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エリンコートの1.3秒、シースナイプの0.4秒

  • 2012年07月26日(木) 12時00分
先週はスットコの夏だった。

中京記念は夏の記念ものハンデ戦らしく「引き出し」のフラガラッハが5番人気で1着し、「押し出し」の1番人気ダノンヨーヨーが7着、2番人気レッドデイヴィスが11着に負けた。

自分は先週のここで5番人気のフラガラッハに注目と書いた。
でも馬券はハズれた!!
理由はスットコだからだ。

ついでにオルフェーヴルを降ろされたての池添のスイッチも入るか!? として3着のトライアンフマーチを「すくい出し」してみた。けれどこちらも馬券はハズれた!! もちろんスットコが理由だ。

週末の自分に何があったのか? さっぱりわからない。だからスットコなのだ。

もちろんスットコはそれだけじゃ終わらない。アイビスサマーダッシュも牡馬に注目として、
パドトロワ・エーシンダックマンを「すくい出し」していた。
しかし馬券は外れた!!

週末の自分に何があったのか? 皆目検討もつかない。たしか去年もどこかでスットコの夏をすごした気がする。マイ夏の風物詩か。

っていうか、この夏はスットコとヒョットコの繰り返しで、汗が噴いたり引いたり、心も伸びたり縮んだりで落ち着かない。

7/1 CBC賞 ◯ ヒョットコ!
7/1 ラジオNIKKEI ◯ヒョットコ!
7/8 プロキオン × スットコ!!
7/8 七夕賞 × スットコ!!
7/14 函館2歳 ◯ヒョットコ!
7/15 函館記念 ◯ヒョットコ!
7/22 中京記念 ×スットコ!!
7/22 アイビス ×スットコ!!

見てもらえばわかるように週単位でスットコとヒョットコを繰り返している。これはいったいなんでだろう。毎週1つずつ重賞があるならばまだ納得できる(厳密には意味不明だけどなんとなく理解できる)。でも毎週2つずつ重賞があって、それを◯◯、××で繰り返すとなると混乱する。サマーパニックだ!

正直、自分の内面にその原因があるのでは? 馬券とは心の葛藤の成れの果て。ならば、そこを突き詰めれば………とかそういうことではない!

当たる! 今週はこの順番で行けば、当たる番だ!! 縮んだらまだ伸びればいい!! 得意の「問題先送り」法案発動だ! やっほー! 今週は当たるぞ!! そういうことだ。

これぞスットコの夏を、ところがドッコイの夏に替える必勝法のはず(これも去年書いた!)。スットコドッコイサマーだ!

とはいえ、一応反省はしてみる。問題を先送りするのは得意だけれど、反省もしないとお金がきれいサッパリなくなることも知っている。

基本、夏のアプローチは「押し出し・引き出し」を中心に、「おくり出し」や「つり出し」をまぶすのだけれど、今年は新たに「すくい出し」を取り入れてみた。

それが前述のアイビスのパドトロワ、エーシンダックマンにあたる。
押し出し・引き出しは基本的には「赤の層(単オッズ10倍以内)」の中で按配を見ながら、虫みたいにスリスリするもの。
一方、すくい出しは押し出し・引き出しからこぼれる馬をなんとか掬い取りたいときにだいたいで、使用するもの。

そのアイビスサマーダッシュは
1着 7番人気 単11.6
2着 5番人気 単7.9
3着 4番人気 単7.8
4着 3番人気 単7.1
5着 6番人気 単9.5

9着 2番人気 単5.5
10着1番人気 単3.6

面白いのは2着〜10着の中の1番人気〜5番人気の着順。
5、4、3番人気が2、3、4着、さらに2番人気、1番人気が9着、10着。
見事な逆さ着順。完全なる引き出し決着。

う〜む…こうやってみると、なぜこの結末でハズしたのか、まったくの謎だ。すくい出して、引き出して…………。スットコにもほどがある。
まぁいい。細かいことは来年考えればいい。ニュー・新・6か条を作ればいい。

そういえばアイビスは1着〜3着を5歳馬が独占した。中京記念は5歳馬が1着2着した。
「東京以外(特に東京のG1以外)では強い5歳馬」だった。
忘れたころにやって来るから、これも頭に入れておかないと。

