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ジェンティルドンナは上がり1.6Fでも強いのか?

  • 2012年10月11日(木) 12時00分
ローズSのときにジェンティルドンナについてこんなことを書いた。

「三冠牝馬になる宿命ならば、ジェンティルドンナはローズSを勝たない」

しかしジェンティルドンナは危なげない勝ちっぷりで1着。しかも1番人気で!
+12キロでの1着は成長分プラス少しのゆるさを残しての仕上げにも思えた。
しかも岩田騎手の先行騎乗は去年秋華賞を1着に操ったアヴェンチュラを彷彿とさせる乗り方で、
勝ちながら、同時に京都内回り2000の走り方も学ばせたようにも見えた。

しかし私は書いてしまった!
宿命などといらん装飾までして、ローズSを勝ったら、三冠牝馬にはなれないという主旨のことを書いてしまった。

だからその翌週、ぜえぜえ言いながら、息も絶え絶えに、

「ジェ…ジェンティルドンナ様は………
ローズSを……
勝たれてしまわれたので……
………………………………………………
たいへん恐縮ではございますが……
秋華賞は、お勝ちいただけないような気がしないでもないような…むにゃむにゃむにゃ……」

的なことを書いた。的なね。
耳にふっと息をかけられたら、あっという間に崩れそうだ。そこは自信あり!ほんと耳ってやつは…
とにかく書いてしまった以上はしょうがない。もはやフラフラでも進むしかない!
両耳塞いで突き進むしかない!

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もうギブ・アップ寸前です
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これはジェンティルドンナのことだけでなく、桜花賞を1着2着3着し、オークスを1着2着4着した3頭ぜんぶひっくるめて、お手上げ寸前という意味だ。
春にその実力を示しただけでなく、秋華賞に向けた準備も万全に思えるからだ。

ジェンティルドンナ 前走ローズS・1番人気1着 +12キロ(472)
ヴィルシーナ 前走ローズS・2人気2着 +18キロ(450)
アイムユアーズ 前走クイーンS・1人気1着 +24キロ(468)

みんなゆったり。
そしてみんな力を示した。
ちょっとやそっと息を吹きかけても崩れそうにない!

適性云々ではなく、根本的に力が違うのではないか? とも思える。

秋華賞で馬券圏内に入った馬の前走ローテは、ローズ2:その他1の2:1が多い。圧倒的に多い。
それに照らしてみても、上記3頭はローズ2:クイーン1で合致する。

1番人気・2番人気・3番人気での決着も、3年前のレッドディザイア・ブロードストリート・ブエナビスタの2番人気・3番人気・1番人気の組み合わせで達成済み。

まだある。

桜花賞のときに馬体重について書いた。
桜花賞は基本450キロ以上の馬が強く、430キロ以下の馬はひじょうに苦戦すると。

桜花賞は
1着ジェンティルドンナ 456
2着ヴィルシーナ 434
3着アイムユアーズ 450

18頭中5頭しか450以上の馬はいなかった。その内の2頭が圏内に突入し、456のジェンティルが勝ち、416の1番人気ジョワドヴィーヴルは6着に負けた。

オークスのときにも触れた。オークスは桜花賞以上に430未満の馬が苦戦する傾向にあったからだ。

オークスは
1着ジェンティルドンナ 460
2着ヴィルシーナ 432
3着アイスフォーリス 458

18頭中10頭が450以上の馬だった。
桜花賞450からオークスでマイナス6キロして444になったアイムユアーズが458のアイスフォーリスに負けた。

桜花賞もオークスも450以上が勝ち、圏内に2頭入った。
そして430未満の馬は圏内に入れなかった。

秋華賞は実は桜花賞、オークスよりもっと450以上の馬が活躍する。
ひと夏越すのだから、馬体重が増えるのは当然かもしれない。
にしてもはっきりしている。

この10年で450以下で圏内に入った馬は、
7年前に5人気で3着したニシノナースコールと2年前に2番人気で3着したアプリコットフィズの2頭しかいない。
どちらもそれなりの人気馬で、450未満の人気薄の激走は皆無といってもいい。

上記した3頭(ジェンティル・ヴィル・アイム)は前走470・450・468。
ギリなのは450のヴィルシーナだけど、人気・実績のある馬でそれほど心配はなさそう。っていうかヴィルシーナは桜花賞でもオークスでも、ただ1頭450未満で圏内に入った馬で、450になったことでより心配は払拭されたとも言える。

ちなみに想定18頭で450以上が万全な馬は7頭、ギリギリの境界線上の馬は5頭いる。

春の実績馬が余裕をもった馬体で前哨戦を好走した。
馬体重も秋華賞で「求められる」重さを維持するのはほぼ確実。
騎手はG1実績抜群の岩田・内田博・池添。

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だいたいギブ!!
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ほとんどギブです。あとはどんだけ太く買えるか。そこか!?

