新潟2歳Sの歓迎の儀(要はアプローチ)は、去年と一昨年のこのコラムでの念考でだいたい完成している。歓迎の神髄はハーモニー。

1番人気と最低人気、先行と追い込み、そういった真逆の組み合わせの調和を歓迎する。それだけで面白おかしい刻が過ごせる。そう思っている。

だから今年も去り行く夏の感傷に浸りながらハーモニーすればいいと考えていた。なんつってもハーモニーは夏の終わりと決まってるからね。

しかし、今年はいつもより1週前倒しで新潟2歳が行われる。
夏競馬のグランドフィナーレは新潟2歳と小倉2歳と刷り込まれていたので、この日程チェンジにはちょっと慌てた。

1週ずれるとハーモニーというより輪唱だ。カエルの唄だ。まぁ輪唱もハーモニーっちゃハーモニーだけど、何かが違う。とはいえそもそもハーモニーとは書いたけど正確にはドタバタなハーモニーにすぎない。だから夏の終わりのハーモニーがカエルの唄になろうと、静かな湖畔になろうと、大差ない。どのみちパッヘルベルのカノンにはなれないのだからいっしょだ。

とにかく一昨年、去年でだいたい固まって、向こう10年間の新潟2歳Sはこれで食えると思っていた。それだけに少し残念ではあるけど、軌道修正はいつだって必要なもの。残暑にセミの声を聞きながら、カエルの唄で整えるのもオツだ。

軌道修正する前に新潟2歳Sの歓迎の儀について簡単にまとめておく。

新潟2歳S・歓迎の儀

1　出遅れを歓迎せよ。
2　1人気、最低人気を歓迎せよ。
3　前走(新馬)人気薄で1着して、今走さらに人気薄の馬を歓迎せよ。
4　関西馬を1頭歓迎せよ。
※　スポット参戦の名手系がいたら概ね歓迎せよ。

1　出遅れを歓迎せよ。
このレースはとにかく出遅れ・立ち遅れの馬が馬券にからむ。

以下はこの10年で出遅れ・立ち遅れても馬券になった馬。注目すべき点はその人気。
1、2人気〜15、16番人気まで幅広く馬券に絡んでいる。

03年　アウトディスタンス　10人気3着
05年　ショウナンタキオン　1番人気1着
06年　ゴールドアグリ　2番人気1着
07年　シャランジュ　16番人気2着
08年　セイウンワンダー　1番人気1着
09年　シンメイフジ　1番人気1着
　　　フローライゼ　15番人気2着
11年　クイーンアルタミラ　9人気3着

これを持って今回出遅れそうな馬を狙えというわけではない。ただスタートがヘタだとしてもこのレースではそれほど気にする必要はないし、自分が期待する馬が出遅れたとしてもジタバタする必要もない。特に人気薄の馬なら、一見理想と思える中団より、後方待機の方が良かったりもする。

出遅れてくれた方が、ときに希望が生まれる可能性もあるわけだ。うむ、大歓迎だ！

出遅れた馬同士で決まる場合もあれば、出遅れと先行で決まる場合もある(もちろん先行系で決まる場合もある)。その組み合わせ、その調和をどこで取るか？　そこはセンスだけど、いずれにせよ出遅れをご破算に願えるんだから、ハーモニーのしがいはある。

この時期、あえて出遅れようなんて陣営はいない。でも出遅れる馬を歓迎したい。
一応、2歳のこの時期の1600、しかも日本一直線の長い新潟だから許される儀と見立てているけど、さぁ今年はどうだろう。

ちなみに今年登録してる馬は前走・出遅れた馬が多い。
インティワタナ
エフティチャーミー
カラフルブラッサム
サウンドリアーナ
ナンヨーケンゴー
マイネオレンジ
ユキノユウダン
ロジウエスト
ーーーーーーーーー
ザラストロ(2走前)
タガノラルフ(3走前)

登録21頭中出遅れ立ち遅れ経験のある馬が10頭もいる。
ユキノユウダンは2戦2遅れで、もし今回出走できたら高確率で遅れる気がする。

2　1番人気、最低人気を歓迎せよ。
これはかなり盛って書いている。特に最低人気のところを。
1番人気はこの10年で8回馬券圏内に来ており、当たり前に歓迎する必要はある。
と同時に9番人気以下もこの10年で7回(8頭)馬券に絡んでおり、しかも15番人気以下も3頭馬券に絡んでおり、それゆえにあえて、盛ってみた。人気薄を狙うなら、ケツ人気までウェルカムしようと自分に言い聞かせるために。

