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ジェンティルドンナも三冠牝馬の宿命を背負っているか。

  • 2012年09月13日(木) 12時00分
今一番使いこなしたい競馬用語って、「野芝」と「エクイターフ」ではなかろうか。
どちらも芝に関する言葉だけど、最近、とみに目にする、耳にする。

「今の中山の時計が速いのは野芝だけで馬場が作られてるからかもYO」なんて自分も受け売りじゃなく言ってみたい(競馬の職人9/4付け、他いろんなとこからの受け売り)。

「馬券が当たらない? 野芝だからNE」なんて、どこかのカワイコちゃんに言ってみたい(受け売りの拡大解釈)。

なんだかカッコイイ。モテる気がする。

それはさておき。

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ローズS
阪神1800
コーナー2つの角2競馬
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阪神1800は、京都1800と並んでディープインパクト産がもっとも活き活きする「ディープインパクトコース」だと思っている。

(しか〜し)

おそらくまだ3世代しかデビューしてないから、余計にそう思うのかもしれない。
これから5歳6歳と熟成されると競馬も覚えてきて、印象も変化する可能性もある。だとしても、少なくとも若駒のうちはコーナー(角)2回、しかも1600よりゆったりスタートできる京都・阪神の芝1800をメインディッシュとして、平らげて行くのではないか。

(しか〜し)

だからローズSもディープインパクト産に注目しないわけにはいかない。

(しか〜し)

たしかに去年のローズSでは2人気のディープ産マルセリーナは6着に、5人気のディープ産ドナウブルーは5着に敗れた。
けれど、これは休み明けの調整の失敗だったとも思える。

マルセリーナ・+16キロ
ドナウブルー・+20キロ

そもそも去年はディープ産初年度でどの陣営も手探りの調整だったように思う。
その証拠に去年の春のクラシックは
桜花賞の1勝だけだったのに、今年は桜花賞・オークス・ダービーと3勝もしているだけでなく、中身も濃い。

たとえば去年のダービー。
たしかにそこにはオルフェーヴルがいた。馬場も不良だった。とはいえ、9着(トーセンレーヴ)、11着(トーセンラー)、14着(コティリオン)、競走中止(リベルタス)の成績は相当期待はずれだった。
それに対して、今年のダービーは、1着(ディープブリランテ)、3着(トーセンホマレボシ)、4着(ワールドエース)、8着、9着、14着、18着と7頭出走し、1着3着4着と上位も占めた。

ディープ産調整のノウハウを学んだ結果ではないか? しがらきという新しい武器を手に入れたとはいえ、それも含めてノウハウが活かされてきたのでは? そう思っている。

だから去年のマルセリーナとドナウブルーの敗戦は一旦、忘れていいはず。きっといいはず。実際、今年の2頭(ジェンティルドンナとヴィルシーナ)は去年の2頭より実力も安定感も上に思える。
去年姉のドナウブルーはシンザン記念5着だった。今年妹のジェンティルドンナはシンザン記念を1着した。ドウナウブルーは去年、ローズS5着だった。ならば今年のジェンティルドンナは……1着?……と自然に思い浮かぶ。

そんなA=B、B=C、ゆえにA=Cみたいな言い方をしなくても、ふつうに強いでいい!?

ジェンティルドンナは桜花賞1着、オークス1着
ヴィルシーナは桜花賞2着、オークス2着

うむ! 十分だ!

今回出走する他メンバーと見比べても抜けた実績だ! 図抜け大一番だ!

ジェンティルドンナとヴィルシーナの1点でどんだけつくんだ!!

そういえば先週のエピセアロームとロードカナロアのワイドは的中はした。けれど38%推奨をちょっと悔いてもいる。あ〜なぜ余った2%を其処に乗せられなかったんだ! 1ドル=1%として、2%だと……ふむふむ……1繰り上がって……余り玉はよっちゃんイカに換えて…う〜む……とにかくすごいことになってた気もする!(10000円を100%に置き換えて表現しています。そういう通貨の国だと思ってください) 

よし!今週はジェンティルドンナとヴィルシーナ1点だ!!

しか〜〜〜〜〜し!!!

しかしか〜〜〜〜し!!!