というわけで、今週のクイーンステークスも、夏のトリクミ式競馬でアプロってみる。
(もちろんリスペクト・オブ・相撲です。厳密には引き出しやすくい出しといった決まり手はありませんが)

「押し出し・引き出し」は週末のオッズを見るまでのお楽しみ。
「おくり出し」は前走・松岡騎乗馬やそれに匹敵するニュアンスのある送りがないから(前走ウィリアムズや前走岩田はちょっと違う)、ここではお休み。
「つり出し」も減量騎手が現状騎乗しなさそうだからお休み。
となると週の真ん中に出来るトリクミの決まり手としては「すくい出し」しか残らない。

クイーンSで掬いたい馬はエリンコートとシースナイプ。

どちらも社台F生産馬だけど、人気はそこそこで掬いがいあり。

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エリンコートの1.3秒
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エリンコートはオークス馬で、その後、崩れて、ぜんぜん立ち直れていない馬。
しかし今回は横山典が騎乗。
それだけで、「逃げもあるかも」と思えてしまってどうしようもない。

今回のメンバーで逃げを打ちそうな馬はピュアブリーゼとレジェンドブルー。
騎手は秋山と宮崎北。
この2人ならば、横山典が猪木ばりに「行くぞーー!!」と気合を醸し出せば、なんなく先手は奪えそう。

それはそれとして、エリンコートの気になりどころは、ここ4戦の着差が全部1.3秒であるところ。

秋華賞 10着 着差1.3秒
エリ女 12着 着差1.3秒
京都牝馬 11着 着差1.3秒
マーメイド 7着 着差1.3秒

同世代G1も古馬と初対決G1もルメール騎乗のG3も休み明けのG3ハンデ戦でも、全部着差が1.3秒。

これが同じ格、同じ世代でのものならさして気にならないのだけれど、スノーフェアリー(世界的牝馬)相手でもグルヴェイグ(ハンデ戦G3馬)相手でも同じ着差となると気になってしょうがない。

でもその1.3秒をあれこれ突っついてみても、さしたる意味はない。
問題は今回、好走するのかしないのか、そこが肝心だからだ。

で、改めて、1.3秒の4戦を見ると、前4走〜前2走の1.3秒と前走の1.3秒は少々意味が違うようにも思えてきた。

最後の直線でのもがき、あがきの質がちょっと違うのではないか?

秋華賞は4角8番手→10着
エリ女は4角12番手→12着
京都牝馬は4角9番手→11着

と直線に向いて、ぜんぜん伸びきれてない、ただもがいて終わったように見て取れる。
しかし、前走のマーメイドSは、
4角13番手→7着

直線に入っても何頭か抜いている。これはその前の3戦では見られなかった出来事。ちょっとはあがいたようにも見える。
少しはやる気が出たか?

マーメイドSは休み明けでもある。
この馬は初勝利にも3戦を要した馬でもある。
この馬の気質みたいなことをも慮ると、前走の1.3秒負けはもう一歩踏み込める1.3秒だった? とも思案できる。

思えば、エリンコートはデビュー以来一度も上がり1位で走ったことのない馬。
一番充実していたと思える忘れな草賞、オークスでも上がりは2位、4位だった。

そういう馬がここ4戦結果的に差し競馬の位置にいた。馬にやる気がなかったとしても、情状酌量の余地もなくはない? と思いたくもなる。

で、前走マーメイドでの「もしかして」のあがき。

そこに横山典の騎乗。

このパターンで考えられるのは3通り。

1 ただの鞍上強化。つーか偶然
2 馬主様にあきらめてもらうための依頼
3 脚質転換込みでの復活を期待しての依頼

正直どれも考えられる。いやただの鞍上強化かもしれない。けれど、この流れで期待したいのはもちろん脚質転換込みでの騎乗依頼。

馬主様も納得、馬券購入者も納得させる戦法チェンジ騎乗は、かつてブエナビスタを先行させ、カンパニーを先行させた横山典をおいて他にはいないはず。思い切った戦法は大惨敗のリスクも伴う。そのリスクを超えていける騎手でないとお話にならない。

もはや妄察でしかないけど、考えられる思いきった策は「逃げ・番手」か「最後方・追い込み」のどちらか。
で、自分が期待したいのはもちろん「逃げ・番手」競馬。理由は前述したエリンコートの上がり勝負にやや弱い性質を考慮して。

もともと函館デビューで札幌で初勝利した馬。叩き2戦目と横山典騎乗で、もうちょっと前向きになれて、札幌の芝で他馬との上がりの幅が狭まれば、馬券圏内に頑張れる可能性も生まれるのではないか? 