人気馬から検討していく派、人気薄から検討していく派、好きな馬、気になる馬から検討していく派、馬のアプローチはいろいろだろうけど、このレースに限っては、オッズを上と下から検討する儀を歓迎したい。
1番人気から検討しつつ、最低人気からも検討する。上からもケツからも、後ろからも前からも、オッズのサンドイッチ・スタイル！　わお！

1番人気とケツ人気の調和。うむ、これまたハーモニーのしがいありだ。
(人気に関してはnetkeiba.comの予想オッズでお願いします)

3　前走(新馬)人気薄で、今走さらに人気薄の馬を歓迎せよ。
「このレースで穴をあけた馬は新馬でも穴をあけた馬が多い」ことに注目し、去年はクイーンアルタミラを取り上げて上手くいった(クイーンアルタミラは新馬6人気1着→新潟2歳9人気3着)。
評判馬が評判どおりに勝つ確率が高いのが新馬だけに、ここでの穴は新馬戦5人気以下での勝利と設定した。

今年新馬戦を5人気以下で勝った馬は現状5頭。
インティワタナ　8人気1着
クラウンアトラス　5人気1着
トーセンレディ　6人気1着
マイネオレンジ　5人気1着
ミナレット　14人気1着

インティワタナは現状回避情報あり。
マイネオレンジは前走ダート。
ミナレットは前走14人気で1着。今回もきっと人気薄必至でおいしそうだけど、新馬であまりに人気がなさすぎたのがちょっとイヤ。
トーセンレディは人気をあげてきそう(前走同様の6番人気、もしくはそれ以下なら嬉しいけど)。
この5頭では、善さん騎乗予定のクラウンアトラスがいい塩梅で人気を下げてきそうではある。

4　関西馬を1頭歓迎せよ。
登録されてる関西馬は8頭。

カラフルブラッサム　鈴木孝厩舎
サウンドアドバイス　松元茂厩舎
サウンドリアーナ　佐藤正厩舎
シゲルイルカザ　五十嵐厩舎
ショウナンアンカー　北出厩舎
タガノラルフ　松田博厩舎
メイショウオオゼキ　池添厩舎
モーニングコール　角田厩舎

うむ。今年もリアリティ満載だ。関西馬は人気がある馬が好走しやすい。

カラフルブラッサム(内田博)
ショウナンアンカー(未定)
タガノラルフ(岩田)
メイショウオオゼキ(木幡)

このあたりが人気になりそうか。
カラフルブラッサムは内田博を確保したノーザンF生産馬。
当日1、2番人気くらいに支持されてくるようだとさらに警戒、いや歓迎すべしか。

※　スポット参戦の名手系がいたら概ね歓迎せよ。
世間的に納得の関西名手といえば騎乗予定の中では岩田騎手。
今開催はスポットというより、けっこうな本格参戦だけど、去年の福永騎手(ジャスタウェイで2着)の例もあるから、スポットでなくても重視すべきか。
騎乗予定馬のタガノラルフは抽選対象。新馬で騎乗して勝利に導いたショウナンアンカーは確実に出走できる。しかし、騎乗予定は抽選のタガノラルフ。もし出走してきたら当然歓迎だろう。

世間はどうか知らないけど個人的に名手だと思っている和田騎手もスポット参戦と言えそう。
サウンドリアーナは前走・国分恭騎手騎乗で1着して、今回は名手・和田に乗り替わり。うむ！歓迎だ！　関屋記念のスピリタス(3着)くらい操ってくれれば大歓迎だ！

以上が、一昨年〜去年にかけて完成した新潟2歳・歓迎の儀。
だけど、今年は1週前倒し。
例年以上に馬場もよさそう。
そんな状況で例年どおりの歓迎をしていいのだろうか？
出遅れ大歓迎！でいいのだろうか？

ペースは水物。たとえ前が止まりにくい馬場だとしても、その意識が集約されて、前掛かりのエネルギーが生まれれば、先週の北九州記念みたいに先行総崩れで差し追い込み大躍進だって十分ある。

去年までの出遅れ馬の活躍とは動機が違っても、結果的には出遅れ馬が活躍する可能性もある。
今年は馬場がいいとはいえ、一概に出遅れを否定もできない。

しかし、今年は馬場がいいだけでなく、1週前にズレてもいる。検討事項として、先行勢を無視するのもどうか？

というわけで、過去を見ながら、先行勢が頑張った年も検討してみた(今さらではあるがしてみた。ここのところ出遅れのドタバタ・コメディに夢中になってて、すっかり忘れてました。うひ)。