ちょっとだけ気になることがある。

ジェンティルドンナもヴィルシーナも新馬・未勝利以外のレースで、まだ一度も1番人気で勝利したことがない。
そこがとても気になる。

ジェンティルドンナは未勝利を1番人気で勝ったあと、
シンザン記念 2人気 1着
チューリップ賞 2人気 4着
桜花賞 2人気 1着
オークス 3人気 1着

そもそも1番人気に支持されたことがない!

ヴィルシーナは新馬戦を1番人気で勝ったあと、
黄菊賞 1人気 3着
エリカ賞 3人気 1着
クイーンC 2人気 1着
桜花賞 4人気 2着
オークス 2人気 2着

ヴィルシーナも1人気では3着に敗れて、2〜4人気で全連対!

思えば、オークス週に「桜花賞を1着したにも関わらず1人気に支持されないのならば、ジェンティルドンナは買い」と記したけど、実際は3人気にまで落ちていた。そして圧勝。

思えば、桜花賞にもオークスにも1番人気を背負ってくれた馬が存在した。
桜花賞・ジョワドヴィーヴル 6着
オークス・ミッドサマーフェア 13着
しかし今回にはそういう馬は見当たらない。

おそらく、いや間違いなく1番人気ジェンティルドンナ、2番人気ヴィルシーナ。

はたして、ジェンティルは1人気を背負っても桜花賞、オークスの力を発揮できるのだろうか? 

桜花賞1着・オークス1着からローズSに臨んだ馬といえば直近ではアパパネがいる。
そのアパパネは1人気で4着と惨敗した(あえてそう表現)。
アパパネは桜花賞もオークスも1番人気で1着した。そのアパパネでもローズSは4着だった。
1番人気で勝ったわけではないジェンティルドンナを鉄板だと言い切れるのだろうか?
そういえば、アパパネは休み明けのチューリップ賞も4着と負けていた。
ジェンティルドンナも「発熱」という理由はあったけどチューリップ賞は4着だった。

アパパネ1頭の例では弱い?
ごもっともです。

ではアパパネ同様3冠牝馬に輝いたスティルインラブはどうだろう。
なぜならスティルインラブも休み明けのローズSで1人気で5着に惨敗したからだ(当時のローズSは2000Mの角4競馬だった。けれど人気の視点で見るなら関係なしと判断)。

っていうかジェンティルドンナはスティルインラブにより近い存在にも思える。スティルインラブもまた新馬を1番人気で勝った以後、1番人気では勝ててなかったからだ。

紅梅S 2人気 1着
チューリップ賞 1人気 2着
桜花賞 2人気 1着
オークス 2人気 1着
ローズS 1人気 5着
秋華賞 2人気 1着
エリザベス 1人気 2着
(ちなみに1番人気で1着したの生涯、新馬の一度きり)

だからこんな逆説もできる。

「もしジェンティルドンナが秋華賞を勝ち、三冠牝馬になる宿命を背負っているのならば、
休み明けに不可解な敗戦に出くわす……」

アパパネしかり、スティルインラブしかり。
そういえば牡馬だけどナリタブライアンも三冠前の秋初戦(京都新聞杯)は1番人気で2着に敗れた。

秋初戦は落とす。落としてこそ三冠の道は開ける?

今回の出走頭数は水曜日の情報だと12頭立て(アナスタシアブルー・ノーザンF、イチオクノホシ・社台Fは回避らしい)。
手頃ではある。
ノーザンFの馬もジェンティルドンナ、ヴィルシーナ以外ではハワイアンウインド1頭しか登録していない(他に社台系では社台Fのラスヴェンチュラスが出走しそう)。
3着までに入れば優先出走権がえられることを考えれば、もうちょっと出走してきてもおかしくはない。
(先週の紫苑Sは2着までの出走権利だけど、社台勢は12頭も出走し、ノーザンF系も4頭出走していた)

どう見ても、ジェンティルドンナ、ヴィルシーナには太刀打ちできないゆえの振り分けにも思える。

しかし、スティルインラブ、アパパネのときも12頭立てだった。
この10年で12頭立ては3回あって(それ以下はない)、すべて1番人気は圏外に敗れている。
1番人気は4勝してるけど、すべて14頭立て以上。
勝ち馬の位置は4角5番手以内(1800でも2000でもいっしょ)。

とはいえ、12頭立て以下で負けた1番人気の位置もすべて4角4番手以内。
スティルインラブは4角3番手、アパパネは4角4番手。

同じような位置にいても、14頭立て以上だと勝ちにつながり、12頭以下だと圏外に消える?

