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今年は堅い決着に賭けるべき!?/新潟記念

  • 2012年08月29日(水) 18時00分
■新潟記念(G3・フルゲート18頭/登録20頭)
【コース基本情報】新潟芝2000m・外 Aコース使用
・コース回収率
 [かなり低め] 単勝50%・複勝73% 勝ち馬の9割近くが5番人気以内

・馬連万馬券出現率
 [やや高め] 15.9%(平均値△3.9% 馬連平均配当5,611円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [内中優勢] 内枠12.0%・中枠13.2%・外枠10.1%

・脚質別傾向
 差し>先行>>追込>逃げ 差し優勢も4角10番手以下だと意外にキツい

・推定ラップ&タイム
 [後傾] 36.1-48.3-34.0=1.58.4 中盤〜上がり速く長く脚を使わされる

 全体での単勝回収率が50%しかないように、人気馬の好走率が非常に高いコース。16頭立て以上に限定したデータでも、勝ち馬はすべて8番人気以内。88.0%が5番人気以内。1着に人気薄が来るケースはまれで、基本的には堅くおさまる傾向の強いコースである。

 また、圧倒的に差し優勢であり、逃げ切りが非常に難しいのも大きな特徴。集計期間内に開催された全63レースのうち、逃げ切りでの勝利はわずか4レースで、1000万下〜重賞ではたったの1レースしかない。逃げ馬に馬券絡みが期待できないワケではないのだが、主軸に据えるべきは、やはり差し馬。外枠の信頼度がイマイチなので、内枠〜中枠から馬群をさばいて差せるようなタイプを高く評価したい。

【レース基本情報】新潟記念(G3) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1,171円 馬連6,297円 3連複32,779円

・1番人気馬成績
 [0-2-0-8] 連対率20.0%・複勝率20.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-3-1-21] 連対率26.7%・複勝率30.0%

・10番人気以下馬成績
 [1-2-2-61] 連対率4.5%・複勝率7.6%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 30.0% [差し] 46.7% [追込] 16.7%

・性別成績
 [牡馬・セン馬] 7-9-9-103 [牝馬] 3-1-1-23

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-0-0-3 連対率0% 複勝率0%
 [4歳馬] 4-2-1-16 連対率26.1% 複勝率30.4%
 [5歳馬] 4-6-5-36 連対率19.6% 複勝率29.4%
 [6歳馬] 1-0-4-35 連対率2.5% 複勝率12.5%
 [7歳以上馬] 1-2-0-36 連対率7.7% 複勝率7.7%

・斤量別成績
 [51キロ以下] 1-1-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [52〜53キロ] 2-1-0-32 連対率8.6% 複勝率8.6%
 [54〜55キロ] 2-6-6-38 連対率15.4% 複勝率26.9%
 [56〜57キロ] 4-2-2-27 連対率17.1% 複勝率22.9%
 [57.5キロ以上] 1-0-2-11 連対率7.1% 複勝率21.4%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 4-6-4-70 連対率11.9% 複勝率16.7%
 [栗東] 6-4-6-56 連対率13.9% 複勝率22.2%

・注目出走パターン
 [買い] 七夕賞からのローテ(連対率25.0%)
 [買い] 4歳〜5歳馬(連対率21.6%)
 [不振] 前走マイル以下戦出走組(連対率5.6%)
 [不振] トップハンデ(連対率10.0%)

 1番人気馬が[0-2-0-8]で、トップハンデも[1-0-0-9]と不振をきわめている新潟記念。近年は上位人気が全体的に不振であり、とんでもない高配当が出ても傾向的にはなんら不思議はないレースだといえる。

 ハンデ戦ながら軽量馬の激走は少なく、斤量53キロ以下の牡馬は[0-1-0-34]と大不振。対照的に53キロ以下の牝馬は[3-1-0-16]と悪くない成績を残しているので、軽ハンデを狙うなら牝馬に的を絞るのをオススメしたい。また、前述したようにトップハンデ馬も超低空飛行。昨年こそハンデ57.5キロのナリタクリスタルが制したが、これは鞍上の好判断や少頭数に助けられた部分も大きく、例外扱いしてもいいくらいだ。

 ローテ面では、七夕賞組と小倉記念組が圧倒的。サマー2000シリーズの最終戦でもあるのだから、これは当然といえる結果である。あとは、4歳馬と5歳馬が[8-8-6-52]と好成績なのも、馬券を考える上で重視すべきポイントである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開催最終週でも時計は例年並みで、馬場の内側も意外に伸びる印象。