歓迎の儀＋1

＋1　マイネル・コスモ、もしくはマイネル・コスモっぽい騎手を歓迎せよ。

10年
1着マイネイサベル　4-8-9　松岡
2着マイネルラクリマ　2-2-2　石橋脩

08年
3着バンガロール　2-3-3　石橋脩

06年
2着マイネルーチェ　5-6-4　大野
3着マイネルレーニア　1-1-1　石橋脩

05年
3着コスモミール　5-3-2　木幡

04年
1着マイネルレコルト　6-6-5　後藤

やっぱりマイネル・コスモ、いわゆる岡田繁幸氏が総大将のチームの馬が馬券になるときはほぼ先行だ。
バンガロールはマイネル・コスモじゃないけど、石橋脩騎手はマイネル・コスモっぽいから取り上げてみた。ちなみに石橋脩騎手は3回馬券になってるけど、ぜんぶ先行だ。

今年のマイネル・コスモ系登録馬は
コスモリープリング　武士沢
マイネオレンジ　柴田大

マイネル・コスモっぽい騎手は
ザラストロ　松岡
モーニングコール　石橋脩
ロードシュプリーム　大野
サウンドリアーナ　和田

コスモリープリングは前2走が石橋脩騎手で、前走ダリア賞8着が負け過ぎに思える。
マイネオレンジはこの10年1頭も来たことのない前走ダートがどうしても気になる。

となると今年は「っぽい」狙いが面白いか。

ザラストロはここ2戦騎乗した善さんが騎乗しないのが気になるけど、この馬は抽選対象馬で、確実に出走できる馬を善さんが優先したと思えば、クリアできる。松岡騎乗でもうちょっと先行してくれば上がりの足も持ってるだけに面白いか。

モーニングコールは前走の新馬も石橋脩騎手で逃げ切っている。新潟2歳は先行馬は残るけど、逃げた馬は残りにくいレース。この10年でも3着以内に残ったのはマイネルレーニアの1頭だけ。でもそのレーニアを残したのが石橋脩騎手だから、先行力のある馬に騎乗する今年も歓迎しないわけにはいかない。

ロードシュプリームも前走・蛯名騎手で逃げ切ったのにその蛯名騎手が騎乗しない。けれどこの馬も抽選対象で、蛯名騎手が確実に騎乗できるノウレッジを選んだとすればクリアできる。ロードも先行力がありそうだから、「っぽい」大野騎手にはうってつけか。

サウンドリアーナは関西名手の項で述べたとおり。関東では和田騎手＝「っぽい」イメージは低いけど、関西圏ではよく見る光景。
今年の2歳でいえば、イギリスダービー登録がニギニギしかったマイネルエテルネルも、話題の新馬トーセンパワフルに迫って2着したマイネヴァイザーも和田騎乗だった。前向きすぎる馬を上手に操縦するのが上手いのが和田騎手。サウンドリアーナも前向きすぎると言われており、まさに「っぽい」和田騎手にピッタリか。

というわけで、今年の新潟2歳は例年どおりの歓迎をしつつも、「っぽい」騎手らも重視してみたい。

新潟2歳S

っぽい系(こっから軸を抽出したい……)
サウンドリアーナ　和田
ザラストロ　松岡
ロードシュプリーム　大野
モーニングコール　石橋脩

歓迎系(ヒモ系……)
1番人気
ケツ人気〜9番人気
関西
名手

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キーンランドカップは2連レベルでは押し出し・引き出しでいいレース。
だいたい1番人気〜4番人気で押し引きすればいい。

netkeiba.comによると、
今のところ人気は、
1番人気　ドリームバレンチノ
2番人気　ダッシャーゴーゴー
3番人気　パドトロワ

今年は1〜3番人気までと、4番人気〜7番人気でオッズの塊ができそう。
ならば、1番人気〜3番人気で押し引きすればいい。
ここから1頭選んで、4番人気〜7番人気くらいまでを視野に入れれば、だいたいか。

1〜3番人気はまだわからないので、4番人気〜7番人気で気になる馬をあげておくと、
シュプリームギフト
ビウイッチアス

ときどきヘンテコな馬も穴をあける。
08年　1着タニノマティーニ　16人気　UHB賞5着
09年　2着ドラゴンウェルズ　13人気　UHB賞5着
11年　3着パドトロワ　　　　　4人気　UHB賞1着(ヘンテコじゃないけど参考までに)

今年のUHB賞組は、
シュプリームギフト　1着
レオンビスティー　　2着
ダイメイザクラ　　　4着
ビスカヤ　　　　　　6着
アポロフェニックス　7着

ヘンテコ具合がちょうどいい感じなのはダイメイザクラか。
古川吉洋騎手だし、少しエコヒイキもしておこう。

キーンランドカップ　注目馬
1番人気〜3番人気の押し出し・引き出ししつつ、
シュプリームギフト
ビウイッチアス
ダイメイザクラ

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