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人気馬の扱いはあえて雑に!?/関屋記念

  • 2012年08月08日(水) 18時00分
■関屋記念(G3・フルゲート18頭/登録27頭)

【特注必見データ!】 〜コースデータから〜
・新潟芝1600m枠番別成績(16頭立て以上)
 [1枠〜4枠] 29-47-36-631 勝率3.9% 複勝率15.1% 単回収率41%
 [5枠〜8枠] 64-46-58-691 勝率7.5% 複勝率19.6% 単回収率69%

 外回りで、スタート地点から最初のコーナーまでが500m以上。このようなコース形態から、新潟芝1600mでは枠番による有利・不利をそれほど気にしなくていいと思われがちである。実際に内枠・中枠・外枠での連対率差は最大でも2.3%とそれほど大きくない(データは後の項目で掲載)のだが、こと「勝率」に関しては大違いだ。

 ここで掲載したのは、大ざっぱに「内」と「外」で成績を二分したデータ。1枠〜4枠がトータル29勝で勝率3.9%であるのに対して、5枠〜8枠は64勝で勝率7.5%と、2倍近くもの大差が出ている。要するに、圧倒的に「外」の枠のほうが勝ちやすいということだ。

 もっとも、これはコース全体の傾向としての話で、今回の関屋記念で「外枠の馬が勝つ」といった結果に直結するデータではない。しかし、このコースで馬券を買う上で、絶対に知っておかねばならばい重要なデータであるのも、また事実である。

【コース基本情報】新潟芝1600m Aコース使用
・コース回収率
 [堅め決着] 単勝65%・複勝67% 超人気薄の激走例が非常に少ないコース

・馬連万馬券出現率
 [少し高め] 14.3%(平均値△2.3% 馬連平均配当5702円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [内より外] 内枠10.2%・中枠11.7%・外枠12.5%

・脚質別傾向
 先行>差し≧逃げ>>追込 脚質による有利不利が非常に少ない傾向

・推定ラップ&タイム
 [末脚勝負] 34.8-24.1-33.8=1.32.7 序盤は遅めも中盤〜上がり速く差し優勢

 掲載したデータを見てもらってもわかるように、新潟芝1600mはいわゆる「紛れ」が少ないコース。人気サイドの馬が順当に結果を出しており、波乱となる確率が高い16頭立て以上のレースにおいても、12番人気以下馬はトータル[0-2-3-289]で連対率0.7%、複勝率1.7%という、まるで地を這うような成績となっている。ここまで不振だと、ふたケタ人気馬はよほどの自信でもないかぎり、無条件で「消し」でよさそうだ。

 枠番に関しては、冒頭の特注データでも紹介したように「内より外」が正解。しかし、連対率や複勝率に関してはそれほど大きな差が見られないので、1着候補馬以外についてはさほど気にする必要ナシ。直線が長く差し・追い込みがきくコースなので、脚質については基本的に差し優勢で、次いで先行脚質が強いと捉えておこう。

【レース基本情報】関屋記念(G3) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1666円 馬連6550円 3連複13420円

・1番人気馬成績
 [4-2-2-2] 連対率60.0%・複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [6-5-5-14] 連対率36.7%・複勝率53.3%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-5-62] 連対率2.9%・複勝率10.1%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 9.7% [先行] 25.8% [差し] 32.3% [追込&捲り] 32.3%

・性別成績
 [牡馬・セン馬] 9-10-10-110 [牝馬] 1-0-1-18

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-0-1-4 連対率0% 複勝率20.0%
 [4歳馬] 3-3-4-11 連対率28.6% 複勝率47.6%
 [5歳馬] 2-6-1-38 連対率17.0% 複勝率19.1%
 [6歳馬] 3-0-2-36 連対率7.3% 複勝率12.2%
 [7歳以上馬] 2-1-3-39 連対率6.7% 複勝率13.3%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 4-7-5-70 連対率12.8% 複勝率18.6%
 [栗東] 6-3-6-58 連対率12.3% 複勝率20.5%

