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今年も穴党泣かせのレース/神戸新聞杯

  • 2012年09月19日(水) 18時00分
■神戸新聞杯(G2・フルゲート18頭/登録17頭)
【コース基本情報】阪神芝2400m Bコース使用
・コース回収率
 [高め] 単勝86%・複勝94% 単複共に回収率高く波乱傾向アリ

・馬連万馬券出現率
 [標準] 13.7%(平均値△1.7% 馬連平均配当6834円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [外枠劣勢] 内枠14.6%・中枠14.7%・外枠4.5%

・脚質別傾向
 差し>先行>>逃げ≧追込 最速上がり馬の1着率高く瞬発力が要求される

・推定ラップ&タイム
 [超後傾] 36.8-75.6-33.8=2.26.2 完全な後傾ラップで上がり勝負濃厚

 推定ラップを見てもらえばわかるように、序盤〜中盤が「ド」の付くスローペースで流れて、直線で熾烈な上がり勝負となるコース。実質4ハロン戦といった展開になることも少なくない、いわば「徹底瞬発力勝負仕様」なのである。

 これが非常によくわかるのが、当コースでの上がり3ハロン順位別成績。最速上がりを記録した馬は、トータル[25-16-7-16]で勝率39.1%、連対率64.1%、単勝回収率541%、複勝回収率336%という、とんでもない結果を残している。机上の空論ではあるが、最も速い上がりを使える馬が事前に読めれば、それだけで大儲けできてしまうことになる。

 そういった性格のコースであるため、逃げ切るのはかなり難しく、脚質的には間違いなく差し優勢。とはいえ、もともと決め脚のある馬が楽に前々で脚をタメて楽勝──といった展開もそれなりに見られるので、好位勢に対する警戒は怠れない。あとは、多頭数の場合に外枠の信頼度が一気に下がるのも、押さえておくべきポイントだろう。

【レース基本情報】神戸新聞杯(G2) 阪神過去5回
・レース平均配当
 単勝698円 馬連1510円 3連複4256円

・1番人気馬成績
 [2-1-0-2] 連対率60.0%・複勝率60.0%

・3番人気以内馬成績
 [4-4-3-4] 連対率53.3%・複勝率73.3%

・10番人気以下馬成績
 [0-0-0-25] 連対率0%・複勝率0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 13.3% [先行] 13.3% [差し] 60.0% [追込] 13.3%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-0-0-2 連対率0% 複勝率0%
 [栗東] 5-5-5-53 連対率14.7% 複勝率22.1%

・注目出走パターン
 [特注] 前走ダービー5着以内馬(連対率72.7%)
 [買い] 前走G1出走馬(連対率32.1%)
 [買い] 前走ラジオNIKKEI賞5着以内馬(連対率33.3%)
 [不振] 前走で重賞以外に出走(連対率0%、複勝率6.7%)

 コースが外回りの2400mに変更されて以降の神戸新聞杯は「穴党が泣いて逃げ出す」ほどの堅さ。09年のように荒れた年がないワケではないのだが、過去5年で3連複3ケタ配当での決着が3回もあるという、超・順当傾向のレースである。

 穴が買いたくて仕方がない人も、過去5年における「6番人気以下馬」の成績を見て、潔く諦めていただきたい。のべ45頭も出走しておきながら、その成績は[1-0-0-44]で連対率わずか2.2%。イコピコが1着に来た以外は全滅で、馬券に絡んでいるのは徹底的に5番人気以内馬なのだ。また、前走G1組の信頼度が圧倒的に高く、前走ダービー5着以内馬は連対率なんと72.7%! しかも「夏の上がり馬」の成績までイマイチとなると、素直に春勢力の上位馬を買うのが最善手としか思えない。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 内がいいので、あまり外を通らされると距離ロス大きく挽回不能の可能性も

・天候予測
 火曜日にかなりの降雨あるも水曜日〜週末は好天。パンパンの良馬場前提で

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率20.6% 連対率20.6%

・著者の注目血統
 ダイワメジャー産駒、ハーツクライ産駒

・瞬発力要求度
 51.5(基準値△1.5)※注

 このところ目を見はるほどの強さを見せているディープインパクト産駒だが、当コースでの成績は勝率11.1%、連対率22.2%と「フツーに良い」程度。ただ、人気に推されてコケるケースが目立っているため、それほどコース適性が高いとは感じられない。ここなら、人気のディープ産駒にケンカを売れそうだ。またステイゴールド産駒も、勝率6.3%、連対率12.5%と成績はかんばしくない。

