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枠番と「格」で好走馬を抽出せよ!/クイーンS

  • 2012年07月25日(水) 18時00分
■クイーンS(G3・フルゲート14頭/登録16頭)
【特注必見データ!】 〜コースデータから〜
・枠番&脚質別信頼度(14頭立て)
 [1枠〜2枠] 逃げ&先行馬 連対率38.9% 複勝率50.0%
 [1枠〜2枠] 差し馬 連対率6.8% 複勝率20.5%
 [7枠〜8枠] 逃げ&先行馬 連対率28.6% 複勝率37.5%
 [7枠〜8枠] 差し馬 連対率20.4% 複勝率20.4%
 [3枠〜6枠] 追込馬 連対率0% 複勝率1.4%

 枠番別に、注目すべきポイントだけを抜き出したデータがこちら。まずは1枠〜2枠の「内枠」から見ていくが、最初のコーナーまでを速いラップで駆け抜けるため、前に行けないと苦戦を強いられると考えるべきだ。実際にデータを見ても、逃げ・先行勢が複勝率50.0%と好成績であるのに対して、4角5番手以下馬はトータル複勝率17.9%と、大幅に数値を落としている。連対率の低さがとくに目立つパターンであり、前に行けない内枠の馬は、押さえるとしても3着のヒモが妥当だろう。

 しかし、これが7枠〜8枠の「外枠」になると、逃げ・先行勢と差し馬との信頼度があまり変わらなくなるのだから面白い。先行有利のコースだけに基本的には前有利なのだが、中団から差す競馬ができる馬ならば、外枠は歓迎材料。詳しくは後述するが、最も信頼度が高い7枠に入った差し馬であれば、なおさら期待できるはずだ。

 なお、当コースにおいて4角を10番手以下で回るような「追込馬」は、ビタ一文買う価値なし。3枠〜6枠に入った追込馬の成績だけで、それは一目瞭然である。

【コース基本情報】札幌芝1800m Aコース使用
・コース回収率
 [堅め決着] 単勝59%・複勝74% 人気馬の信頼度が高く全体的に堅め

・馬連万馬券出現率
 [低め] 5.1%(平均値▼6.9%)

・枠番別連対率(14頭立て)
 [外枠優勢] 内枠13.5%・中枠12.6%・外枠18.6%

・脚質別傾向
 逃げ≧先行>>差し>>>>追込 クラスが上がっても前有利が不変のコース

・推定ラップ&タイム
 [平均] 35.4-36.0-35.4=1.46.8 前後半が均等で中盤も緩まない持久戦

 出走頭数が少ないこともあるが、北海道シリーズは全体的に堅め決着の多い開催。14頭立てに限定したデータでも、複勝回収率75%、馬連万券出現率10.8%であり、間違っても波乱決着を期待しやすいコースではないといえる。

 面白いのが枠番別成績で、7枠〜8枠の「外枠」が平均連対率18.6%とアタマひとつ抜けた信頼度を誇っている。とくに優秀なのが7枠で、こちらは期間内[8-10-3-52]で連対率24.7%、複勝回収率131%! 間違いなく前付けできる速力があるなら内枠のほうがいいが、それ以外の馬は基本的に外枠がベターだと考えていただきたい。

 コース形態的にも序盤が速くなりやすく、中盤でもペースが緩むポイントがないため、前後半がほぼイーブンとなるようなラップが刻まれやすい。大回りでコーナーから加速できるので、長く脚を使える粘っこいタイプに最も展開が向きそうだ。

【レース基本情報】クイーンS(G3) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1595円 馬連5572円 3連複13768円

・1番人気馬成績
 [1-4-0-5] 連対率50.0%・複勝率50.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-6-4-15] 連対率36.7%・複勝率50.0%

・10番人気以下馬成績
 [1-2-1-39] 連対率7.0%・複勝率9.3%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 13.3% [先行] 33.3% [差し] 43.3% [追込&捲り] 10.0%