・天候予測
 降雨はあっても少量で、残暑厳しく路盤も堅め。良馬場前提で。

・勝利数トップ種牡馬
 スペシャルウィーク 勝率11.6% 連対率30.2%

・著者の注目血統
 父ディープインパクト、母父サンデーサイレンス、母父フジキセキ

・瞬発力要求度
 69.0(基準値△19.0)※注

 さすがは新潟の外回りといった瞬発力要求度の高さで、スペシャルウィーク、アグネスタキオンなどサンデー系のキレ型が成績上位にランクイン。当然ながらディープ産駒も絶好調で、出走回数こそ少ないが連対率25.0%、複勝率43.8%と、そのコース適性は抜群に高い。サンデー系以外では、キングカメハメハ産駒の優秀さが目立っている。

 サンデー系の血は母父に入っても絶好調で、母父サンデーや母父フジキセキといった配合馬は高く評価してしかるべき。登録馬では「キンカメ×サンデー」のサトノパンサー、「タニノギムレット×フジキセキ」のセイクリッドバレー、ディープ産駒のトーセンラー、スペシャルウィーク産駒のナリタクリスタルといったところが、血統からの注目馬となる。

★総論×各論
 コースデータ重視だと堅い決着に、レースデータ重視だと波乱に賭けたくなる新潟記念。サマー2000シリーズの最終戦ということも予想ファクターに加味した上で、各論へと入っていきたい。

 登録段階での結論を述べると、今年は新潟記念には珍しく順当決着というのが、筆者の判断。というのも、上位人気が予測されるトーセンラーが、最もデータ的に「買い」という結論となったからである。「前走G3の小倉記念組で斤量57キロの4歳牡馬、血統的にもコース適性は高いはず」というのが、トーセンラーのプロフィルから判断した推奨理由。また、同馬がサマー2000シリーズの覇者になるためには、ここで「1着」を取るしかないという厳しい条件も、プラスに働くと思われる。

 それに続く高評価組は、アスカクリチャンとエクスペディションの2頭。以下は、トウカイパラダイス、ケイアイドウソジン、メイショウカンパクといった評価順となった。人気の一角となるであろうトランスワープは、その下で「押さえ」程度の評価。ディフェンディングチャンピオンのナリタクリスタルは、さらにその下だ。こういった評価順や、これといった穴馬の見あたらなさも、順当決着の可能性をより色濃く感じさせる。

■札幌2歳S(G3・フルゲート14頭/登録20頭)
 来年のクラシック戦線につながる重要なレースと位置付けられている、札幌2歳S。クラシック候補との呼び声が高い素質馬が今年も多数エントリーしており、どういうレースが見られるか今から楽しみである。

 このレースの好走パターンを簡潔にまとめておくと、「前走芝1500m以上(1800mならば◎)」「前走札幌組が圧倒的優勢」「前走上がり3F順位3位以内」「ディープ産駒がアホほど強い」「ベタ良血も強い」といったところ。ここに、かなり前有利であるというコースデータ面の材料も加味して考えるべきだろう。

 となると、ラウンドワールド、コディーノの人気馬2頭は問題ナシ。しかし、前走が阪神芝マイルであるトーセンパワフルには、意外につけいる隙がありそう──と推測される。ロジユニヴァースという前例があるにはあるが、あの馬は阪神芝1800mデビューであり、何から何まで同じというワケではない。エデンロックやグランデアモーレ、マイネルホウオウのほうが、データ的には「買い」といえるのだ。

■小倉2歳S(G3・フルゲート18頭/登録18頭)
 2歳戦とはいえ、ここはガチンコの短距離スピード対決。好走馬の多くに共通するパターンは「前走小倉芝1200m以下で3番人気以内1着。逃げ&先行して上がり3F1位というレース内容」といったものだ。また、牡馬[3-7-4-63]に対して牝馬[7-3-6-53]と牝馬優勢であることも考えると、前走でフェニックス賞を快勝したエーシンセノーテはやはり有力。枠番にもよるが、積極的に買うべき1頭であるのは間違いない。

 それ以外では、ケイアイウィルゴー、マイネヴァイザーの2頭もレースに向くプロフィールの持ち主。逆に、前走が中京のダート戦だったメイショウユウダチや、前走上がり3F順位が4位以下であるメジャーミノル、クラウンレガーロ、トルークマクトは割り引いて考えたほうがよさそうだ。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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