 ならば、出走数こそ少ないが成績は申し分ナシのダイワメジャー産駒、ハーツクライ産駒に賭ける手もありそう。全体的に「少し重め」の血統構成のほうが向くコースという印象なので、ダイワメジャー×Sadler's Wellsのヤマニンファラオあたりは、意外にやれておかしくないはずだ。

★総論×各論
 以上、堅い堅いと小姑のように繰り返す「総論」をお送りしてきたが、それを踏まえた上で「各論」へと入っていこう。まずはゴールドシップの扱いだが、皐月賞馬であり、さらにダービー5着以内馬でもある以上、ここでの連対率は7割以上あると見積もっていい(データ的にはね)。さすがにデキに関しては何とも言えないが、よほどのことがないかぎりは、素直に中心視すべき存在だ。

 となると、買いづらくなるのがマウントシャスタ。宝塚記念5着の実績は当然ながら高く評価すべきで、決め脚の鋭さも文句なし。つまり、割り引く材料はとくに見当たらないのだが、ゴールドシップと同馬の両方を買うとなると、買い目が非常に難しくなる。このあたりは、オッズが出てからの宿題としておこう。

 3番手評価はヤマニンファラオで、以下ベールドインパクト、カポーティスター、ミルドリームまでが「買い」と評価した馬。メイショウカドマツについては、脚質とコース適性の面から厳しいと判断している。人気の一角となる可能性もあるヒストリカルは、ダービーでの18着という着順が気になる。過去にこれほどの大敗から一気に巻き返したケースはなく、2400mという距離についても疑問が残る。少しでも期待値を上げようとするなら、ここを「消し」で臨むべきというのが、現段階での筆者の判断である。

■オールカマー(G2・フルゲート17頭/登録16頭)
 今年もある意味、じつに「らしい」登録メンバー。宝塚記念以来となるナカヤマナイト、北海道シリーズで結果を残してきたルルーシュ、ようやく準オープンを脱出したダコールなど大混戦であり、レースのたびに着順が大きく入れ替わりそうだ。

 ……などと泣き言をいっても仕方がないので、まずはローテ面から分析開始。抜きんでて好成績なのが[5-1-2-5]の前走札幌記念組で、次いで[2-3-0-3]の前走宝塚記念組。前走新潟記念組からも5頭が馬券に絡んでいるが、こちらは連対率14.3%、複勝率23.8%程度であり、そう高く評価できるものではない。また、連闘〜中3週が[2-5-3-36]であるのに対して、中4週以上での出走は[7-4-6-45]と高信頼度。ここ3年の連対馬はすべて、中3週よりも長い間隔での出走だった。

 また、1番人気馬が[4-2-0-3]と意外にアテになり、10番人気以内馬が[0-0-0-27]と全滅しているのも、オールカマーの大きな特徴。しかも、少頭数のときよりも多頭数のときのほうが堅く決着する傾向にあり、14頭立て以上のケースでは連対馬はすべて6番人気以内。3着以内馬もすべて8番人気以内と、意外なほど荒れないのである。そして今年は、おそらく14頭立て以上。傾向どおりであれば「あって小波乱まで」ということになる。

 あとは、前走10着以下馬が[0-1-0-24]とほとんど巻き返せておらず、前走で重賞以外に出走していた馬も[0-1-2-23]と期待薄。となると、マイナス材料がない馬はコスモファントム、ダイワファルコン、ナカヤマナイト、マイネルキッツ、マイネルスターリー、ユニバーサルバンクの6頭となる。そのなかで最もプラス材料が多いのは、ナカヤマナイト。あとはオッズ次第だが、ヒモまで順当に決まるとはとても思えないので、ナカヤマナイトから前述の5頭のうち「4番人気〜7番人気」に該当した馬へと流す馬券を、現段階では推奨しておきたい。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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