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堀コロ・リアリティーとススキノ・ファンタジー

  • 2012年08月16日(木) 12時00分
サマー2000シリーズ第4戦と言われても、札幌記念は別物みたいな印象がある。

おそらくこのレースを秋のG1戦線で勝ち負けするための「はじめの一歩」と捉える陣営がいっぱいいて、また事実、その作戦で成功してきている馬がいっぱいいるからだろう。

にしても海外武者修行中の福永騎手がダークシャドウに騎乗するためだけに帰国して、またすぐに渡米するなんて、デットーリみたいじゃないか! ペリエみたいじゃないか! マッキャロンみたいじゃないか!

そんなジェットセッターな福永騎手の行動が札幌記念の別格感に拍車をかける。

------ちなみに--------
わざわざ乗りに来てもらう感が漂うときって、抑えの馬を用意する場合もあり(その日、勝負になりそうな馬を他のレースでもその騎手、今回で言えば福永騎手のために別に用意する)。もちろん厩舎の事情にもよる。だからすべての厩舎というわけではない。でも、何頭か馬を用意するおもてなし系の厩舎はある。確実にある。

その1つがダークシャドウの堀厩舎だと認識している。それをおもてなしと厩舎が捉えているとは思わないけど、堀厩舎は勝負になる馬をまとめて同じ騎手に託す傾向にある。だから、当日の堀厩舎の別馬に福永騎手が騎乗してきたら、全部買いたい衝動にかられる。堀コロガシしたくなる。

今はWIN5の登場で単コロっぽさの時代かもしれないけど、複コロにだって、ちょっとしたファンタジーはある。
特に複勝率が今年も.466と高い堀厩舎は、名手系騎手騎乗に絞ればもっと成績は上がる。

■今年度の堀厩舎での馬券圏内率
福永 複勝率.500
岩田 複勝率.500
内田博 複勝率.667
戸崎圭 複勝率.769

うほ! やっぱり5割以上だ。

な〜んも考えずに複勝を転がしたいなら、堀コロは手っ取り早い!

つまり「堀厩舎=福永デー」「堀厩舎=岩田デー」「堀厩舎=内田博デー」「堀厩舎=戸崎圭デー」は堀コロ・チャンス・デーと捉えて、だいたいオッケーだ。

たとえば、安田記念当日は堀厩舎の馬に福永騎手と岩田騎手が騎乗した。
福永=3着・1着・1着 
岩田=2着・6着

福永騎手で複コロ成功! 10000円から始めたら、3レースで48750円になった。

たとえば、7月1日は「堀=戸崎圭デー」だった。
戸崎圭=1着・1着・4着・1着・1着
惜しい!!

ミソは同一騎手。だから、3コロ、4コロはそもそもチャンスが少ない。実際一日2鞍くらいが多い。つまり、出来ても2コロまでというわけだ。2コロの複コロじゃ物足りなさも感じるかもしれない。でも一概にそうとも言い切れない。

たとえば、こんな変則殺法もあった。
7月28日〜8月5日の4日間は「堀=内田博デイズ」with「堀=岩田ミニデイズ」だった。
内田博・騎乗機会3戦3圏内
28日 3着
4日 2着
5日 3着
岩田・騎乗機会2戦2圏内
28日 1着
29日 2着

内田博3コロで10000円が68400円、岩田2コロで10000円が19500円になった。
さらにこの4デイズを「堀=内田博・岩田」としていたら、10000円は133380円にもなった!! ちょっとしたファンタジーだ。

何度も書くけど、な〜んも、な〜〜〜〜んも考えなくていい戦術。
それを考慮すれば、堀コロはなかなかに頼もしいコロガシとも思える。

おっと、話がちょっとローリングしてしまった。戻さないと。ここは、あくまでも「ちなみに」欄だった。

ちなみに仮に掘厩舎の馬がいなくても、福永騎手にはとっておきの新馬が用意されてる可能性もある。当日(日曜)の新馬・芝1800なんて、要注意な気がする。

それ以外だとやっぱり社台系の馬に注意か? ダークシャドウは社台F生産馬。往復の飛行機代をファーストクラスでもお釣りがでるくらい賄える馬たちを用意してきてもおかしくない。

いや、そんなおもてなしの社台系を押しのけて、非社台系の馬に騎乗してきたら、それこそ五つ星のおもてなし! 大一番かもしれない………………って、これじゃ福永騎乗馬は全部勝負になってしまう。ひぃ〜!