・注目出走パターン
 [買い] 前走重賞組の4歳馬 連対率50.0% 複勝回収率145%
 [買い] 前走ハンデ戦ひとケタ人気馬 複勝率23.5% 複勝回収率102%
 [不振] 前走でも1600m戦に出走 勝率3.4% 単勝回収率11%
 [不振] 騎手が乗り替わる馬 勝率3.0% 単勝回収率24%

 ざっくりいえば「このコースにしてはかなり荒れている」といった印象。1番人気馬の信頼度はかなり高いのだが、それでいて馬連6550円、3連複13420円と、平均配当は悪くない数値が出ている。10番人気以下馬が馬券に絡むのも珍しくはなく、これなら大物狙いも意外に悪くはなさそうだ。

 とはいえ、狙いどころはけっこう絞りづらい。先行馬から追込馬までまんべんなく馬券に絡んでいるし、関西馬と関東馬の成績もほぼ互角。年齢別では4歳馬がひとつ抜けた成績を残しているのだが、今年該当するのはドナウブルーとマイネイサベルの牝馬2頭。牝馬の成績がいいとはいえないだけに、これまた悩ましい。

 ローテ面では、前走でも新潟、東京といった直線の長いコースで出走していた組がオススメ。また、前走でもマイル戦に出走していた組よりも、距離延長&短縮組のほうが期待できそうだ。今年の場合だと、1400mからの距離延長組、ならびに1800mからの距離短縮組を評価しておきたい。

【現在の馬場&血統情報】

・現在の馬場
 例年どおりの新潟夏開催も追込馬の好走例が少なく、やや前有利と推測される。

・天候予測
 土曜日までは良馬場濃厚も日曜日の降水確率が高め。稍重〜重馬場の可能性も。

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率12.9% 連対率24.3%

・著者の注目血統
 ロベルト系種牡馬の産駒(人気薄)

・瞬発力要求度
 60.8(基準値△10.8)※注

 新潟競馬場周辺の天候が週末にかけて悪化する予報が出ており、今年は渋った馬場でのレースとなる可能性もありそう。また、新潟芝ではこのところ追込馬の馬券絡みが例年よりも少ないため、やや前有利な馬場バイアスだと推測される。外差しがバンバン決まるような状態でもないので、「差し×差し」決着や「差し×追込」決着は考えにくそうだ。

 血統面では、ディープインパクト、キングカメハメハといった上位種牡馬の産駒が堅実な成績を残しているように、わかりやすく瞬発力勝負のフィールド。とはいえ、レースの流れ次第では意外にスタミナと底力を問われる場合もあり、そういった適性の高いロベルト系種牡馬の産駒が伏兵として台頭してくるケースも考えられる。

★総論×各論

 安田記念組のドナウブルー、中京記念組のトライアンフマーチ、エアラフォン、ゴールスキーなど、上位人気が予測される馬が見事なまでに「前走1600m戦」組。その他の登録馬もこの組が非常に多いのだが、前述したように関屋記念での前走マイル組は、勝率3.4%、連対率10.%という超イマイチな結果しか残せていない。しかも、1着よりも2着、2着よりも3着が多く、とにかくアタマで来ないのだ。

 そこで今回は、コースデータからは強く推奨できない人気薄ではあるのだが、シルクアーネストやウインドジャズ、アスカトップレディの3頭を推奨。とくにシルクアーネストは、「前走新潟」のNSTオープン組で「距離短縮」、さらに「ロベルト系」グラスワンダーの産駒であるなど、かなり激走が期待できるプロフィールの持ち主である。さすがに人気までは読めないが、10番人気前後になってくれて、4枠〜8枠にでも入ったならば、これはかなりアツい。

 穴馬を軸にして、人気馬を「あえて」絞らずに雑に流す。データ的には、今年の関屋記念はこういった買い方やスタンスでの勝負が向きそうだ。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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