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日本最強馬が混戦を断つ!/スプリンターズS

  • 2012年09月26日(水) 18時00分
■スプリンターズS(G1・フルゲート16頭/登録23頭)
【特注必見データ!】 〜コースデータから〜
・中山芝1200m 枠番別成績(16頭立て)
 [1枠〜2枠] 勝率8.0% 連対率16.0% 複勝率24.4%
 [3枠〜4枠] 勝率7.0% 連対率13.3% 複勝率16.8%
 [5枠〜6枠] 勝率4.2% 連対率10.1% 複勝率18.1%
 [7枠〜8枠] 勝率5.9% 連対率10.8% 複勝率16.0%
 [1枠〜4枠] 勝率7.5% 連対率14.7% 複勝率20.6%
 [5枠〜8枠] 勝率5.0% 連対率10.4% 複勝率17.0%

・中山芝1200mの1枠〜2枠 4角通過順位別成績(16頭立て)
 [1〜3番手] 連対率27.5% 複勝率36.2% 複勝回収率194%
 [4〜7番手] 連対率17.4% 複勝率26.7% 複勝回収率84%
 [8番手〜] 連対率9.1% 複勝率16.7% 複勝回収率68%

 中央競馬全コースの中でも有数の「内枠有利&先行有利コース」である、中山芝1200m。スタート地点から下り坂でテンの行き脚がつきやすく、ハイペースでもその勢いを持続して踏ん張れる。しかも、道中のペースが速い上にコーナーが小回りなので、マクリが至難の技。勝負所で外へと振られる可能性も高く、余計に内枠が有利となる。

 直線に急坂があるので差しも決まることは決まるが、それを前提に予想するのは間違い。「徹底的に前有利、内枠有利」というのを前提に予想を組み立てるべきコースなのである。それを証明するのが上記のデータで、単純に1枠〜4枠と5枠〜8枠を比較するだけでも、連対率には4%以上もの大差が出ている。また、1枠〜2枠に入った馬が先行した場合の期待値がいかに高いかは、ご覧のとおり。徹頭徹尾「前!」「内!」にこだわって予想すべきコースなのである。

【コース基本情報】中山芝1200m Cコース使用
・コース回収率
 [やや高め] 単勝82%・複勝78% 中穴狙いに妙味アリ

・馬連万馬券出現率
 [標準] 9.1%(平均値▼2.9% 馬連平均配当7832円)

・枠番別連対率(16頭立て)
 [内枠有利] 内枠16.0%・中枠11.7%・外枠10.8%

・脚質別傾向
 先行>>逃げ≧差し>>追込 好位追走組が最も信頼度高くオススメ

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 33.0-33.8=1.06.8 現在の馬場を考えると超高速決着濃厚

 コースのクセが強く波乱決着が続出でもおかしくない印象なのだが、じつは10番人気以下の超人気薄は大苦戦。16頭立てのケースだと、10番人気以下馬は[1-2-8-224]で勝率0.4%、連対率1.3%という、とても手が出せないような成績となっている。しかし、人気サイドの信頼度もそれほど高くはなく、最も期待値が高いのは4番人気〜9番人気といった「中穴ゾーン」の馬。ここからいかに高精度で走る馬を抽出できるかが、勝負の分かれ目といえそうだ。

 下級戦では逃げ切りが当たり前のように決まるが、道中のペースが速くなる上級条件では、そう簡単にはいかない。最も信頼できるのは好位勢であり、軸馬は迷わずココから選ぶべきである。差しもソコソコ決まるが、前&内有利のコース形態を考えると、アタマまで突き抜けるパターンは期待薄。「先行→差し」や「先行→先行」といった決着が、最も想定しやすい。

【レース基本情報】スプリンターズS(G1) 中山過去9回
・レース平均配当
 単勝946円 馬連4081円 3連複76476円

・1番人気馬成績
 [3-2-0-4] 連対率55.6%・複勝率55.6%

・3番人気以内馬成績
 [5-7-2-13] 連対率44.4%・複勝率51.9%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-1-58] 連対率3.3%・複勝率4.9%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 14.8% [先行] 40.7% [差し] 18.5% [追込] 25.9%

・性別成績
 [牡馬・セン馬] 6-7-7-86 [牝馬] 3-2-2-29

・年齢別成績
 [3歳馬] 1-0-1-9 連対率9.1% 複勝率18.2%
 [4歳馬] 3-1-4-15 連対率17.4% 複勝率34.8%
 [5歳馬] 1-6-2-32 連対率17.1% 複勝率22.0%
 [6歳馬] 2-1-2-30 連対率8.6% 複勝率14.3%
 [7歳以上馬] 2-1-0-29 連対率9.4% 複勝率9.4%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-2-2-41 連対率4.4% 複勝率8.9%
 [栗東] 6-7-6-63 連対率15.9% 複勝率23.2%
 [海外] 3-0-1-11 連対率20.0% 複勝率26.7%

・注目出走パターン
 [特注] 前走タイム差なしで2着以下(連対率75.0%)
 [買い] 前走0.2秒差以内の着差で2着以下(複勝率32.0%)
 [大不振] 前走5番人気以下の日本馬(連対率4.0%)
 [不振] 前走1着馬をのぞく6歳以上の日本馬(複勝率5.7%)

 まずは脚質面から。先行勢が最も強いのは当然だが、意外に差し・追込脚質の台頭が目立っている。あくまで道中のペース次第ではあるが、コースデータによるイメージよりも差しが決まりやすいという認識のほうがよさそうだ。とはいえ、圧倒的なシェアを誇る先行脚質を中心視すべきなのは間違いナシ。ここは、ブレずにそのまま行きたい。

