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ディープブリランテは誇り高きレースをするのか?

  • 2012年10月18日(木) 12時00分
今年の菊花賞最大の見どころは、
ズバリ!
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ディープブリランテが大逃げをぶちかまして、ゴールドシップが大慌て!
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そんな光景ではなかろうか!!

言い過ぎだよ! 自分で書いておいてなんですがたしかに言い過ぎ! このバカ!
だいたい先週の秋華賞のチェリーメドゥーサの走りで、大逃げの鮮度は完全に失われてる!

いくら15人気のチェリメド(ちょっと略してみました。どうですか?少しドキドキしませんか?)を推奨し、ゴール寸前約7Mで卒倒したからといって、あのドキドキよ再び! ってんでそれを翌週に期待するなんて、バカすぎだよ!

ただチェリメドを買ってた人はみんな思ったでしょう。
直線に向いたとき「もらった!」って。
で、直線半ばで強そうなのが追い込んできたけど、最悪3着は「大丈夫!」って、ちょっと余裕くらいに思ったでしょう?

ぼかぁ思ったね。3着には残れるって。でもダメだった。最後の直線でテンションが上がりに上がったもんだから、ゴール前のへたれ込みといったらなかったね。

で、しばし呼吸を整えて、思ったね。
あれ? この感覚つい最近どこかで味わったぞ?

あ! ロンシャン! 凱旋門賞!
オルフェーヴルが大外からごぼう抜いたときの「もらった!」
そしてゴール直前でペリエに抜去られたときの「へなへな!」
あれだ!
あれと同じだ!

まさか秋華賞で、チェリーメドゥーサで、凱旋門賞のオルフェーヴルと同じ「もらった!」と同じ「へなへな!」を味わえるなんて〜〜! いいぞ!小牧ぃ〜! ぃやったー!

でもチェリメドって決して逃げてはいないんだよね。
最初の1角最後方で、2角も最後方で、向こう正面に入ってから突如として、前進し始めて、あっという間に先頭に立って、あとはビュンビュン。
位置で言えば、18−18−1−1、戦法で言えば向こうスパート。デムーロの2段階スパートのそのまま行っちゃえ版とでも言えばいいのかな?

おそらくディープブリランテも最初っから逃げるとは思えない。だから正確に言うならば、こうなる。

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ディープブリランテが向こう正面からロングスパートを決めて、ゴールドシップ大慌て!
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言い直してみたけど、おそらくそういう競馬はしないでしょう。
そういうとはもちろん、ディープブリランテの大逃げ、早スパートのこと。
ただ気持ち的にはそういう競馬を仕掛けてくるのではないか? とは思う。

たとえるなら2年前のビッグウィークみたいな先行して、早々と駆け抜けて、ローズキングダムの末脚を抑え込む、あんな競馬。

要は末脚強烈な馬がいるならば、先行力のある馬は早めスパートで後続を封じ込めるというあれ。いたって健康な戦法。そうダービーとだいたい同じ。

スタミナって肉体的スタミナと精神的スタミナがあると思っていて、ディープブリランテで心配なのは精神的スタミナではないか? それが自分の見立て。
つまり、道中気持ちよく走れれば、京都の3000は基本的に持つ。そんな見立て。

ダービーはゼロスが逃げて、トーセンホマレボシが番手でそれを突っつき、3、4番手で折り合って、乗り切った。ペースはMペース。肉体的スタミナのない馬の走りではない。世界基準ではわからないけど、少なくとも国内基準では肉体的スタミナはある。

問題は精神的スタミナが持つか、持たないか?