少頭数で1番人気が差し馬だとけっこうゆらぐこと多し。
これが持論(デムーロ・アプローチ)。
でもローズSは12頭立て以下だと1番人気が先行してもゆらいでいる。ムムム…。

まして、ジェンティルドンナは強烈な差しが武器の馬でもある。
さあどうなんだ?

開幕2週目で差し馬が取りこぼす余地も十分ある。
取りこぼさないために先行させるか? 次の秋華賞も内回り2000。先行練習は次に生きる?
でもそれで味の出る馬なのか?

ということで、結論。

ジェンティルドンナが本当に強い馬で、三冠牝馬を狙える手応えを陣営が掴めば掴むほど、取りこぼしの可能性は上がる! かも! しれない!

それが三冠牝馬の宿命だから! かも! よ!

あ〜〜心配材料は端折って、負ける可能性を宿命だけで片付けたい!

けれど、一応、念のため、雰囲気だけさらっておくと、

初の1番人気は不安だ!
→スティルインラブの例もあるから不安だ。

めちゃくちゃ肥えて出て来たら不安だ!
→先週1番人気で4着に敗れたカレンチャンも週中はド迫力調教!と言われていた。でも当日は+22キロ。もしかしたら肥えたド迫力だったかもしれない。
→スティルインラブは+22キロで5着だった。
→アパパネは+24キロで4着だった。
→去年負けたディープ産2頭も前記したとおり+16でマルセリーナは6着、+20でドナウブルーは5着だった。

ディープ産好走のノウハウを去年で学んだのではないか? そう最初に書いた。けれど、三冠牝馬誕生のノウハウも一昨年のアパパネでノーザンFは学んだとも言える。
あえて作る「ゆるさ」、一戦してちょうどよくなる「ゆるさ」を施す可能性もある。

三冠への思いが次に生きる馬体や、次に生きる競馬をより強く意識させ、それが取りこぼしにつながるかも! しれない! よ!

ふつうに考えたら、先行できるヴィルシーナは秋華賞向きで、角2で思いっきり差せるジェンティルドンナはローズS向きかもしれないけど、二冠の時点でジェンティルはもはやふつうの存在ではない。馬場だって、今週も高速の可能性大。ヴィルシーナを捕まえきれない可能性もいっぱいある。

今週も予報どおりだと雨はギリで降らない。
夏の小倉でやって、騎手から批判が出たような内だけ水を撒くようなことをしなければ(緑の水と命名してみてはどうでしょう? 緑じゃないけど)、今週も速い可能性あり。

仮に芝の成長その他で、先週より時計がかかったとしても、馬場が良いことに変わりない。基本的には先行馬に有利なはず。
ちなみにセントウルSの時計1.07.3は、レコードではないけどふつうに速い。
7秒台で決着した翌週のローズSで、そのまま良馬場だったのは3年前。そのときはブロードストリートが1.44.7のレコードで勝った。

ゆえにふつうに考えて、今回は先行しそうな2番人気のヴィルシーナに分があるのではないか。

と、思いつつ、ヴィルシーナにも秋華賞だけは絶対取ると燃えていただき、これまたゆるく出てきてもらって、別の馬の単! もあり! ならいいな!

週の真ん中水曜日〜木曜日。
今はジェンティルドンナ、ヴィルシーナの調教にド迫力の文字が踊ることを期待しておこう。
そして、レース当日の馬体重が+20になることを待ち構えていよう。いや去年のディープ産のこともあるから、+16キロ以上でもいっかな。

