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上位拮抗の大激戦!/天皇賞・秋

  • 2012年10月24日(水) 18時00分
■天皇賞・秋(G1・東京芝2000m)フルゲート18頭/登録20頭
【コース基本情報】東京芝2000m Bコース使用
・コース回収率
 [高め] 単勝57%・複勝77% 10番人気以下馬をアタマで買うのは無理筋

・馬連万馬券出現率
 [標準] 12.4%(平均値△0.4% 馬連平均配当5103円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [外枠極悪] 内枠16.4%・中枠14.6%・外枠3.7%

・脚質別信頼度
 差し>先行>追込>>逃げ 逃げ切りの難しさはトップクラス

・推定ラップ&タイム
 [底力] 35.4-47.8-34.5=1.57.7 中盤もラップは緩まず上がりも速い厳しい流れ

 天皇賞・秋の分析では毎回のように出てくるデータだが、やはり目立つのが、コース形態による外枠の不振。内枠や中枠との比較で連対率はなんと10%以上も低く、7枠〜8枠に入った時点で「ほぼアウト」といっても過言ではないほど。ウオッカやダイワメジャー級の馬ならばともかく、重賞勝ちがふたつみっつある程度の馬では、まず勝ち負けできない。

 また、多頭数となったレースで、ふたケタ人気馬の不振が目立っているのも大きな特徴。16頭立て以上での10番人気以下馬は、トータル[0-5-3-249]で連対率1.9%、複勝率3.1%と、その信頼度はきわめて低い。当然ながらコース全体の回収率も低く、イメージよりは格段に「荒れない」コース。ブンブン振り回してのホームラン狙いはオススメできない。

 脚質面で気をつけたいのが、逃げ馬の扱い。前半〜中盤を通して厳しいラップが刻まれる上に最後の直線も長いため、逃げ粘るのがとびっきり難しいのである。未勝利や500万下であれば能力だけで押し切れるが、オープン、ましてやG1となると話は別。「ハナに行く可能性が高い」というだけで消してもいいくらいだ。

【レース基本情報】天皇賞・秋(G1) 東京過去9回
・レース平均配当
 単勝1572円 馬連6300円 3連複2万9911円

・1番人気馬成績
 [5-1-1-2] 連対率66.7%・複勝率77.8%

・3番人気以内馬成績
 [5-3-4-15] 連対率29.6%・複勝率44.4%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-2-71] 連対率2.7%・複勝率5.3%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.7% [先行] 22.2% [差し] 59.3% [追込] 14.8%

・枠番別成績
 [1枠] 3-1-1-13 連対率22.2% 複勝率27.8%
 [2枠] 1-1-1-15 連対率11.1% 複勝率16.7%
 [3枠] 0-0-1-16 連対率0% 複勝率5.9%
 [4枠] 0-4-3-11 連対率22.2% 複勝率38.9%
 [5枠] 0-2-0-16 連対率11.1% 複勝率11.1%
 [6枠] 1-0-2-15 連対率5.6% 複勝率16.7%
 [7枠] 3-1-0-19 連対率17.4% 複勝率17.4%
 [8枠] 1-0-1-24 連対率3.8% 複勝率7.7%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-2-2-9 連対率15.4% 複勝率30.8%
 [4歳馬] 5-3-3-31 連対率19.0% 複勝率26.2%
 [5歳馬] 3-4-3-36 連対率15.2% 複勝率21.7%
 [6歳馬] 0-0-1-26 連対率0% 複勝率3.7%
 [7歳以上馬] 1-0-0-27 連対率3.6% 複勝率3.6%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 3-5-2-46 連対率14.3% 複勝率17.9%
 [栗東] 6-4-7-80 連対率10.0% 複勝率17.5%

・注目出走パターン
 [買い] 前走芝G1&G2で連対の4歳〜5歳(連対率30.0%)
 [買い] 外国人ジョッキー騎乗馬(連対率40.0%)
 [買い] 札幌記念からのローテで出走の5歳以下(複勝率57.1%)
 [全滅] 前走2着以下の6歳以上馬(複勝率0%)
 [不振] 前走6着以下馬(複勝率4.3%)

 1番人気馬の信頼度が[5-1-1-2]と高いが、4番人気〜7番人気の中穴ゾーンも[3-5-2-26]で連対率22.2%、複勝回収率132%と、期待値はかなり高め。このゾーンの馬が1頭も馬券に絡まなかった年も04年、05年、08年と3回あるが、2頭以上が絡んだケースは06年、07年、09年、11年の4回と、それ以上に多い。

 脚質については、差し優勢で次いで先行馬が強く、逃げ馬が不振と、コースデータとまったく同じ傾向。枠番データでは外枠が意外に来ているが、これらはすべて4番人気以内の上位人気馬。コースによる不利を地力で補っているに過ぎず、間違っても「外枠でも大丈夫」などと考えないほうがいい。

