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(菊花賞の天命と)角居厩舎のナックルボール

  • 2012年09月20日(木) 12時00分
先週はローズSもセントライト記念も1番人気馬が圧勝した。

自分は先週のコラムで、ジェンティルドンナは、
「三冠牝馬の宿命を背負っているなら、ここでは負ける」と書いた。

(……………………。)

それはつまり、裏返すならば、
「ここを勝ったら、三冠牝馬にはならない宿命」ということでもある。

(……………………。)

レースは、ジェンティルドンナ2番手、ヴィルシーナ5番手という春とは違った隊列で進み、ジェンティルドンナがなんなく抜け出した(ように見えた)。
しかも1番人気で!

(……………………。)

番手抜け出しの戦法は、まるで去年、秋華賞を勝ったアヴェンチュラのようでもあった。
岩田騎手が「それを見据えたレース」とレース後コメントで語っていたけど、岩田騎手の想定には去年自身が1着に導いたアヴェンチュラがイマジネーションされていたのではないか?

あの走り、操縦を見るとジェンティルドンナはこのまま快進撃をつづけそうな勢いだ!

(……………………。早まったか!?)

せめて「宿命」とか大仰な言い回しは外しておいたほうがよかったか?
なんだかハヂカチーぞー!

ただヴィルシーナとの比較をするならば、まだ決着はついてないようにも思える。

ジェンティルドンナ +12キロ(グレーゾーン)
ヴィルシーナ +18キロ(ヤバイゾーン)

成長分を見越しても、若干、身体に余裕があったのはヴィルシーナに思えた。馬体重についても先週書いた。それに従えば、ヴィルシーナはよく2着したなとも思える。

上がりはどちらも33.2秒。実はいっしょ。
2番手、5番手の位置取り(単純に前にいる方が上がりはかかる。つまりジェンティルの方がしんどい)と体重増(ヴィルシーナの方がしんどい?)を考慮すると、
互角にも思える。

秋華賞を考慮して、前につけたジェンティルドンナ、秋華賞を意識して、予想より後ろにつけたヴィルシーナ。見方によっては、ヴィルシーナはまだ宝刀を抜いてないようにも思える。平坦京都の内回りで、ジェンティルより前に付けて、同じ上がりを繰り出せば……まだわからない。

というわけで、性懲りもなく、まだ言い続けます。

「ジェンティルドンナは、ローズSを勝ってしまったので、三冠牝馬にはならない」

一応、宿命は取ってみました。

フェノーメノについても宿命っぽいことを鴨川と神田川の寄合所で宣ってしまったけど、そのことについてはいずれまた。どこかで。

では神戸新聞杯はどうなんだろう?

先週同様に1番人気が貫禄を見せるのか?

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春の実績馬は1着か2着で、夏の上がり馬は3着で、菊花賞1着の天命を待てる
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宿命をやめて、天命にしてみた。
断定的物言いをやめて、得意のだいたい的物言い(→待てる)にしてみた。

でも実際、だいたいだからこれでいい。
以下は、過去7年の神戸新聞杯の1着〜3着馬と菊花賞着順だ。
本当は、神戸新聞杯が阪神2400になってからの5年だけでいいんだけど、
おまけで7年までにしてみた。

馬名の右の「ダ」はダービー実績馬(3着以内が基本。皐月賞惨敗馬は除く)を、「夏」は夏の上がり馬を表している。上がり馬の前提は「ラジオNIKKEI連対か、夏に1000万含めた連勝馬」としてみた。
春からの参戦でも春に実績のなかった馬には何も書いてない。

05年(阪神2000)
1着 ディープインパクト ダ 菊花賞1着
2着 シックスセンス   春 (菊花賞4着)
3着 ローゼンクロイツ    (菊花賞3着)

06年(中京2000)
1着 ドリームパスポート ダ 菊花賞2着
2着 メイショウサムソン ダ (菊花賞4着)
3着 ソングオブウインド 夏 菊花賞1着

07年(阪神2400・以下同じ)
1着 ドリームジャーニー   (菊花賞5着)
2着 アサクサキングス  ダ 菊花賞1着
3着 ヴィクトリー      (菊花賞16着)

08年
1着 ディープスカイ   ダ (天皇賞秋3着)
2着 ブラックシェル   ダ (引退)
3着 オウケンブルースリ 夏 菊花賞1着

09年
1着 イコピコ        (菊花賞4着)
2着 リーチザクラウン    (菊花賞5着)
3着 セイウンワンダー    (菊花賞3着)