春先、折り合いに不安のあった馬が3か月の休養明けでいきなり菊花賞に挑む。
ふつうに考えたらどっかでガス抜きレースが必要ではないかと思いたいところ。
実際,自分もそう思う。

けれど時代もあきらかに違うと思う。
そう今は「しがらき」という時代である。

しがらきがそれを解決するのではないか?
ディープインパクト産の秋初戦を2年目できっちり修正してきたしがらきがそれを解決するのではないか?
(ローズSでしがらきディープのジェンティルが1着)

なぜフェノーメノは菊花賞ではなく、天皇賞・秋に向かうのだろう。
セントライト記念までは決まってなかったはずだ。なんせ陣営がしきりに右回りでも大丈夫とアピールしてたくらいだから。

セントライト記念を見て、神戸新聞杯を見て、そしてディープブリランテとフェノーメノの仕上がりを見て、割り振った。そう考えるのが妥当か。

菊花賞のノーザンF布陣 7頭
ディープブリランテ(サンデーR)
ニューダイナスティ(サンデーR)
マウントシャスタ(大個人馬主)
ダノンジェラート(個人馬主)
トリップ(個人馬主)
フェデラルホール(本家名義)
アーデント(キャロット)

天皇賞・秋のノーザンF布陣 6頭
ルーラーシップ(サンデーR)
フェノーメノ(サンデーR)
トーセンジョーダン(大個人馬主)
カレンブラックヒル(個人馬主)
トゥザグローリー(キャロット)
トランスワープ(キャロット)

バランシーだ。しかも馬主も本当にバランシーだ。すべてはお客様の旨いのために。ちなみにフェノーメノが天皇賞・秋に回って、キャロットのアーデントの出走が可能になった。
ただいくらバランシーでも勝つことも念頭に置くはず。
一度使って、順調度が誰の目にもあきらかなフェノーメノを天皇賞・秋に回すのだから、逆に言えば、菊花賞はこの布陣でも勝てると見込んでの割り振りのはず。
でないと、フェノーメノの会員様は納得しないでしょう。もし天皇賞・秋で惨敗するようなら、菊花賞を使ってくれよ! って話ですからね。

つまり、しがらきで、「ディープブリランテ・菊花賞・ぶっつけプロジェクト」が組まれていて、その見込みがたったがゆえのフェノーメノの天皇賞・秋参戦ではないか?

自分はしがらき帰りについては、全部買ってもプラスというデータがあっても、高いレベルのレースでは疑ってかかる派。レースレベルが高くなればなるほど、目標レースでちょうどよくなるように調整してると思ってるからだ。

だから本当ならディープブリランテに対しては疑って入る派。
しかし今回はG1の菊花賞。
しかもダービー馬。

勝ち負けの仕上げをしてくるかはわからないけど、少なくともダービー馬の威厳を落とすような仕上げはしてこないはず。

そもそも週中のムードは自分の思ってる以上にゴールドシップ一強ムード。
今年の菊花賞はゴールドシップの圧勝、もしくは伏兵陣の一発! そんな盛り上がり。

1番人気はゴールドシップ。
2番人気にかろうじてディープブリランテ。

ダービー馬が2番人気に甘んじる。
これは間違いなく甘んじり。

自分もディープブリランテが1番人気になるならサゲようと思っていた。
けれど2番人気ならば話は別。

この10年でダービー馬が菊花賞に出走したのは4回のみ。
そもそも少ない。少ないけど出て来る以上は威厳は保っていた。

ネオユニヴァース 宝塚4着・神戸新聞3着・菊花賞1人気3着
ディープインパクト 神戸新聞1着・菊花賞1人気1着
メイショウサムソン 神戸新聞2着・菊花賞1人気4着
オルフェーヴル 神戸新聞1着・菊花賞1人気1着

勝ったのはディープインパクトとオルフェーヴルのみ。
あとの2頭は3着、4着と負けている。
けれど、それでも1番人気ではあった!プライドは保っていた!

もうちょっと遡っても同じだ。
ジャングルポケット 菊花賞1人気4着
アグネスフライト 菊花賞1人気5着
アドマイヤベガ 菊花賞1人気6着

つまり、ディープブリランテが菊花賞で1番人気になれなかったとしたら、
ダービー馬としては1996年のフサイチコンコルド以来ということになる。何年ぶりだ! すぐ計算できない!とにかく何十年ぶりかだ。

フサイチコンコルド 5人気 3着

フサイチコンコルドは異彩を放った馬だった。
王道というよりも覇道でダービーをもぎ取った馬。
だから人気なんてどうでもいいような匂いを放っていたようにも思う。

というわけで、調教師並びに厩舎スタッフは一泡吹かせてやる! 2番人気を着順で上回ってやる! そんなモチベーションでいっぱいじゃないか?
ダービー馬が同世代対決なのに挑戦者みたいな立場だなんて、よくよく考えるとおかしな話だけど、ゴールドシップの神戸新聞杯の圧勝劇を見たら、それもしょうがないか?