そして、+10キロ以内だったらあきらめよう。+12〜14キロはグレーゾーンにしておこう。そこに入ったら、オッズやその他の雰囲気で決めつけよう。

とはいえ、今年は相手も今ひとつぱっとしない。伏兵感に乏しい。
だから+20以上でも、相手が弱くて足りる可能性もある。

そういうことも見越してしまうと、ふつうに単候補は、ハナズゴールか。

ハナズゴールはわかりやすい。

G3 チューリップ賞1着
G1 桜花賞7着
G1 オークス7着
G2 札幌記念 4着

同世代牝馬戦のG3で1着、G1で7着、古馬牡牝混合のG2で4着。
これならふつうに同世代牝馬のG2なら太刀打ちできそう。

実際、チューリップ賞ではジェンティルに勝っている。
ジェンティルが熱発明けだったという情状酌量の余地があっても、
あのときは外伸び馬場でハナズゴールは外から伸びたとしても、
エピセアローム(外)にもジョワドヴィーヴル(内)にも勝っているわけで
その事実が曇るものではない。

隊列が「前方・ヴィルシーナ 中団より前・ジェンティルドンナ 中団・ハナズゴール」

こんな感じになったらチャンスではないか?
岩田騎手がシンザン記念のような競馬(ルメール騎乗・先行策)をトライしてきたら、ハナズゴールにとっては競馬がしやすくなるのではないか? ハナズゴールは追い込みっぽいけど、気性の問題で後方にいるだけで、少頭数ならいつもより前に行けるようにも思える。

ん〜なんだかわかりやすいなぁ〜(あくまで自分にとって)。
カンタンなのとワカリヤスイは違う気もする(あくまでも自分の指針)。
今回はワカリヤスイ。そこがなんか不安(単なる強迫観念)。

もうちょっと踏み込んで探索しても、逃げ先行でキャトルフィーユ、差しならラスヴェンチュラス、どちらもディープ産。やっぱりワカリヤスイなぁ〜。

こういう場合はワカリニクイものをまぶして、心のバランスを保つにかぎる。
武幸騎手騎乗予定のスピークソフトリーとピンナ騎乗のサトノジョリー。

スピークソフトリー……時計が速いレースはキングマンボ系を買いたくなる性分だし、ダーレーの馬だし、武幸騎手だし、チューリップ賞で狙って大ヤケドしたし…でも一応、チューリップ賞は内回った組だし……うん、ワカリニクイ(自分でもよくワカンナイ)。

サトノジョリー……新馬5着→5着→5着→1着→1着→5着→5着→5着→2着。岩田で5着→内田博5着→四位5着→ウィリアムズ2着。ではピンナ騎手ならどうなんだ? 岩田騎手以上に評価されてるとも思えないけど、外国人特有の先行抜け出しが合う気もするし…、芝でそこそこ頑張れるけど、やっぱりダート馬の気もするし…、前走・関東オークスって、ローズSが2000Mだった頃に2着、3着した少しスパイシーなローテだし…結局5着の気がするし……うん、ワカリニクイ。

というわけで、先週上手く行ったので今週も調子に乗ってみる。
ヴィルシーナ→ジェンティルドンナ 馬単42%
ハナズゴール→ヴィルシーナ 馬単42%
スピークソフトリー 複勝14%
これで98% 今週も2%余らしておこう。

ローズS馬体重注目馬
ジェンティルドンナ・ヴィルシーナ
+16キロ以上で頭消し
+12〜14キロでグレーゾーン
+10キロ以下で降参(人気でも致し方なし)

どちらも10キロ以下だったら、ヴィルシーナを軸に。

ローズSふつうに注目馬。
ワカリヤスク…ハナズゴール・ラスヴェンチュラス
ワカリニクク…スピークスフトリー・サトノジョリー

そういえば先週発売された京大式馬券術の第一人者・棟広良隆さんの「収支を劇的に上げる京大式馬券格言」に「ラッキーパンチでの的中も会心の的中も同じように重要だ」とあった。
そうだ! ジェンティルドンナ、ヴィルシーナという鉄板そうな馬がいるときこそ、ラッキーパンチではなかろうか? この2頭が鉄板だとしても馬券圏内にはもう一つ席はある。そこだ! ラッキーパンチはきっとそこだ!やったー!
ただその本には「競馬は麻雀と同じ。自分の手に酔うことなかれ」とも書いてあった。イタタタ……。思えばしょっちゅうドランクしてい…イタタタ。
本書には今、一番使いこなしたい競馬用語「野芝」「エクイターフ」に関する話なんかも掲載されてて、とても勉強になります。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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