10年
1着 ローズキングダム  ダ 菊花賞2着
2着 エイシンフラッシュ ダ (JC8着)
3着 ビッグウィーク   夏 菊花賞1着

11年
1着 オルフェーヴル   ダ 菊花賞1着
2着 ウインバリアシオン ダ (菊花賞2着)
3着 フレールジャック  夏 (菊花賞10着)

うむ、ダービー実績馬が神戸新聞杯で1着すると、菊花賞でも1着か2着してる。だいたい頼もしい。

と同時に夏の上がり馬は3着で視界が開けている。
視界が開けたところで、神戸新聞杯1着馬と菊花賞で勝ち負けのやりとりをして、ソングオブウインド・オウケンブルースリ・ビッグウィークは勝って、フレールジャックは負けた。フレールジャックの対オルフェーヴルは荷が重かったか。

考え方としては、夏の上がり馬はここで、3着して、天命を待つ。そのくらいでちょうどいい。

頼もしくないのは3着以内馬を1頭も菊花賞馬に送り出せなかった09年のみ。
この年は皐月賞馬だけど、ダービーを惨敗(12着)した1人気アンライバルドが4着に負けた年だった。ちなみにアンライバルドは菊花賞でも15着と大敗した。

つまり、今年の神戸新聞杯もここ7年の流れに添ってアプローチすればだいたい当たるはず。

09年 アンライバルドが負けたパターンのドボンと、
07年 2着アサクサキングスが菊花賞を勝ったパターンのコボンに注意さえすれば、
神戸のみならず、菊までひとっ飛び! 一粒で3000Mだ!
(ちなみにアサクサキングスは皐月賞7着で、ダービー2着条件は満たしている)

1.春の実績馬(ダービー3着以内、皐月賞惨敗なし)はいるか?
2.夏の上がり馬はいるか?

1.いない。
次点→最先着馬はダービー5着・皐月賞馬のゴールドシップ。

2.いる。
ヤマニンファラオ(ラジオNIKKEI・2着→例ソングオブウインド)
次点→ユウキソルジャー&ミルドリーム(前走1000万1着)

該当馬はヤマニンファラオ1頭のみ!
今年の神戸新聞杯はヤマニンファラオの3着を狙い、もし本当に3着したら、
菊花賞1着の天命を待とう。うん、カンタンだ!

とはいえ、次点ホースたちも一応検討しておかないと。カンタンなときほど見直しだ…。
うおっと!今日はいつになくマットウだ。入り口は変態、出口はまっとうをモットーにしてきたけど、卒業だ! ヤッター!

次点のゴールドシップはダービー5着でほんのちょっと条件に足りない。けれど皐月賞馬ではある。ここは過去になかった点だ。
5着に敗れたダービーも上がりは1位。4着の1番人気馬ワールドエースをマークしすぎての5着とも取れる。
皐月賞1着でダービー12着で神戸新聞杯4着したアンライバルドより遥かに頼もしく思えるし、皐月賞1着、ダービー9着で神戸新聞杯3着したヴィクトリーよりもずっと頼もしく思える。

過去3着に入った上がり馬は条件戦を連勝して、ここに臨んできた馬たちだった。ユウキソルジャーもミルドリームも連勝じゃない。そこが少し弱く思える。
ただし、今年はダービー実績馬の登録が少ない。

ダービー5着 ゴールドシップ
ダービー9着 ベールドインパクト
ダービー18着 ヒストリカル

わずか3頭!

う〜〜〜む…夏の上がり馬はヤマニンファラオだけじゃなく、ユウキソルジャーもミルドリームもアリな気がして来た。

う〜〜〜む…春の実績馬もゴールドシップで十分な気がしてきた! 場合によってはベールドインパクトでも足りしてしまうような気もしてきた。

ダービー5着からの1着といえばドーリームジャーニーだ。ゴールドシップと同じステイゴールド産だ。
皐月賞1着といえばオルフェーヴルだ。これまたステイゴールドだ。

ドリームジャーニー 皐月賞8着 ダービー5着 神戸1着 菊花賞5着
オルフェーヴル   皐月賞1着 ダービー1着 神戸1着 菊花賞1着
ゴールドシップ   皐月賞1着 ダービー5着

少なくとも神戸新聞杯1着は十分狙えそう…。1粒で3000Mさせようとするから混乱するだけで、ドリジャニより強いステイゴールド産とだけ考えればムツカシクない。

ユウキソルジャーは父トーセンダンス。ダンスインザダークの全弟。ダンスインザダーク産といえば、秋の京都で活躍するのが一般的解釈。
ユウキソルジャーも阪神(0−0−1−3)に対して、京都(2−0−0−0)と京都の方が得意。
だからこそ、この神戸新聞で3着することには意義がある。苦手なはずな阪神で3着するからこそ、視界は開ける。一夏越えて,その点が解消されていれば……。函館での勝利が成長の証ならば……!!