 続いて年齢別成績。こう見るとフラットな印象を受けるが、じつは高齢での活躍馬はほとんどが海外馬であり、日本の6歳以上馬は[1-2-1-53]で連対率5.3%とかなり不振。狙うなら、フレッシュな4歳〜5歳が断然オススメである。また、関東馬が[0-2-2-41]と地を這うような成績であるのも、目立っているポイントである。

 そして、レースデータで最も注目してもらいたいのが、前走での着差。なぜならスプリンターズSには「前哨戦で僅差負けの馬が巻き返し、僅差勝ちの馬が負ける」といった傾向が色濃く見られるからである。今年だと、前哨戦の勝ち馬であるエピセアローム、パドトロワが割引の対象となり、ダッシャーゴーゴーとロードカナロアが巻き返し期待の「買い」候補。このあたりも、ぜひ考慮に入れて予想を組み立てていただきたい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 先週の古馬500万下で1分7秒4の勝ちタイムを計時。相変わらずの超高速馬場。

・天候予測
 木曜日〜金曜日に降雨予報も週末は曇り。あって稍重馬場程度と推測される。

・勝利数トップ種牡馬
 サクラバクシンオー 勝率11.7% 連対率18.2%

・著者の注目血統
 該当馬なし

・瞬発力要求度
 47.8(基準値▼2.2)※注

 開幕週ほどではないが、相も変わらず速いタイムが出ている中山芝コース。とんでもないレコードタイムが出る可能性もあるが、現在の中山競馬場周辺はかなり蒸し暑く、意外な量の降雨があるかもしれない。当日の馬場状態やバイアスをしっかり見定めるためにも、土曜日の芝レースはいつも以上に要チェックである。

 血統データは、正直なところあまり気にする必要がなさそう。サクラバクシンオー産駒がぶっちぎりの勝利数を残しているが、これは数の力で達成されたもので、そう高くは評価できない。また、登録馬のなかに「いかにも中山芝1200m向き!」といった馬も見当たらないことから、個人的には「血統よりも重視すべきファクターが多数存在する」といった結論に至った。

★総論×各論
 日本の有力馬が順調に夏を越して本番を迎えたことに加えて、外国から強豪3頭が参戦。ここまでメンツが揃うとオッズも適度に割れてくれるだろうし、配当的にもがぜん面白くなってくる。秋のG1シリーズ緒戦から、大いに楽しめそうだ。

 上位人気が予測されるのは、日本のカレンチャン、ロードカナロア、ダッシャーゴーゴー。次いで香港のリトルブリッジ、ラッキーナイン。いずれも人気にふさわしい実績の持ち主で評価も迷うが、ここは僅差でカレンチャンを筆頭に推したい。レースデータの項目でも触れたが、スプリンターズSは前哨戦で「僅差負け」した後の上積みがモノを言うレース。4着に破れはしたものの、もともと休養明け緒戦から全力を発揮するようなタイプではないし、馬体も余裕残しだったのは明らかだ。実績断然の存在であるのは言うまでもないし、確実に好位で立ち回れるセンスの良さ、レースと好相性の牝馬であることなど、プラス評価の材料にも事欠かない。日本のスプリント最強馬が、その力を存分に発揮してくれると期待したい。

 僅差での評価2番手がダッシャーゴーゴーで、3番手はロードカナロア。昨年2着のパドトロワや勢いのある3歳牝馬エピセアロームは、データ的に割引が必要と判断して、かなり評価を落とした。また、サンカルロも臨戦過程や年齢から、今回は「消し」評価。こういった馬を狙うなら、前走の7着で人気を大きく落としそうなドリームバレンチノや、配当妙味がグンと増すであろうマジンプロスパー、香港勢のラッキーナインとリトルブリッジのほうが格段にオススメ。あとは、このレースの最重要予想ファクターである「枠番」次第だ。

■シリウスS(G3・フルゲート16頭/登録26頭)
 現在の開催条件になって今年で6回目となるシリウスS。芝スタートのダート中長距離戦という珍しいコース設定であるため、枠番や芝適性など、通常のダート戦よりも考えるべきファクタの多いレースといえる。

 レースデータで何よりも目立っているのが、4勝をあげている前走1600万下戦出走組の好調ぶり。とりわけ「前走オークランドRCT組」の強さはきわだっている。今年の該当馬は、オークランドRCTを制したメイショウエバモアただ1頭。アグネスデジタル産駒が非常に強いコースであることを考えると、本命に推してもいいほど期待値は高い。

 重賞からの臨戦組では、前走でローカル場に出走していた馬の不振が目立つ。つまり、夏場を休養にあてていた馬のほうが期待できる、ということだ。また、前走オープン特別組で期待できるのは、小倉の阿蘇Sに出走していた馬くらいのもの。[0-1-2-26]という成績を見ればわかるように期待薄であり、全体的に割り引いて考えたほうがいい。

 そして最後にハンデについて。57.5キロ以上のハンデとなった登録馬が4頭もいるのだが、シリウスSで背負った馬は全体的に低調な成績に終わっている。ハンデ56.5キロ以上を背負った馬でさえトータル[0-3-1-6]と1頭も勝てておらず、その信頼度は正直なところイマイチ。ハンデ58キロ以上馬となると、1頭も馬券に絡めてすらいない。この傾向が今年も続くのであれば、グレープブランデーとインバルコは「消し」で、ソリタリーキングやフサイチセブンも「ヒモ候補」程度の評価が妥当となる。

 あとは枠番発表待ちだが、現時点での感触としては、かなり波乱含み。メイショウエバモア、メイショウタメトモ、タガノロックオンまでを上位評価して、あとはエーシンジーライン、グラッツィア、ナイスミーチュー、マイネルアワグラスの4頭を押さえ評価としておきたい。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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