 それ以外では、高齢馬の不振や関東馬の健闘ぶり、札幌記念組の強さなどが目立っているポイント。3歳馬については出走例が少ないので何ともいえない部分はあるが、前走で最速上がりをマークしている馬は高信頼度。「カレンブラックヒルとフェノーメノが飛んだのにジャスタウェイが来た」といったパターンも、意外にありそうなのだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 特定のバイアスが存在しない非常にフラットな状況。内外もあまり関係ナシ。

・天候予測
 土曜日まで好天が続くが日曜日に雨予報アリ。多少渋る可能性もあるか。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率26.0% 連対率36.0%

・著者の注目血統
 ロベルト系種牡馬の産駒(マイナス評価)

・瞬発力要求度
 39.3(基準値▼10.7)※注

 ディープインパクト産駒が勝利数トップで、それに次ぐのがステイゴールドの産駒と、現代の日本競馬を象徴するような結果が出ているコース。瞬発力が要求されるのは当然だが、道中で厳しいラップが刻まれるため、底力もかなり要求されるのだ。シンボリクリスエス産駒やハーツクライ産駒が好調なのも、そういった側面によるものが大きいのだろう。

 ちょっと意外なところでは、ダンスインザダーク産駒が勝利数4位、連対率22.7%と好調。逆に、東京巧者のイメージが強いジャングルポケット産駒は、複勝率20.0%と数値が伸び悩んでいる。

 注目に値するデータとして、当コースにおける「母父ノーザンダンサー系の配合馬」の成績を紹介しておこう。全体でも連対率14.9%、複勝回収率82%と悪くない結果を残しているのだが、人気サイドでの成績はとくに素晴らしく、3番人気以内馬は連対率41.9%、複勝率60.5%と信頼度バツグン。今年の登録馬に該当馬はサダムパテック、トーセンジョーダン、フェノーメノの3頭しかいない。

★総論×各論
 紹介した以外にもさまざまな側面から分析を行った結果、「上位拮抗だが大荒れはない」というのが、現時点での見解となった。というのも、人気薄と予測される馬に、プラスファクター持ちがほとんど見当たらないからである。

 最も死角が少ないのは、昨年の2着馬でもある関東馬ダークシャドウ。東京適性の高さはもはや言うまでもなく、期待値が高い札幌記念からのローテであることから血統面に至るまで、割り引くべく要素はほとんどナシ。気になるのは、鞍上がこのレースと相性イマイチである点くらいのものだ。

 それに僅差で続くのが、昨年の覇者トーセンジョーダン。こちらは6歳馬であるのとローテが割引材料だが、プラス材料の多さだけでいえばダークシャドウ以上。仕上がり次第では昨年同様の好走が期待できそうだ。

 そして、三番手フェノーメノ、四番手カレンブラックヒル、五番手ルーラーシップと、ここまでが上位評価組。3歳馬2頭については、距離経験や血統から見た適性から、ここではフェノーメノ優勢と判断している。あとは押さえでエイシンフラッシュと、サダムパテック、ジャスタウェイ。ひとまずここまで絞って、あとは枠順とオッズを見ての判断となる。今年でも屈指の好カードであり、レースの日が待ち遠しい。

■スワンS(G2・京都芝1400m)フルゲート18頭/登録26頭
 京都芝1400mは外回りながら、サクラバクシンオー産駒がぶっちぎりの好成績を残す、スプリント指向の非常に強いコース。実際にスワンSでの成績を調べても、前走芝マイル組が[4-2-2-39]で複勝率17.0%、複勝回収率52%であるのに対して、前走芝1200m組は[6-7-6-60]で複勝率24.1%、複勝回収率116%と、後者のほうが期待値は圧倒的に高い。

 しかし今年はダノンシャーク、レオアクティブ、オリービン、グランプリボスなど、人気上位が予測される馬がすべて前走芝1600m以上出走組。また、スワンSは「前走4角3番手以内馬」が非常に強いのだが、それに該当する馬もかなり少ない。つまり、登録段階から荒れる気配がプンプン漂っているのである。

 要点としてあげたいのが年齢で、3歳〜4歳馬[7-6-4-50]に対して5歳以上馬[3-4-6-92]と、4歳以下馬の圧勝。性別では、牝馬が[0-1-2-26]とイマイチな結果に終わっており、意外に人気を集めそうなアドマイヤセプターや、実績馬であるスプリングサンダーあたりは、嫌ったほうがベター。厩舎の東西はそう気にする必要はないが、じつは関東馬のほうが期待値は高いというのは覚えておきたいポイントといえる。

 こういった条件をすべてクリアする唯一の存在がテイエムオオタカ。データ的にダントツといえる馬が人気薄となりそうなのだから、買わない理由を探すのが難しいほど。逆に、芝1400m以下戦に出走したことすらないダノンシャークについては、かなり割り引いて考えるべきだ。さすがに前走芝マイル組が全滅するとまでは思わないが、重視すべきはやはり、スプリント適性。テイエムオオタカから手広く流す馬券を、現時点では推奨しておきたい。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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