(競馬王最新号のテーマは「競馬は資金配分で勝てる」というもの。「太く張る極意」「他人より儲けるメリハリのコツ」「押し引きの心理術」の3本柱。

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とにかく大儲け伝説を作りたい方には必見のエピソードでしょう)

ああ自分も大儲け伝説に翻弄されてみたい。
柏手重宝が「はい、2列に並んで〜。小さい前に〜ならえ!」とか言って、ご祝儀配ってたよ、そんな伝説を流されてみたい。

とにかくギブ寸前だけど、それでもまだ耳に息は吹きかけられてはいない。
プルプルしながらも、まだかろうじて立ててはいる。

せめて、ジェンティルドンナは三冠牝馬にはなれない宿命、じゃなくて三冠牝馬になれないフィーリングだけは貫徹しておきたい……。

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ヴィルシーナの背中を押してみる。
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■ローズSの翌週に書いてしまったことをもうひとネジり。

→ジェンティルドンナは位置取り2-2-2から抜け出して勝った。
→ヴィルシーナは位置取り3-5-5から2着した。

春はヴィルが前、ジェンティルは後ろの関係だった。でもローズではその位置関係が入れ替わった。
そのときの上がりは両者ともに33.2。いっしょ。
ふつうに考えたら前で競馬をしたジェンティルの方が,その後方にいたヴィルより上がりがかかってもおかしくない。つまりジェンティルの方が頑張ったとは言える。

けれどレースはスローだった。スローで上がりがいっしょならば、着順は位置関係の差という見方もできる。

たしかにオークスでジェンティルは澱みないペースの中を34.2の末脚で圧勝した。けれどMペースで他馬より凄い脚が使えるからといって、Sペースで同じように他馬より凄い脚が使えるとはかぎらない。

たとえばオークスはMペースの2400で、
上がり1位 ジェンティルドンナ 34.2 1着
上がり2位 ハナズゴール 35.2 7着
上がり3位 ヴィルシーナ 35.3 2着

でもローズSはSペースで、
上がり1位 トーセンベニザクラ 33.0 5着
上がり2位 ラスヴェンチュラス 33.1 3着
上がり3位 ジェンティルドンナ&ヴィルシーナ 33.2 1着&2着

オークスでは他馬より1秒以上も速い上がりを魅せつけたのに、ローズSでは上がり3位だ。
番手競馬をしてたのだからしょうがないかもしれない。
けれど、どんなレースでも他馬より凄い末脚を繰り出してるわけでもない。

ジェンティルドンナはまだ内回りの角4競馬で走ったことはない(ヴィルはある。エリカ賞1着)。
だから内回りでも同じように底知れぬ強さを発揮できるかはまだわからない。
そこはまだ未知。1番人気ならば、未知なるそこは疑っていいのではないか?

スローのローズSでは2頭の上がりはいっしょだった。
もし秋華賞がスローだったら、位置が前の馬が先着するとは言える。

ではスローでなかったらどうか?

京都内回り2000は阪神外回り1800とは違う。
直線の距離は秋華賞328M、ローズS473Mと145Mも違う。

もし澱みなく流れたとしても、145M短いことは「前」にいる馬のメリットにならないか?

なんつっても上がり3Fって、約600Mでのタイムのことですからね。
秋華賞の直線は328M。直線だけを見るなら上がり1.6Fくらい。
オークスの直線は525M。直線だけなら上がり2.7Fくらい。
上がり3Fのタイムに直線の占める割合が長い東京競馬場で一番強い競馬をしている。
ここになんらかのヒントが潜んでないか……。

桜花賞(直線473M)
ジェンティルとヴィルの着差0.1

オークス(直線525M)
ジェンティルとヴィルの着差0.8

ローズS(直線473M)
ジェンティルとヴィルの着差0.2

秋華賞(直線328M)
ヴィルシーナ側から物事を見るなら、断然着差は詰まる! そう思える。

この10年で1番人気は2勝、2番人気は7勝。

1、2番人気が馬券圏内から吹っ飛んだ08年以外の1番人気と2番人気の位置の違いをみると、2番人気の強さがよくわかる。
基本的に1番人気と2番人気は脚質がけっこう違っていて、2番人気の方が前で競馬をしている割合が多い。