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いずれにせよ、アメリカから福永騎手を呼び寄せるのだから、ダークシャドウはそれ相応の状態であるとイメージするのが妥当か。

トーセンジョーダンの回避によりダークシャドウの1番人気はほぼ間違いないはず。

札幌記念の1番人気は先週の関屋記念同様に安定感あり。

実際、ここ10年で見ても、1番人気は7連対、8馬券圏内。
ついでに1、2番人気が揃って、圏外に消えたことは2回しかない! っていうか1、2番人気から買えば8割2連レベルで的中できる。
これは先週の関屋記念と同じだ。その関屋記念も1番人気が1着した。
関屋記念以上にすごいのは1、2番人気が揃って圏内に入ったことが5回もあることだ(関屋は2回)。

-----ちなみに-------
先週の関屋記念は判定負けでした。
スピリタスを◎にしたものの、なぜか、どこをどう間違えたのか、(10年で8回連対する1、2番人気と先週のコラムでも書いたのにも関わらず)1着のドナウブルーを少々軽んじてしまい3連複を外し、エーシンリターンズとのワイドのみの的中となってしまったのでした。

これで夏の重賞は5勝5敗1分1判定負け。どこまでもイーブン!
だけど、「1着1番人気 2着5番人気 3着8番人気」は先週取り上げたとおり。週末のコントロールに多少、乱れが生じても、夏場所の取り組み方は間違っていないはず。というわけで、夏場所のトリクミ式競馬について書いた競馬王9月号をどうぞよろしく。
そういえばnetkeiba.comの若大将は「緑の砂」のページとグラサン師匠の鉄板競馬が面白いと言ってたなぁ。
緑の砂については、何度か触れたので割愛するけど、鉄板競馬のゲストは日刊コンピ予想の第一人者で、ハイパーナビゲーションで有名な飯田雅夫さん。
飯田さんが日刊コンピ必勝法にたどり着くサマも描かれていて、ちょっとした情熱大陸に仕上がっていて、どうやら評判がいいようです。
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つまり、1、2番人気を2頭軸にしての3連単はずいぶんとリアリティーがあるわけだ。ただ今は週の真ん中水曜日〜木曜日。今からリアリティーの追求に勤しまなくてもいいはず。っていうかリアリティーの追求は自分が大の苦手とするところ。

夏競馬はリアリティーから目を離してはいけない。そのことはわかってるつもりだけど、週中は少しでもファンタジーに浸りたい。

というわけで、1、2番人気をリスペクト(特に1番人気をビッグ・リスペクト)しつつ、穴っぽいところを探ってみる。

自分がすくい出してみたいのは、
1 前走・函館記念
2 前走・宝塚記念
3 牝馬

サマー2000シリーズ第4戦とはいえ、その意識は低いのではないかと書いたけど、それは勝ち馬に関してで、札幌記念もあくまでも夏の北海道シリーズの1つと認識してそうな陣営も存在する。

ここ10年で前走・函館記念組は7年圏内に入っている。
ここ5年でも
07年 3着
08年 1着 3着
09年 3着
10年 0
11年 2着

地味に健闘してるというべきか。
今年の函館組ですくってみたいのは、函館記念3着ミッキーパンプキン、函館記念6着マイネルスターリー。

ミッキーパンプキンの魅力は前で競馬ができること。今週からAコースからCコースに替る。それが具体的にどんな影響を及ぼすか定かではないけど、内が死んでるとは考えにくく(内が生き生きとしてなくてもいい。死んでなければいい)、前に行けることが有利に働く可能性はある。

マイネルスターリーの前走はちょっと乱暴だった。
立ち遅れて、14−14−5−3→6着
2角14番手→3角5番手、つまり向こう正面で仕掛けたわけだけど、こういう競馬は相当強い馬か、デムーロ騎手でないとなかなか上手くいかない競馬。
っていうか、デムーロ騎手でも馬の実力とペースを見て、2段階スパートを仕掛けるはず。
函館記念はHペースだったから、そのまま控えていた方が結果的には正解だったか? 実際、2着したイケトップガンは13−13−12−9から2着だった。

今回は柴田大騎手に戻る。前走は3番人気だったけど、前走の敗戦と今回のメンバー構成で人気が下がるなら、まだ見限れない。すくい出しのチャンスは潜んでるのではないか?

2の前走・宝塚記念はここ2年連続して勝ち馬を出してるだけでなく、2年前は1着〜3着を独占したから。
ではなく、
ただただヒットザターゲットをすくい取りたい。その一心で。

ヒットザターゲットは鞍上・古川吉洋騎手。鴨川と神田川を地下で結ぶ秘密の寄合所では基本、古川吉洋騎手をえこひいきしている。だから、重賞出走となると自然に盛ってしまう。肉増し、野菜増し!