勝ったディープインパクトとオルフェーヴルの2頭に共通することは神戸新聞杯を1番人気で楽勝した点(2000と2400の違いはあれど)。
同じように三冠目指したネオユニとサムソンは神戸新聞杯で負けていた。負けたけど菊では1番人気になった。なってしまった。そして負けた。

しかしディープブリランテは2番人気が濃厚。前哨戦で負けても1番人気に支持されやすいダービー馬が、ぶっつけという理由はあっても2番人気になる。しがらきの時代に2番人気になる。
2番人気ならば、むしろ馬券的可能性、その引き出しを探るべきではないのか?

一方、ゴールドシップは神戸新聞杯を1番人気で楽勝した。

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神戸新聞杯を1番人気で勝つ馬は強い。
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去年も書いたけど、今年も書いてみる。

【神戸新聞杯を1番人気で勝った馬とその後】
1年前 オルフェーヴル →菊花賞1番人気1着
4年前 ディープスカイ →天皇賞秋3番人気3着
7年前 ディープインパクト→菊花賞1番人気1着
8年前 キングカメハメハ →天皇賞秋目指すも引退
10年前シンボリクリスエス →天皇賞秋3番人気1着
11年前エアエミネム →菊花賞3番人気3着

エアエミネムは1番人気で勝ったにも関わらず、菊花賞で3番人気だった。
それだけで十分だ。

ゴールドシップは皐月賞馬で、神戸新聞杯を1番人気で楽勝し、菊花賞でもおそらく1番人気になる。

菊花賞勝利の最大のテーマが位置取りであることは、もはや定番中の定番。
(定石では最低でも4角7、8番手)
そんなことを内田博騎手がわかってないはずなし。

4年前オウケンブルースリで勝ったときも、それを意識したかのような操縦だった。
神戸新聞杯 16−16−16−13 で3着
菊花賞   11−12−10−2 で1着

3角から強烈にマクって、4角2番手。
わかっていないと出来ない芸当だ。

ゴールドシップは自分の見立てでは差し馬ではない。
少なくとも内田博騎手もそうは思っていないと思う。

共同通信杯は先行して、ディープブリランテを徹底マークして勝った。
皐月賞は馬場状態を見極めての内パク・ワープで1着したけど、4角を回るまでは明らかにワールドエースをマークしていた。
ダービーもどう見ても敵はワールドエース1頭と見立てた、マーク戦法だったと思う。
この3レースはすべて1番人気をマークしての戦法。それで2勝1敗。

そんなマーク屋が神戸新聞杯では1番人気に支持された。
今度は受ける立場。
で、11−11−8−6で楽勝。
最初はマウントシャスタを見ていたかな? とも思えたものの、3角からは他馬に関係なく、仕掛けて圧勝した。敵はここにはいない! そんな走りにも思えた。

神戸新聞杯の操縦で十分とは思う。
けれど菊花賞ではもうちょっとオウケンブルースリするか?

ゴールドシップの神戸新聞杯
11−11−8−6
オウケンの菊花賞   
11−12−10−2 

もし内田博騎手が敵をディープブリランテと見立てていたら、
オウケンするはず。最低でも最終角で射程に入れるはず。

で、戻る。振り出しに戻る。

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ディープブリランテが大逃げをぶちかまして、ゴールドシップが大慌て!
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間違えた!

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ディープブリランテが向こう正面先頭からロングスパートを決めて、ゴールドシップ大慌て!
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落ち着いて!

