価できない、意外に危なっかしい存在。ここを厚く狙うくらいなら、エーシンダックマンやジュエルオブナイル、セブンシークィーン、ハクサンムーンを積極的に買いたくなる。あとは直前に「枠番」と「騎手の乗り替わり」でふるいにかけて、最終的な買い目を構築したい。
■中京記念(G3・フルゲート16頭/登録28頭)
今年から距離がマイルに短縮された中京記念。ハンデ戦であるのはこれまでと同様だが、コース自体がリニューアルされた上に距離まで違うのだから、これはまったく新しい重賞と見なすべき。よって、リニューアル後に開催された14レースの結果から、傾向と対策を考えていきたい。
逃げ&先行勢が登録馬に少ないため、スローペースとなる可能性が高そう。しかも当コースは直線が非常に長く、さらに瞬発力要求度もきわめて高いため、先行馬よりも差し馬のほうが信頼度が高い傾向にある。この傾向はクラスが上がるとさらに加速するため、アタマで来るのは、中団から一気の脚で突き抜けられるようなタイプとなりそう。それも、内枠ではなく5枠〜8枠からスムーズに追走できる差し馬が、最も信頼できるはずだ。また血統面でも、ディープインパクト産駒やキングカメハメハ産駒、さらには母父サンデーサイレンスといった、末脚のキレを導き出せる配合馬が好調である。
となると、スローペースの前走で直線一気を決めたフラガラッハや、安定して速い末脚を繰り出せるエアラフォン、前付けしても瞬発力勝負可能なエーシンリターンズなどに向くレースとなりそう。もし出走が叶った場合には、シルクアーネストも絶対に要チェックとなる1頭である。
※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象
※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。