ヒットザターゲットはただ1頭の前走・宝塚記念組。その宝塚記念は11着。着差3.5秒じゃ大惨敗でもある。
ただ宝塚記念は初のG1挑戦と荒れた内を通ってのもので、3.5秒差にも情状の余地はある。いやあるに決まってる。
2年前2着3着した馬は宝塚13着15着だった。ここは頼もしい。つまり、情状の宝塚での経験を今回上乗せできるのならば、まだわからないとも言えるわけだ。

この馬は古川吉洋騎手とともにラチ競馬を完成させたと寄合所では、肉増し、野菜増し、ついでにアブラ増しで決めつけており、前述したようにCコースで内が死んでいなければ、内ラチいっぱいから抜けて、3着する姿も見える。肉の増し増しで見える。もし内枠に入れたら、リアルえこひいき決定だ!

ただ1頭の宝塚記念組と書いたけど、ただ1頭の4歳馬でもある。今年は5歳中心の夏と先週書いた。先週も5歳馬は2着した。でもただ1頭の4歳となれば話は別。大事にしてみたい。

3の牝馬については、けっこうテキトー。

札幌記念は1番人気が8回馬券圏内に来ていて、7回連対していて、2番人気は5回馬券圏内に来ていて、その場合は常に1番人気とセットで馬券圏内に来ていて、つまり、1、2番人気が吹っ飛ぶときは両方いっしょに吹っ飛んでいて、それがこの10年で2回あって、そのどちらのレースでも1着は牝馬だった。ゆえに「牝馬」と書いてみた。

要は今年のメンツで1、2番人気がダブルで吹っ飛ぶことはないか?そこを考えてみたかった。

おそらく1番人気はダークシャドウで、2番人気はヒルノダムールか。
もしトーセンジョーダンが出走してたら、1、2番人気のスキは薄いと思っていたけど、ダークシャドウ、ヒルノダムールとなるとどうであろう。

堅実だけど、展開次第では取りこぼしもありそうなダークシャドウに、フランス遠征以来、ピリっとしないヒルノダムール。2頭ともに吹っ飛ぶイメージは正直薄いけど、2着4着、3着4着、1着4着ならばイメージできなくはない。

そこにつけ込めないか? つけ込める余地はないように思えるけど、それでもつけ込めないか? せめて3着4着でつけ込めないか?

逃げた馬がペースをガクンと落として、超スローで進んだらどうか。
4角からの純粋な叩き合いになって、外から牝馬がシュッ!なんてことはないか?

1800、2000で、直線の長くない角4競馬に強いフミノイマージンのキレが生きることはないか?
距離不安はありつつも、420を切る小柄なハナズゴールにとって52キロは魅力的ではないか?

春先によくお目にかかった1頭だけがビュンっと逃げて、2番手以後か動くに動けなくなって、何かに逃げ切られるパターンも考えられなくもない。っていうか、そっちの方がより現実的か(リアリティーから逃げようとしたのにリアリティーとか言っちゃってる自分。ひ〜恥ずかしい)。

「この先(秋)を考えると、動くに動けなかった」

十分あり得る敗戦の弁。

ただ、そういう(ビュン!)逃げを打てそうな騎手が見当たらない。大逃げはいわば奇襲でもある。奇襲にはリスクが伴う。ハマったときの痛快さと惨敗したときの代償を天秤にかけて、その上で勝負できる強さのある騎手が見当たらない(大逃げが騎手だけの判断でないことはわかってるけど、矢面に立たされるのはやっぱり騎手)。

松岡、江田照、荻野…このあたりがいたらざわざわなんだけど…。

ふつうに逃げそうな騎手はいる。けれど、大逃げとなるとやっぱり見つからない。いたら喝采だ!

というわけで、3番の項目(1、2番人気が揃って吹っ飛ぶ)は今年はちょっと難しいか。ただペースは水物。まだ決めつけられない。ド・スローになって、ごちゃごちゃになって、前が詰まる可能性もある。牝馬が外からサッとやって来るススキノ・ファンタジーを頭に入れておくのは一応アリではないか。

にしてもビックリなのはnetkeiba.comの予想オッズで、ヒットザターゲットが4番人気に支持されてること。この4番人気にはトーセンジョーダンも含まれてるから、回避で3番人気に上がることもある!? えらいこっちゃ!

この夏の古川吉洋騎手は7番人気プラマイ1(6〜8人気)が理想馬券ゾーンと捉えていて、今回はその理想のゾーンに入るのではないかと思っていただけに、本当に3、4番人気に支持されるとなると心配指数は高まる。えこひいきしきれない。今はこの評価が何かの間違いであって欲しいと願っている。

札幌記念
ビッグリスペクト・1番人気
リスペクト・2番人気

函館組 マイネルスターリー・ミッキーパンプキン
えこひいき ヒットザターゲット
ススキノ・ファンタジー フミノイマージン・ハナズゴール
ヒモ 5歳

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北九州記念
注目馬 ジュエルオブナイル 蛯名と53キロで。
注目馬 シゲルスダチ 前走の走りっぷりと52キロで。
リスペクト エーシン4頭。父馬がみんな違う。1頭はドンピシャにはまるんじゃないか?

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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