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武幸のビービージャパンが逃げるのを、浜中騎乗のサンデーRのニューダイナスティが突っついて、それを見ながら、最終角でディープブリランテが先頭に並びかけて、直線に向いて、スパートして、ゴールドシップ大慌て!?
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いや、これだとゴールドシップは大慌てしないでしょ。
射程圏に入れてるでしょ。きっと。
ゴールドシップの負けパターンは何かに差されるのではなく、何かを捕らえきれないパターン。いつだってそう。

ディープブリランテ陣営が、ここは勝てなくてもダービー馬として恥ずかしくない成績を残せればいいと考えているのなら、ここはきっと2年前の菊花賞馬ビッグウィークや8年前岩田で勝ったデルタブルースのような4角2番手から抜け出す闘いを仕掛けるはず。

でもこれだとやっぱりゴールドシップの射程圏からは抜け出せそうにない。

ディープブリランテが誇り高きレースぶりをすればするほど、今回はゴールドシップに負けてしまう気がする。

ゆえに、それゆえに、くどいようですが、振り出しに戻ってしまうわけです。

ディープブリランテが大きく逃げたらイヤだろうな〜。
ディープブリランテが途中から1頭でスパートしたらイヤだろうな〜。
メイショウサムソンの石橋守は武豊アドマイヤメインの果敢な逃げがイヤだったろうな〜。

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今年の菊花賞は別路線組が豊富でそちらに触れようかと思ったけど、やめておきます。
なぜなら油断するとすぐに穴人気になりそうで、よくわかんないから。

っていうか、2走前ダービーという馬のなんと少ないことか!!
5頭しかいない。
(エタンダール・ゴールドシップ・ディープブリランテ・トリップ・ベールドインパクト)

「2走前ダービー→前走・神戸新聞杯」という王道と思われたローテも、もはやまやかしか!?
2頭しかいない!
(ゴールドシップ・ベールドインパクト)

netkeiba.comの予想オッズを見ても、3番人気から8番人気までがダービー未出走の別路線組(水曜)。
この6頭の中で人気のない2頭か3頭(つまり6、7、8番人気)を1、2番人気と絡めればだいたい当たる気もする。

もっと踏み込むなら、「1番人気=6、7、8番人気=10番人気以下」、こんな3連系馬券でもいいかもしれない。なんせ10番人気以下にも人気落ちの実績馬がうようよいそうだしね。

自分は3番人気〜15番人気までを押し出し・引き出しの範囲と見立てて、ヒモを拾ってみようと思っている。
第一部は「3番人気〜5番人気よりも6番人気〜9番人気」の押し出し・引き出し、第二部は「10番人気〜15番人気」で面白そうな馬拾い。そんなスタンス。

少なくとも今年の菊花賞はどう見ても3番人気が一番損に思える。
(過去10年で3番人気は0−0−4−6。一見、頑張ってるように思えるけど、4頭はみな、ダービー→神戸新聞杯→菊花賞ローテの馬たち。なるべくして3番人気になったとも言える。今年は別路線組から3番人気馬が出現しそう。それは押し出された3番人気の可能性大。だから損だと思う)

ちなみに、去年の菊花賞で自分は14番人気で4着した木村健騎乗のハーバーコマンドを推奨して、先週のチェリメドみたいに卒倒した。
そんな4着狙いの得意な自分(自分で言うな、このバカ!)が今年4着に期待してる馬は、エーシングングン。

エーシングングンは順位20位で抽選待ち。おそらく天地がひっくり返らないと出走はできそうにない。
でももし出走してきたら、自分はガンバレ〜4着!と声援を送るつもりだ。

菊花賞は1番人気ゴールドシップ、2番人気ディープブリランテならば、ディープブリランテの馬券的可能性は無視できそうにない。
個人的には大逃げして欲しいけど、誇り高いレースをするならば、2着<3着=4着の方向性で長考してみたい。

菊花賞 注目引き出しゾーン
7〜10番人気

ユウキソルジャー
エタンダール
ラニカイツヨシ
タガノビッグバン
ロードアクレイム

このあたりが入ってきたらいいなぁ。

※ディープブリランテは本日、右前脚に熱感の症状のため菊花賞を回避することになりました(編集部)。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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