問題はミルドリームだ。
ミルドリームは角居厩舎の馬。春はルメール・Cデムーロ・Mデムーロでクラシックの権利取りを狙って、ギリで上手く行かず、最後は後藤騎手で青葉賞に参戦し、12着した馬。
しかし、この夏からは鞍上・江田照で再スタートした。

なんだこの落差は? 角居=江田照!! なんだこのホワ〜イ感は!?

角居厩舎にも、江田照騎手にも悪気はありません。むしろ自分は、江田照騎手を江ダ照と称して、中山リスペしてるくらいですから。

ただ角居厩舎と言えば、岩田、福永で速球勝負、ときどき外国人で剛速球! ローカルは中舘、通常で池添、鮫島、関東で内田博、後藤といった配球イメージでもある。

前走は後藤騎手が負傷したための江田照スイッチだったのかもしれないけど、まさか神戸新聞杯でも江田照騎手を呼び寄せるとは、正直思わなかった。

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っていうか、「角居=江田照」は今までで2回しかない! 
1回はミルドリームの前走・弥彦特別で、もう1回は2002年3月10日のクリスタルCで14着したエンドレスデザート!! 
つまり、弥彦特別での共演は約10年と6ヶ月ぶり!
高倉健さんが6年ぶりの映画出演で話題だけど、「ぶり」だけなら健さん以上ってわけだ!
しかも同じ馬に連続騎乗は初! うひょー!
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でも、ときどき投げるからね。

角居厩舎は。

カーブ……いやナックルを。

皐月賞を8人気で2着したトライアンフマーチの鞍上は武幸騎手だったけど、あのときもいいボール投げてるなぁ〜と思ったしね。

自分、角居厩舎の剛速球をまっとうに打ち返そうとは思わないけど(相手筆頭にはする)、ナックルだと無性に打ち返したくなる!

春はデムーロ、秋は江田照……あ〜〜〜打ち返してみたい!

やばい…整理整頓するはずが、むしろ散らかっちゃった!

マウントシャスタは白百合S1着→宝塚記念5着からの参戦。
09年のイコピコの白百合S1着→ラジオNIKKEI4着→神戸新聞杯1着のサンプリングで十分怖いことがわかる。菊花賞まで飛ばなければ十分買える!

よし!まっとうな感じに戻った!(気がする)

では今度こそ整理します。

神戸新聞杯
3着で天命を待て! ヤマニンファラオ

今年は例年よりダービー実績馬がいない。
だから、
来るなら1着! ゴールドシップ

社台系なら、
1着でどうだ! マウントシャスタ(ノーザンF)
2着でどうだ! ベールドインパクト(社台F)

もし3着したら、菊への妄察が肥大しそう!
ユウキソルジャー

角居厩舎のナックルボール!
ミルドリーム
(結局、馬のことには触れずじまい。この馬は外から伸びる系だけど、江田照騎手は重賞では内伸び系ジョッキー。馬は外、騎手は内。けんかよつ!ウハ!これぞナックル! 自分は内枠で期待!)

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オールカマー 
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オールカマーは内枠のヒットザターゲットにエールを送り、
横山典のルルーシュに注目。

ここは横山典騎手が自在にペースを操れそう。それが怖い。
逃げてもいいし、番手でもいい。
コスモラピュタが行けば、番手ピタリ。
ラッキーバニラが行けば、番手ピタリ。
コスモラピュタ、ラッキーバニラ、両方行ったら、3番手ピタリ。
何が行こうが、何頭か行こうが、番手、3番手にピタリしそう。

横山典がピタリしたら、ペースは落ち着くし、ピタリが成功したら、レースが動くのも横山典のさじ加減となる。
今回はそういうピタリができそうなメンバー構成(騎手含めて)でもあり、
ピタリができそうな馬(ルルーシュ)に横山典が騎乗している。

だからたとえ人気でも注目してみたい。
ヒットザターゲットは内枠に入ったら、単複!

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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