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武豊騎手インタビュー『オルフェーヴル、勝つんじゃないか』

  • 2012年10月02日(火) 18時00分
 凱旋門賞、いよいよ秒読み段階になってきましたね! フォワ賞を勝ってより弾みがつき、スミヨン騎手ともバッチリコンタクトが取れている様子。順調に追いきりをこなし、フランスの人参も美味しくなってきた頃でしょう。(日本の人参より甘いのかな?)

 今回は、フランス・ロンシャン競馬場をよく知る武豊さんに、その魅力をお聞きしました。

武豊騎手、凱旋門賞は日本人最多の5回

武豊騎手、凱旋門賞は日本人最多の5回

常石 :豊さんは凱旋門賞に何回騎乗されているんですか?

武豊 :えーっと、ディープインパクト、ヴィクトワールピサ、メイショウサムソン…それから外国馬でホワイトマズル、サガシティと5回ですね。

常石 :エー、全部覚えているんですか。すごいですね。豊さんにとって凱旋門賞とはどんなレースですか? 一番印象に残ってるレースは?

武豊 :そりゃ覚えているよ。日本のレースでも乗ったレースは全部覚えているよ。それも騎手の仕事だと思うから。一番印象深いのは、やっぱりディープインパクトですね。本来のディープなら、あそこからハナにつけてこられる展開なんだけど、ちょっと体調が万全ではなかったんですよね。あれだけの馬でも勝てなかったんだから、なかなか難しいんだなと思う。向こうの陣営もディープ対策をしてきていたし、外国では簡単に勝たせてもらえず、難しいんだなと感じた。今でも話題にしてもらってるようですね。残念で悔しかったです。心残りだったな。

常石 :外国馬での騎乗は、違いを感じましたか。

武豊 :特にはなかったけど、向こうの馬場に慣れているので安心して乗れたかな。馬場の悪さを知ってるので、スピード任せに走らないでわりと用心して走るのでスローペースになるんです。凱旋門賞は別世界です。ジョッキーとしてあの場にいられる、出馬表の中に自分の名前が載る、それだけでも嬉しいことで誇りに思います。どんなレースも大事ですが、凱旋門賞は世界最高峰と言っても過言ではない。いつかは日本馬で勝つ時が来ると思うけど。ホースマンの夢ですね。現地の人たちもおしゃれしてきますし、華やかでとってもいい感じです。僕にとっても別格、一番勝ちたいレースですね。凱旋門賞の夢を今でも見ますよ!

ディープで挑戦した凱旋門賞

ディープで挑戦した凱旋門賞

常石 :どんな夢ですか? 興味あるなー。

武豊 :秘密! それは言えませんね。僕だけが楽しんでいます(笑)。凱旋門賞は、なんか空気感が違うよね。競馬に関わってる人なら誰もが挑戦したいレースですよね。ディープの子供で挑戦できたらもっと素晴らしいでしょう。これも夢ですね。まだまだ未熟ですから凱旋門賞にいけるように、もっと努力します。常チャンの凱旋門賞とはなんですか? ハイ、どうぞ!

 と、マイクを向けられました。(逆質問)

常石 :エー、僕ですか? (ブルブル、動揺…)競馬に関わっていた一人として、あの雰囲気を肌で感じてみたいですね。TVで見ているだけですが、騎手は馬に乗るのが本当に楽しい。見ている人たちも競馬場に来るのが楽しい…って、雰囲気が伝わってきますよね。それ以上に、世界ナンバー1の馬が走る光景は、武者震いするでしょうね。

 僕には、もうひとつ大きな夢があるんです。落馬してからもずっと馬に乗っていて、今年やっと乗馬ライセンス2級に合格したんですが、ライセンスにはA級とB級があって、A級の世界ライセンスの資格を取って、馬上インタビュアーになりたいと思っています。必要な乗馬の技術はもっともっと高くかなり難しいのですが、少しずつチャレンジしたいです。凱旋門賞に豊さんが騎乗して、僕が馬上インタビューをする夢を追いかけています。最高ですよね。