逃げ・番手は前述したように「行くぞー!」のオーラを醸せば十分。それだけで先手を奪えるはず。問題はそれをするかだけど、そればっかりはわからない。ただ過去、ときに「それ」をしてきて騎手が騎乗する。人気があるなら別だけど、人気薄ならばそこを膨らましてみるのも悪くないはず。

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シースナイプの0.4秒
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シースナイプの0.4秒。こちらの方が買いやすいか。

シースナイプは着差0.4秒で頑張ると、次、好走している。ここ5戦を見るだけで一目瞭然。

武庫川S(1600万) 7着 着差0.4秒

難波S(1600万) 2着

下鴨S(1600万) 6着 着差0.4秒

パールS(1600万) 1着

マーメイドS 4着 着差0.4秒

今回

もうこれだけで買いたくなる。

で、改めてシースナイプという馬の成績を見ると、思いのほか着差0.4秒が好きな馬であることもわかる。

過去着差0.4秒で負けたことが前走含めず5回。
その次戦の成績は、
7着、2着、3着、2着、1着。

(7着時は1番人気だった)
(ちなみに0.4秒差で勝ったことも2回あり。つまり全20戦で0.4秒がらみだったことが8回もあることがわかる)

馬券圏内に突入するときはすべて好スタートから先行して、流れ込んでいることを考えると、前走の向正面8番手から動いて(実際はもっと後方から動いたように見える)、3角で4番手につけて、直線で見せ場を作って4着した走りは見どころ十分だったとも言える。

まして前走は3着以内に走ったことのない2000M(0-0-0-4)。
今回は得意の1800(2-2-1-2)。
期待感はふつうにノーマルに高まる。

奇しくもシースナイプも上がり1位系の馬でなし。今まで上がり1位を記録したことは4戦目の一度きり。エリンコートと同じようなタイプといったら言い過ぎか。

クイーンSは例年より2週前倒しで開催される。つまり例年より開幕に近い馬場で開催されることになる。一般的に開幕に近い馬場とは上がり1位の馬より、先行して踏ん張る馬の方が勝ちやすい馬場でもある。

クイーンSはただでさえ上がり1位が勝ちきれないレース。過去10年で1位で勝った馬は3年前のピエナビーナスのみ。つまり、今年は例年以上に上がりの速さが必要とされない可能性がある。ならば、先行して頑張れるシースナイプと、横山典で逃げ・先行するかもしれないエリンコートでも太刀打ちできるのではないか? そんな皮算用。

ふつうに攻めるなら、きっと3歳牝馬にスポットを当てるか、毎年1頭は馬券圏内に突入する1番人気〜3番人気の馬にスポットを当てればいいはず。おそらく今年もそこをリスペクトする必要はあるのだろうけど、せっかく2週間早まるのなら、前倒しで生まれる「可能性」にスポットを当てるのもありのはず。

もちろん毎年1頭は圏内に突入するリスペクト枠の1枠〜3枠は、例年以上にリスペクトの必要ありか。仮にそこにエリンコートやシースナイプが入ってきたら、おわっと! やばい! うひー!

アイムユアーズ・もちろんリスペクトするけど、小回り角4競馬は未知っちゃー未知。池添騎手だし、去年のアヴェンチュラみたいな競馬をしそうだけど、小回り角4は未知っちゃー未知。
ミッドサマーフェア・蛯名騎手が51キロで騎乗するのはリスペポイントだけど、前走惨敗したし、この馬も小回り角4は未知っちゃー未知。
オールザットジャズ・小回り角4はリスペポイントだけど、前走惨敗は気になる。

人気が予想される馬にも未知が満ち満ちている! 未知は未来。希望も含まれる。だからむげにはしたくない。むげにはしないけれど……軸にしなくても……そんな心持ち。

スットコかヒョットコか。7月最後の重賞をドッコイ決めて、スットコドッコイで折り返してみたいものだ。

クイーンS注目馬
エリンコート(4歳)
シースナイプ(5歳)

その他5歳注目馬・レインボーダリア

リスペクト枠・1枠〜3枠
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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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