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二度あることは三度ある!?/秋華賞

  • 2012年10月10日(水) 18時00分
■秋華賞(G1・フルゲート18頭/登録21頭)
【コース基本情報】京都芝2000m(内回り) Aコース使用
・コース回収率
 [低め] 単勝58%・複勝71% 7番人気以下馬の勝率0.8%、アタマ堅め

・馬連万馬券出現率
 [低め] 7.5%(平均値▼4.5% 馬連平均配当2965円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [内枠有利] 内枠14.3%・中枠11.1%・外枠11.1%

・脚質別信頼度
 先行>差し>>逃げ>>>追込 上のクラスでの追い込みはほぼ無理

・推定ラップ&タイム
 [底力] 34.6-48.7-35.0=1.58.3 一貫してそれなりに速い総合力勝負

 秋華賞開催コースというだけで「それなりに荒れそう」といった印象を持つが、じつは京都芝2000mというのは、きわめて堅く決まる傾向にあるコース。16頭立て以上での「7番人気以下馬」に限定したデータを取ると、その成績は[1-9-4-357]で、勝率なんと0.3%! 当然ながら馬連万馬券の出現率や馬連平均配当はかなり低く、人気薄を1着に固定した馬券などは、絶対にオススメできないコースだといえる。

 続いて枠番データだが、超大幅に割り引きたいのが8枠。16頭立て以上ではトータル[1-5-6-76]で勝率1.1%、連対率6.8%と信頼度が非常に低く、「18頭立ての17番〜18番」となると、連対例ゼロだ。また、理由は不明だが「18頭立ての7番〜8番」も絶不調。いずれにせよ、枠番による有利・不利の差が大きいという認識で臨むべきだろう。

 また、直線の短い内回りコースであるため、4コーナー10番手以下からの追い込みはほぼ望み薄。このポジショニングからでは、最速の上がりを使ったところで勝率は13.6%に過ぎず、何とか2着〜3着に食い込むのが精一杯となる。総合力が問われる流れになりやすいコースでもあり、脚質的な不器用さを抱える馬は、その次点で割引対象なのだ。

【レース基本情報】秋華賞(G1) 京都過去10回
・レース平均配当
 単勝567円 馬連4036円 3連複194800円

・1番人気馬成績
 [2-2-3-3] 連対率40.0%・複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [9-4-4-13] 連対率43.3%・複勝率56.7%

・10番人気以下馬成績
 [1-0-2-87] 連対率1.1%・複勝率3.3%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 30.0% [差し] 56.7% [追込] 10.0%

・枠番別成績
 [1枠] 0-2-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [2枠] 2-0-3-15 連対率10.0% 複勝率25.0%
 [3枠] 1-1-2-16 連対率10.0% 複勝率20.0%
 [4枠] 0-0-0-20 連対率0% 複勝率0%
 [5枠] 1-2-0-17 連対率15.0% 複勝率15.0%
 [6枠] 3-1-2-14 連対率20.0% 複勝率30.0%
 [7枠] 2-0-2-26 連対率6.7% 複勝率13.3%
 [8枠] 1-4-1-24 連対率16.7% 複勝率20.0%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-3-5-60 連対率7.1% 複勝率14.3%
 [栗東] 8-7-5-90 連対率13.6% 複勝率18.2%

・注目出走パターン
 [特注] 前走ローズSで1番人気だった馬(連対率66.7%)
 [買い] 前走重賞で上がり3F順位が2位以内(連対率47.6%)
 [大不振] 前走で重賞以外に出走(連対率0%・複勝率3.1%)
 [不振] 前走重賞6着以下馬(連対率1.9%・複勝率7.4%)

 単勝平均567円、馬連平均4036円というのは、大波乱となった08年の影響があることを考えれば、これはかなり低めの数値だ。もっとも、勝ち馬のほとんどが2番人気以内なのだから、当然といえば当然。人気薄の信頼度が低いのはコースデータとまったく同じで、10番人気以下馬の連対率はたったの1.1%しかない。大波乱となった08年の再現を願うのは、かなりの無理スジである。

 脚質別データで目立っているのが、逃げ馬の見事なまでの壊滅ぶり。08年3着のプロヴィナージュをのぞき、すべて4着以下と絶不調だ。かといって追い込み馬がガンガン来ているワケでもなく、馬券に絡んだ馬のほとんどは、4角2番手〜9番手の先行&差し馬。このポジションを無理なく取れる馬なのかどうかが、予想する上できわめて重要なファクターとなってくる。

 ローズSやクイーンSの上位馬が素直に強いため、ローテ面で浮かび上がってくるのも、そのほとんどが順当な馬。前走で重賞にも出走していない馬が、ここでいきなり勝ち負けになるなどと考えるべきではない。ここで買うべきは「順調に来ている実績馬」だと断言しよう。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 芝コンディション良好でやや前有利。差しはそれなりに決まるが追込は不発。

