■菊花賞(G1・フルゲート18頭/登録25頭)
【特注必見データ!】 〜レースデータから〜
・前走神戸新聞杯組 菊花賞成績
[前走人気≦前走着順] 連対率31.4% 単勝回収率328% 複勝回収率155%
[前走人気>前走着順] 連対率9.7% 単勝回収率77% 複勝回収率51%
菊花賞において、トータル[8-6-6-46]で連対率21.2%という圧倒的な成績を残しているのが、前走神戸新聞杯組。距離が2400mへと延長されて以降、菊花賞により直結するレースになった印象である。前走セントライト記念組が[0-2-2-38]で連対率4.8%に過ぎないのも、この組がいかに強いかを物語っている。
では、この優秀な前走神戸新聞杯組をいかに取捨するかだが、その際にぜひチェックしてもらいたいのが、神戸新聞杯での人気と着順。「6番人気3着」や「1番人気1着」といったように人気より上の着順、もしくは人気と同じ着順だった馬のほうが、本番である菊花賞では格段に期待できるのだ。
それを証明するのが上記のデータで、その差は連対率で20%以上、複勝回収率で100%以上という巨大なもの。前走、神戸新聞杯にて[人気>着順]だった馬は[2-1-3-25]とイマイチな成績なうえに、重賞未勝利馬で馬券に絡んだのは過去10年、08年1番人気1着のオウケンブルースリしか存在しない。つまり、よほどの素質馬か実績馬でもないかぎり、きわめて期待薄なのである。
【コース基本情報】京都芝3000m Aコース使用
・コース回収率
[高め] 単勝92%・複勝78% 人気薄の1着率が高く波乱傾向
・馬連万馬券出現率
[やや高め] 14.3%(平均値△2.3% 馬連平均配当3870円)
・推定ラップ&タイム
[瞬発] 36.2-113.1-35.5=3.04.8 勝負所からの瞬発力&持久力勝負
京都芝3000mは、現在ではレースが年に2回(万葉Sと菊花賞)しか行われないコース。当然ながらデータの分母となる数字が非常に少なく、分析も難しい。また、「フルゲートとなった京都芝3000mのレース」は、過去20年まで振り返っても菊花賞のみ。つまり、レースデータ=コースデータであるため、この二者を分けて考える意味がまったくないのだ。
というわけで、ここではコース形態からの特性を簡単に。ゲートから最初のコーナーまでが200m前後しかないため、取りたいポジションをスッと取れる「内枠」のほうが基本的に有利。実際にフルゲートとなった過去20年のレース(合計15回)においても、1枠〜4枠の複勝回収率が82%であるのに対して、5枠〜8枠のそれは55%と、内枠のほうが格段に高い期待値となっている。
また、勝ち馬のほとんどが4コーナーを4番手以内で回っているというのも、絶対に押さえておくべきポイント。4角10番手以下からの競馬では、昨年のウインバリアシオンや一昨年のローズキングダムのように2着には来られても、アタマまでは届かないコースなのである。
【レース基本情報】菊花賞(G1) 京都過去10回
・レース平均配当
単勝2030円 馬連15332円 3連複57620円
・1番人気馬成績
[3-1-2-4] 連対率40.0%・複勝率60.0%
・3番人気以内馬成績
[3-3-6-18] 連対率20.0%・複勝率40.0%
・10番人気以下馬成績
[1-2-1-84] 連対率3.4%・複勝率4.5%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 3.3% [先行] 46.7% [差し] 36.7% [追込&マクリ] 13.3%
・枠番別成績
[1枠] 2-2-2-14 連対率20.0% 複勝率30.0%
[2枠] 0-1-2-17 連対率5.0% 複勝率15.0%
[3枠] 1-2-2-15 連対率15.0% 複勝率25.0%
[4枠] 2-1-0-17 連対率15.0% 複勝率15.0%
[5枠] 1-1-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0%
[6枠] 0-1-2-17 連対率5.0% 複勝率15.0%
[7枠] 2-2-1-24 連対率13.8% 複勝率17.2%
[8枠] 2-0-1-26 連対率6.9% 複勝率10.3%
・厩舎所属別成績
[美浦] 0-1-1-43 連対率2.2% 複勝率4.4%
[栗東] 10-9-9-104 連対率14.4% 複勝率21.2%
・注目出走パターン
[特注] 前走神戸新聞杯[人気≦着順]で3着以内(連対率42.1%)
[不振] 騎手が乗り替わる馬(連対率5.0%)