武豊 :おー、それはすごい! 常チャンの夢をかなえるためにも、僕も負けていられないですね。常チャンにインタビューされるようにがんばらなくちゃ!僕も「一生馬に乗っていたいな」と思っているんですよ。還暦になったら、勝負服に赤いちゃんちゃんこと赤い帽子を着て、乗っていますよ(笑)。

常石 :わぁ、楽しみですね。そんな勝負服もいいなあ。僕が競馬学校を受験した時は、オグリキャップで豊さんが大活躍していた時でしょう。僕が落馬して引退する時も、ディープインパクトで競馬が最高に盛り上がっていたんです。ダービーの時、カメラマンの久保さんと一緒に見に行きました(落馬した2年後)。あの時のダービーを観て、生きるパワーをもらったような気がします。豊さんにいつも助けてもらったり励ましていただきました。ありがとうございます。僕の中でホースマンの始まりも区切りをつけるときも、豊さんが手綱を握る馬なんですよ。

帰国後、鬱憤を晴らすジャパンC優勝

帰国後、鬱憤を晴らすジャパンC優勝

武豊 :それは責任重大ですね。でも馬がくれるパワーってそうなんですよね。僕自身も、いつも勇気付けられるのは馬ですね。凱旋門賞で優勝に導くことができなくて、ディープインパクトは残念だったけど、その時の鬱憤を晴らすかのように帰国後ジャパンカップと有馬記念を見事に連勝してくれ、ディープの強さを証明でき、最高に嬉しかったです。やっぱりディープは強いと証明し、有終の美を飾ることができました。今までに出会ったことのない感覚の馬で、馬体がとっても柔らかいので低く沈み込むようなスローの動きをし、ピッチの回転も速くスライドが大きいので跳んでる走りをしていました。小さい馬なのに懸命に走ってくれて、ホットな気分にしてくれた馬でしたね。

 オルフェーヴルはあれだけの馬だから、勝つんじゃないんですか?情報によるとすっかり環境にも慣れてるみたいだし、現地をよく知るスミヨン騎手に手綱を任せてオルフェーヴルの反応もよくなってるようだし、いろんなタイプの競馬を経験している賢い馬だから順応性はあると思う。小林厩舎にも入り万全で行くんじゃないんですか? どんなレースをするのか注目して観たいですね。フランス競馬特有のスローの流れにどう展開するかがポイントになるんじゃないかな。馬場は日本とはかなり違って高低差もあるけど、起伏が大きくうねりがある。時計がかかるのが分かったね。芝が太いのでパワーが必要ですが、オルフェーヴルは瞬発力とパワーがある馬なので勢いに乗ってくれると思う。

 僕は、何処の競馬場へ行っても馬場を歩くようにしています。勿論ロンシャン競馬場のターフもしっかり歩いてきました。フランスは森を切り開いたような自然の中に競馬場があるので、馬場も自然なんですね。だからぼこぼこしていて歩きにくかったですね。それも見込んで早目に現地に行き、脚慣らしをやってるので問題ないと思う。精神面で不安な部分があったようだけど、帯同馬もいるし、馬は元々自然の中で育つ動物なので、自然の多いフランスでのびのび過ごしているんじゃないかな。ここでぶつぶつ言ってるより、現地に行ってレースをしっかり観たいよね。

常石 :最後に凱旋門賞への思いは…?

武豊 :やっぱりディープでしょう。今でも夢に出てきますよ。悔しさが抜けきれないですよ。可能ならもう一度ディープと行きたいですね。凱旋門賞を勝ちたいですね。目標です。

常石 :貴重なお話がてんこ盛りでした。ありがとうございました。

 10月7日は、秋の夜長をワイン片手に凱旋門賞観戦を楽しみましょう。美酒が飲めたら最高!!

 ニッポン(パチパチ)ニッポン(パチパチ)! 皆さんも一緒に応援し、エールを送りましょう。

 常石勝義ことつねかつでした。[取材:常石勝義/栗東]

◆次回予告
凱旋門賞翌週の競馬は、府中牝馬S&秋華賞の牝馬ウィーク。そこで次回の「競馬の職人」では名牝を育てるテクニックを探りに、赤見千尋さんがアパパネを育てた国枝栄厩舎に潜入取材します。公開は10/9(火)18時。お見逃しなく!

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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