・天候予測
 中間に降雨予報なく週末も降水確率はかなり低め。パンパンの良馬場前提で。

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率14.1% 連対率23.9%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒、母父サンデーの配合馬

・瞬発力要求度
 59.8(基準値△9.8)※注

 キングカメハメハ産駒がトップとなる13勝をあげ、ディープインパクト産駒、ネオユニヴァース産駒がそれに次ぐ10勝をマーク。以下も、ステイゴールド、スペシャルウィーク、アグネスタキオンといった「王道」系の種牡馬が上位にランクインしており、BMS部門もサンデー、トニービンが圧勝。つまり、ベタに走りそうな馬が素直に走ってしまう、血統的にもひねりのないコースである。

 血統面から割り引きたいのが、タニノギムレット産駒のミッドサマーフェア。タニノギムレット産駒は[1-2-3-33]で勝率2.6%、連対率7.7%と、当コースを苦手としている印象なのだ。あとは、ファルブラヴ産駒のアイムユアーズ、オレハマッテルゼ産駒のハナズゴールについても、その適性は疑問。向くか向かないでいえば、向かない可能性のほうが格段に高い。

★総論×各論
 まったく面白味のない結論になって申し訳ないが、春のクラシック二冠馬で、前哨戦のローズSも快勝して臨むジェンティルドンナが不動の本命。ローズSを後方一気で制していれば付け入る隙もあったのだが、前走は好位の2番手で折り合って結果を出されたのでは致し方ない。1番人気馬がそこまで強いレースではないとはいえ、こんな頼りないデータをもとにケンカを売るのは、無茶を通り越して無謀ですらある。

 ただし、相手に関しては、多少ひねる余地アリ。というのも、ソコソコ人気薄となりそうなトーセンベニザクラが、データ的にかなり買いといえるからだ。ローズSでの5着という「着順」はお世辞にも高く評価できないが、最速上がりで、しかも直線で前が詰まっての0秒4差という「内容」は、高く評価できるもの。二番手評価であるヴィルシーナとの0秒2差であれば、巻き返せる可能性は十分にある。最も配当妙味の高い三番手として、その走りに注目したい。

 ここまでの3頭が上位評価組で、以下はいたって順当に、アイムユアーズ、ラスヴェンチュラス、ハナズゴール、ミッドサマーフェアまでを「押さえ」として評価。上位3頭の組み合わせから流す絞った3連単で、ビシッと的中させられるはずだ。

■府中牝馬S(G2・フルゲート18頭/登録21頭)
 ここ3年は連続で1番人気馬が4着以下に沈んでおり、1番人気が勝ったのも東京過去10年でわずか2回と、波乱含みの傾向にある府中牝馬S。とはいえ、単勝平均配当800円、馬連平均配当5151円というのは低めの数値であり、レース全体の回収率も意外なほど低め。つまり「堅くは決まらないが大波乱も期待薄」といった傾向にあるレースなのである。

 そもそも、東京芝1800mは展開による紛れが少ない、きわめて癖のないコース(詳しくは先週の毎日王冠コースデータをご参照ください)。脚質別成績や枠番別成績を調べても、追い込み馬であろうが外枠であろうが関係なしに馬券絡みしており、そこに傾向や有利・不利はとくに見当たらない。よって、コースデータでふるいにかけるよりも、過去のレースデータを重視する方向での予想がベターだと考えられる。

 G1のトライアルでもあり、当然ながら前走でも重賞を使われてきた組が[7-7-6-75]と圧倒的に優勢。それに対して前走非重賞組は[1-1-2-35]で勝率2.6%、連対率5.1%と、その信頼度はかなり低くなっている。前走で重賞以外に出走してきた組は、「前走2番人気以内1着」からのローテであることが、ここで勝ち負けする必要条件。これを満たさない馬は、ノータイムで「消し」がオススメだ。

 また、前走重賞組の中でも目立っているのが、「前走クイーンSで5番人気以内」だった馬と、「前走牡馬混合の重賞に出走して3着以内」だった馬の活躍。まずは前者だが、こちらは[4-2-1-5]で勝率33.3%、連対率50.0%という超ハイアベレージを記録しており、文句なしに「買い」といえる内容である。また後者も、トータル[2-3-1-6]で連対率41.7%と信頼度バツグン。条件に合致するオールザットジャズ、ドナウブルー、レインボーダリアの3頭が、ここでの主力級となるのは間違いない。

 問題となるのが、ホエールキャプチャやマルセリーナといった「前走G1組」の取捨。人気を集めて当然だが、こちらは[1-0-0-12]と驚くほど成績が悪く、積極的に買うべき理由はほとんど見当たらない。信頼すべきはあくまで前述の3頭であり、ここを押さえるとしても、2着〜3着のヒモ程度の扱いがオススメだ。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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