・年齢別成績&連対率
 [3歳馬] 3-2-2-19 19.2%
 [4歳馬] 4-3-2-31 17.5%
 [5歳馬] 2-5-5-36 14.6%
 [6歳馬] 1-0-1-15 5.9%
 [7歳以上] 0-0-0-2 0%

・調教師所属別成績
 [美浦] 3-5-3-52 連対率12.7% 複勝率17.5%
 [栗東] 7-5-7-51 連対率17.1% 複勝率27.1%

・注目出走パターン
 [買い] 前走が中央4場 [8-7-7-54] 連対率19.7%
 [買い] 前走G1出走 [4-4-1-23] 連対率25.0%
 [不振] 斤量56〜57キロ馬 [0-1-0-8] 連対率11.1%
 [不振] 連闘〜中3週 [1-1-0-31] 連対率6.1%

 1番人気馬の連対率は50.0%と悪くないが、過去10年で1勝しかあげていないというのは気がかり。2番人気〜5番人気を1着で狙う馬券のほうが、格段に配当的妙味がありそうだ。また、10番人気以下馬の馬券絡みも4回あるように、コースのイメージよりは波乱含み。「人気サイド+大穴1頭」もしくは「3着以内はすべて7番人気以内だが1番人気が飛んで意外に好配当」といったパターンを狙いたい。

 また、前走G1組や前走ローカル以外出走組が好成績を残しているように、意外に「格」が問われるレースであるのも重要なポイント。昨年10番人気で2着に食い込んだコスモネモシンも、前走ではヴィクトリアマイルに出走していた。開催時期の変更にともない傾向が変わってくる可能性もあるが、一応は今年も「上がり馬より実績馬」のスタンスでの予想がオススメである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開幕週ではないが馬場コンディションは絶好で時計も速い。

・天候予測
 週末までは降雨があっても多少。当日になって渋っても稍重までか

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率13.6% 連対率20.5%

・著者の注目血統
 ディープ産駒や「キンカメ×母父サンデー」といったベタ良血

・瞬発力要求度
 51.3(基準値△1.3)※注

 先週の1000万下特別で1分46秒7という時計が出ているように、芝コンディションはきわめて良好。週末までの降雨量も少ないため、開幕週だった例年と同じか、それ以上に速い勝ち時計となる可能性もある。

 血統面では、いわゆる「ベッタベタの良血」がオススメ。札幌芝1800mはローカル開催ながら中央開催の芝中距離に近い性質を持っており、成績上位もキンカメ、ステゴ、ディープ、タキオン、そして母父サンデーなど、ローカルらしさが微塵も感じられない血統ラインナップとなっている。いわば「いかにも値段の高そうな血統であればあるほど適性が高い」コースであり、ここもそういうクチの馬を高く評価したい。

★総論×各論
 アイムユアーズ、オールザットジャズ、コスモネモシンなどが人気を集めそうだが、最も期待できそうなのはオールザットジャズ。出遅れ癖があるのは懸念材料だが、ゲートさえ出ればスッと好位に付けられる先行力があり、G1から短期休養を挟む臨戦過程で斤量55キロ、さらに血統面での後押しもアリと、マイナス材料よりもプラス材料のほうが格段に多い。ただし、内枠を引くと「出遅れてズブズブ」の可能性が一気に上がるので、その扱いが難しいところではある。この4頭で序列をつけるならば、データ的にはオールザットジャズ、アイムユアーズ、コスモネモシンの順である。

 また、6歳で斤量57キロかつ徹底差し脚質であるフミノイマージンや、速いペースへのペースへの対応力が懸念されるミッドサマーフェアは、明白に割り引きが必要な存在。それなら、洋芝適性の高さと安定感のあるレインボーダリアや、マイナス材料がとくに見当たらない穴馬シースナイプを積極的に狙っていったほうが、好結果を呼び込めそうだ。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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