02年
1番人気 4角2番手 1着
2番人気 4角17番手 18着

03年
1番人気 4角11番手 2着
2番人気 4角6番手 1着

04年
1番人気 4角2番手 4着
2番人気 4角16番手 1着

05年
1番人気 4角2番手 2着
2番人気 4角9番手 1着

06年
1番人気 4角11番手 4着
2番人気 4角6番手 1着

07年
1番人気 4角12番手 3着
2番人気 4角1番手 1着

09年
1番人気 4角10番手 3着(2着降着)
2番人気 4角5番手 1着

10年
1番人気 4角8番手 1着
2番人気 4角4番手 3着

11年
1番人気 4角5番手 3着
2番人気 4角2番手 1着

ローズSではいつもより相当前で競馬をしたジェンティルだけど、18頭立てでも同じような位置の競馬ができるのだろうか? それも1番人気で。

内枠を引けば、前につけることは容易いことかもしれない。
けれど京都内回り2000のG1のフルゲートで2、3番手につけて、勝ちきれるタイプの馬なのだろうか?
角2の阪神1800で前につけて圧勝したからといって、前記したように先行して、なおかつ上がり1位だったわけではない。角4の京都2000でも圧勝すると考えていいのだろうか?

そういう器用さも兼ね備えた万能ホースなのだろうか?

つまり、ローズSのように前につけたらつけたで、心配はあると言いたいわけだ。
そして、後方につけたらつけたで、差して届かずの心配もあると言いたいわけだ。
それが過去の秋華賞の1番人気馬からも垣間見えると言いたいわけだ。

過去、敗れた1番人気馬とジェンティルは違うかもしれない。だけど圧倒的1番人気に少しでも不安要素があると感じれば、とりあえず心配してみるのが我が癖(へき)!(癖は一生治らない! やったー!)

ヴィルシーナ陣営はどんな戦法を駆使するのか?

ローズSは3-5-5 2着だった。これはジェンティルが番手につけたから、抑えたようにも見えるけど、ヴィルシーナはいつもと同じような競馬をしたとも言える。
それでジェンティルと上がりがいっしょなら、まだ太刀打ちできると思っていないか?

桜花賞2着、オークス2着、ローズS2着。

そろそろ内田博がテクニックでなんとかしてこないか?

どんなテクニック?

今度はこっちが番手を取ってやるというテクニック。
今度は逃げるというテクニック(フレイムコードが出走しないと逃げ馬がいなくなる)。
ウチパク・ワープ! いつの間にか内から抜けてくるというテクニック(ここ2戦、意識して、少しだけ抑えていたとしか思えない。それが身を結ぶ?)。

週の真ん中水曜日。
結局、1番人気を嫌って、2番人気をあげてる木曜日。

ヤバイね。週中にこういうこと(人気サイド)を考えてるときって、週末、その反動が出て、変な馬へと走りがちなんだよね。入口は変態、出口はまっとうがモットーなのに、すでに入口でまっとうな気がしている。ムムム!

ちなみに過去を見ると、
2番人気→1番人気の決着はあるけど、
1番人気→2番人気の決着はない。

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1着ヴィルシーナから買うなら、2着ジェンティルドンナはあるけど、
1着ジェンティルドンナから買うなら、2着ヴィルシーナはないということ。
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さんざん書いたけど、今の「ちなみに」で買うのが一番カンタンでまっとうかもしれない。

秋華賞注目馬
ヴィルシーナ…2番人気だし、内田博だし、ジェンティルより前でお願いします。

アイスフォーリス…前走・紫苑Sは8枠17番で、けっこう強引に競馬をしてた。内枠引いたら上昇しそう。

アロマティコ…穴人気になりそうだけど、サトテツだししょうがない。前走1600万3着に惹かれてしょうがない。

ふつうだね。穴と思ってる馬も自分だけが穴と思ってるわけではなく、みんなが穴と思っていそう。そうなると穴の旨味なんてない。だめだ…穴馬探しもギブ寸前だ……。

ミッドサマーフェア…オークスでは、よもやの1番人気に驚いたけど、今回はまっとうに4、5番人気か。ならば単を買ってみたい。ミッドサマーは「勝つときは鮮やかに勝ち、負けるときも鮮やかに負ける1着か4着以下タイプ」とオークスのときに書いた。
前走のクイーンSではマイナス体重でも3着した。精神的に少しは成長したのか? ならばここでも3着の期待は持てる? いやいや3着じゃまるで意味なし! 1着でないとなんの旨味もなし!

オッズ的にはアイスフォーリスやアロマティコの方が人気薄のはずなのに、ミッドサマーの方が重たい気がする。不思議だ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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