[全滅] 前走セントライト記念4着以下馬(複勝率0%)
[全滅] 前走3番人気以下の関東馬(複勝率0%)
単勝2030円、馬連15332円という平均配当はかなりの高さで、波乱含みのレースであるのは間違いなし。1番人気はソコソコ信頼できるが、3番人気以内馬のトータル連対率はたったの20.0%と、2番人気〜3番人気あたりはけっこうアテにならない。
脚質面で目立っているのが先行馬の強さで、複勝率、複勝回収率ともにぶっちぎりの数値。とくに人気薄での好走が目立っているので、穴馬を取捨する際にはぜひ意識しておきたい。それに次ぐのが差し馬で、馬券に絡んだ合計30頭のうち、じつに25頭までが「先行&差し」でのもの。逃げ、追込での好走はかなり難しいと考えるべきだろう。
関東馬&セントライト記念組のの成績不振は見てのとおりで、優先すべきは断然、関西馬&神戸新聞杯組。また、G1らしく騎手の乗り替わりが大きなマイナス材料となるのも、しっかり覚えておきたい。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
そう速い時計での決着はないが芝コンディション自体は良好で標準的。
・天候予測
水曜日〜木曜日にかけて降雨があるも週末は好天予報。良馬場前提で。
・著者の注目血統
ロベルト系種牡馬の産駒(マイナス評価)
血統については「分析できるほどデータ量がない」というのが正直なところ。大旋風を巻き起こしているディープインパクト産駒についても、またステイゴールド産駒の適性についても「不明」としか言いようがない。
ただ、少し気になるのが[0-0-2-20]と不振であるロベルト系種牡馬の産駒。スタミナと底力自慢な系統だけに菊花賞向きな印象なのだが、09年3着のセイウンワンダー、07年3着のロックドゥカンブしか馬券に絡めていない。ふたケタ着順の大敗が目立っているのもあり、ここは割り引いて考えたほうがよさそうだ。
★総論×各論
皐月賞馬とダービー馬の対決に注目が集まる、今年の菊花賞。とはいえ、トライアルを快勝して本番に臨むゴールドシップに対して、「海外遠征→休養」からのぶっつけとなるディープブリランテは、いかにも分が悪い。前々で流れに乗れるのは大きな強みだが、中9週よりも長い出走間隔で馬券に絡んだ馬となると、87年のサクラスターオーが最後の例。順調に調整されているとはいえ、これはさすがに手を出しづらい。
となれば、信頼に足るのは冒頭の特注データの該当馬でもあるゴールドシップのほう。こちらは後方に置かれる懸念があるが、同馬は差すというよりも「マクリ」脚質であり、鞍上も早めに仕掛けて4角では前を射程圏に入れてくるはず。この点さえ大丈夫であればデータ的に割り引く材料は見当たらず、信頼に足るというのが現在の見解だ。
二番手評価は神戸新聞杯2着のロードアクレイムで、三番手が同4着のユウキソルジャー。ここまでが上位評価組で、マウントシャスタ、ディープブリランテ、ダノンジェラート、フェデラルホール、ベールドインパクトまでの5頭を「押さえ」評価としておきたい。
■富士S(G3・芝1600m)フルゲート18頭/登録24頭
マイルCSへ向けての重要なステップレースとなる富士S。安田記念以来となるガルボ、夏の上がり馬フラガラッハ、古馬とは初対決となる3歳馬ファイナルフォームなど24頭が登録しており、フルゲート18頭での大混戦となりそうだ。
まずはローテ面だが、休養明け緒戦となる馬は正直イマイチ。中8週よりも長い出走間隔の馬は[2-2-3-62]で連対率5.8%と、その好走期待度はかなり低めとなっている。また、3歳馬も[1-0-4-29]で連対率2.9%と結果を出せておらず、こちらも期待値はかなり低め。また、前走ローカル組よりも、前走中央開催組のほうが圧倒的に強いというのも目立っている傾向だ。こういったところを割り引きつつ、信頼度の高い4歳馬〜5歳馬を中心に考えるべきレースだといえる。
となると、データ的に買い材料が多いのが、人気上位馬ならばコスモセンサー、穴馬ならばミキノバンジョー。あとはマイル重賞3勝の実績が光るガルボ、古豪ながら好調さが目立つスマイルジャックも押さえておきたいところ。出走が叶えば、ゴールスキーも条件的にはかなりいい。逆にセイクリットレーヴ、ファイナルフォーム、ダローネガ、フラガラッハあたりは、データ的にはあまり食指が動かない馬。波乱決着も十分にありと見て、積極的に高配当を狙っていきたい。
※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象